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金髪ギャルにラノベ。
金髪ギャルにラノベ……金髪ギャルにラノベ??
あのギャル……新見はオタクと真逆の存在で、どちらかというとオタクを毛嫌いしていたはずだ。
そんな彼女が、ラノベ金字塔にして後世に受け継がれるべき名著「涼宮ハルヒ」シリーズを手にしている。
ダメだ。いくら考えても、なんでそんな状況が発生したのか思いつかない。
実は隠れオタだったとか? いや、現実はラノベじゃないんだぞ。
俺は考えるのをやめ、不本意ながらも彼らの会話に耳をすませた。
「ちょ、キモすぎでしょ、コレ!」
聞こえてきたのは、口汚い罵倒だった。
「うっわ……このキャラ、なんでメイド服着てんの?」
「ほら、オタクってそういうの好きらしいじゃん」
「萌え~ってやつ? いや、マジありえんでしょ」
金髪ズに追従するように、取り巻きたちがぎゃはは、と笑い声をあげた。
「…………」
よくよく観察すると、彼らの後ろで、メガネの男子生徒が縮こまっているのが見える。周りにいる友人たちも顔を伏せ、声を上げることなく耐え忍んでいる。
まるで弾圧に怯える宗教者のような面持ちだ。
思いだした。彼らは、教室の後ろでアニメやラノベの話をしているオタクグループの人間たちだ。趣味こそ一緒だが、俺は人付き合いを避けているのであまり話したことがない。が、俺はラノベ好きな人間に悪いヤツはいないと考えているので、勝手に「同志」認定していた。
なるほど。なんとなく状況が掴めてきた。
まず、彼らの一人が机の上にラノベを放置し、別の席にいる友人と話していた。
すると、カースト上位が登校し、彼の机の周りで談笑を始めた。
その後はおそらく、オタク嫌いの新海朝日が放置されているラノベを発見しバカにし始めた……そんなところだろう。
アホらしい。
一定の経済市場を有するラノベを表紙だけで「キモい」と断じる連中もそうだし、こうなることを見越してカバーを付けなかったオタクグループにも呆れてしまう。
「止めないの?」
「俺には関係ない」
「ラノベ作家なのに?」
「……うるさい」
詩織がやたらと「眠れんから止めろ」みたいな目で見てくるが、俺は絶対屈しない。
これは彼らの問題であって、俺には関係な――
「こんな小説。書いてる作者も、どうせキモオタなんでしょw」
……は?
おいおいおい。
おいおいおいおいおいおい。
「ちょ、朝日。……それ、言えてるわw」
一松も追従し、ぎゃはは。ゴブリンのような、醜悪な笑い声が響く。
ガタンッ。
無意識のうちに、椅子から立ち上がっていた。
「おい、お前たち」
「は? 何?」
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