昔話
「えっ――ボクとスピネルおじさんの話を聴きたい、ですか? どうしたんです、急に??」
「いや、俺が殺した人間のことくらい知っとくべきかと思ってな。もう最近はヘルトがほとんどの業務こなしてて暇だろ?
それにもう俺はいつ死んでもおかしくないし、臣下であるルビーのたった一人の家族なんだろ。だったら話くらい聴かせてくれ」
デュランはそう言いながらも王としてやらないといけない書類とかもう俺ほとんどやってないからヘルトが実質的な王だし、ルビーと出会った九年前に聴いとくべきだったろ。などの様々なことを思いながらルビーが話し始めるのを待った。
「……王様って。普段は斜に構えた言動してる癖に、無駄に責任感強いですよね」
「……うるせぇな」
デュランはルビーに痛いところを突かれてなんとか反論したかったが、これからデリケートな話題を聴こうとしているのだからと己へ言い聞かせて押し黙った。
するとルビーは何故か笑顔になりながらスピネルおじさんとの日々を話し始めた。
「そうですねぇ、じゃあまずはボクが自殺しようとしていたことから話始めないとですね」
「いきなりえげつねぇ所から話すな、まあいいが。それで、何で自殺しようとしてたんだ」
「まあ、簡単に言うとボク食い殺しちゃったんですよ。死にかけてたボクを助けてくれた家族を」
「……マジでえげつねぇな、ルビーの過去。お前よくそこから人間になれたな」
デュランは思った以上に重い話題飛び出してきて驚きながらも、目の前で話しているルビーは元々ただの魔物だったのだ思えばありえる話だと納得した。
そして軽口を叩きつつ思ったことを正直に言うとルビーは「エヘヘッ、スピネルおじさんのお陰です!!」と言いながら無い胸を張った。
……もう死んでいるから一生成長しないと思うと、かなり可哀そうである。
「それでボク自殺しようとしたんですけど、吸血鬼ってかなり再生力がすごい種族で中々死ねなかったんです。
そこで餓死しようとしていたボクを助けたのが通りかかったスピネルおじさんでした」
「ほ~ん、じゃあ自殺するのは止めにしたのか?」
「いえ、それからも自殺しようとしましたよ?」
「――なんでだよっ!?」
デュランはてっきりそこで自殺を止めて家族になると思ったためつい突っ込んでしまい、ルビーから「いや、冷静に考えて欲しいんですけど。助けてくれたからってすぐ家族になる訳ないでしょ?」と言われた。
俺とアリスはすぐに家族になったぞッ! と言おうかと思ったとが、よくよく考えたらデュラン達の方が世間一般では普通じゃなかったと目を反らし。ルビーはそんなデュランの行動を不思議がりながらも話を続けた。
「それからも自殺の邪魔をされ続けて我慢の限界だった僕は業火になることができたので、それで攻撃したんですが影を支配するスピネルおじさんには通じませんでした。
それでたくさんのスピネルおじさんに血を飲まされ続けて自殺は一旦諦めて、自殺の邪魔をする理由を訊いたら『ただ同族が惨みじめに餓死するのが嫌なだけだ』って言われました。ちょっと酷い理由だと思いません」
「……そうだな」
「そうですよね! 酷いですよね!!」
ルビーの話を聴いたデュランは恐らくもっと別の理由があったんじゃないかと思ったが、今となっては本当の話を知りようもないためルビーに話を合わせて頷いた。
そうしているとルビーは「ただその後、スピネルおじさんがそんなボクのせいじゃないってくれて嬉しかった。だから、生きようと思った」と自殺を止めた理由を語った。
「それからはスピネルおじさんがボクのために牧場や家を作ったりしてくれて、一緒に過ごしていたらスピネルおじさんがのことを家族だと思うようになっていた。って感じですかね」
「そうか……話してくれてありがとう。これからもよろしく頼む、ルビー」
「はいっ! 王様!!」
デュランはこんな純粋なルビーをたぶらかした俺は、天界へはいけないだろうなと思いながら仕事に戻った。




