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「こんな小説。書いてる作者も、どうせキモオタなんでしょw」

「ちょ、朝日。……それ、言えてるわw」


面倒だから関わらないとか、トラブルを起こすのが嫌だとか。そんな考えは消え失せ、気が付いたら席を立っていた。


「おい、お前たち」


大人しかったクラスメイトがいきなり席を立ったことに、取り巻きたちは困惑の表情を浮かべている。

しかし、一松は俺の敵対的なオーラを感じ取ったようで


「は? 何?」


威圧的に俺を睨みつけた。

根っから陰キャな俺なので、足がすくむ。が、そんなことは気にしていられなかった。

取り巻きを押しのけ、金髪ズに向かい合う。


「んだよ……」

「一松、お前は後だ。新見に用がある」

「はぁ?」


一松は便乗していただけだ。なので、ひとまず置いておく。

問題は新見だ。


「アタシに用? いきなりなに」

「お前、その本の作者をバカにしたな?」


別に、作品をバカにされるのは百歩譲って許せる。というか、許すしかない。とんでもなくイラつくけどな。

それがどんな言いがかりであれ、それは消費者に与えられた権利だからだ。その本を一ページ、一行、あるいは表紙しか見ていない人間でも、だ。それを禁止してしまえば作品への批評そのものが危うくなり、結果として、ラノベ業界のクオリティ低下につながってしまうからという理由もある。

でも、作品の批判・批評は、作者を攻撃していい理由にはならない。なってはいけない。


「したけど……何、キレてんの?」

「そこそこ、キレてる」

「ウケる」


ウケねぇよ。つーか死語だろ、それ。不覚にも笑いかけてしまった。

が、すぐに怒りがそれを塗りつぶす。


「で? 何が言いたいの」

「取り消せよ」

「はぁ?」

「さっきの、作者への罵倒」


さっきまでの軽薄な表情が消え失せ、新見は不機嫌そうに俺を睨む。

「なんで?」と、その目は語っているようだった。


「鹿野。ちょっと外見が良いからって、調子乗ってる?」

「乗ってない。そもそもお前、その本読んだことないだろ?」

「そうだけど、なんか問題ある?」

「あるだろ。何も知らない相手の悪口を言うなんて、まともじゃない。少なくとも、高校生がやることじゃないだろ」

「いやいやいや、事実だし。こんな『いかにもオタク』って感じの本だし? 作ってるヤツも読んでるヤツも、キモオタばっかでしょw」


カラスは黒い。だからこの世の黒いものはすべてカラスだ――とでも言わんばかりの論理だ。あまりの暴論に早口で反論したくなるが、「ちょ、オタク顔真っ赤w」とバカにされる未来を幻視したのでグッとこらえる。

我慢だ我慢。相手のペースに載せられてしまえば――


「オタクが好きな作品なんて、エロばっかで内容も空っぽ――」

「――は? エロばっか? 内容がない? バカ言え。ハルヒはライトノベルとしての雰囲気を保ちながらも、ベースには数々のSF要素が散りばめられている。しかもそれを舞台装置として放置するんじゃなく、キャラクターの背景として違和感なく活用してるんだよ。いうなればあれはメタSF作品なんだ。お前にその凄さがわかるか? わからないだろうな」


ちょ、俺顔真っ赤w。

周囲がシンと静まり返る。

ちらりと後ろに目をやると、詩織が口元を抑え、必死に笑いをこらえているのが見えた。

あとなぜかオタクグループの連中が熱の入った目で俺を見ている。「よく言った!」みたいな。


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