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アラサーだって野宿は辛い…

見切り発車で新掲載を始めます。

いきなりの胸糞展開からスタートですが、話の主軸はハンター生活が主です。恋愛要素が出てくるのは、後半になる予定です。宜しくお願い致します。


誤字修正しています。一部表現を変えています。


私は元伯爵令嬢だ。


名前はミディア=ラバツコンテ


今は母親が後妻で入った公爵家のお嬢様をしている。外見は母親譲りの儚げな印象の美少女。ただ中身は違う。


「ねえ……こちらへ、可愛いわね」


自分の母親の甘ったるい声が聞こえた。私は勢いよく扉を開けて部屋の中に入った。部屋の中には母親と後妻に入った公爵家の次男がいた。この次男は私より3歳上の8歳。


とにかくものすごい美少年なのよね。名前はエリデランティ=ラバツコンテ


そのエリデランティ様に自分の母親が馬乗りになってるのよ。はっきり言ってエリデランティ様はガタガタ震えてて、泣いてるのよ。絶対に同意の上じゃないのは馬鹿でも分かる。


「おにーさま!遊びましょ!」


私は無邪気なフリをして部屋に入ると、エリデランティ……心の中ではエリちゃんと呼んでる、公爵の次男の腕を掴むと強く引っ張りながら、さりげなく腕を摩ってあげた。


「ミディア!今はエリデランティ様は私と大切な話をしているのです!出て行きなさい!」


なーにが大切な話だよ。小さい男の子にいかがわしいことをしようとしているくせにっ!


「おにーさまはミディとおやくそくしてたよね?さあ行こう!」


頑張れ!エリちゃん、今ここで頑張らないと……私の手を取って逃げ出さないと、この地獄からは逃れられないよ。


私は目の奥に力を入れてエリちゃんを見詰めながら腕を引っ張った。


エリちゃんはガタガタ震えながらも、ベッドから降り立つと私の手を握り締めた。


「ぼ……僕っ行きます」


私はエリちゃんを引っ張ると駆け出した。エリちゃんも必死でついて来る。


「お……お待ちなさいっ!」


誰が待つもんか!


エリちゃんと2人必死に走って裏庭の温室に駆け込んだ。エリちゃんはまだガタガタ震えている。もしかしたら、今までこんなことが何度もあったの?今まで気付かなかった自分自身にも腹が立つがあのババア!怒りで自分の中の魔力が燃えたぎる。


一応自分を生んでくれた実の親だけど、変態には違いない。幼児性偏愛……。私はエリちゃんこと、エリデランティお兄様の背中を摩った。


「兄様、戦おう。私、手伝うよ。負けちゃダメだ」


エリデランティ兄様はガタガタ震えながら、私に取りすがって泣き出した。男女逆な立ち位置だけど、こんな美少年に抱きつかれるなんて生まれて初めてな私は緊張した。


それから私は匿って(味方)くれそうな大人を見付けることにした。これはすぐ見付かった。


エリデランティお兄様の乳母のラシリアだ。結構気が強い、益々いい感じだ。


私はエリお兄様と一緒にラシリアに全てを話した。案の定ラシリアは怒り狂った……が、ラバツコンテ(義父)公爵に暴露するのは止めろとラシリアをとめた。


義父は儚げな美しい毒婦のアリフェンナを溺愛している。エリちゃんが涙ながらに訴えても、女の味方をする危険性がある。男とは恋愛に溺れると馬鹿になるものだ。


私はその日から出来るだけエリちゃんと行動を共にした。そして、私直伝の筋トレをエリちゃんに伝授してエリちゃんを鍛えることにした。勿論、ラシリアが私達のお付きな為、アリフェンナがエリちゃんに近づいて来ることは出来ない。


エリちゃんが美少年なのはしゃーない。それは生まれ持ったものだ。でもヒョロッとした体は鍛えれば強くなれる。


「兄様、強くなりあれに打ち勝ちましょう!私も一緒に頑張るわ!」


頭の中には◯ッキーのテーマソングが流れていた。アリフェンナのババアはそれから何度もエリデランティ兄様を連れ拐おうとしてきた。シュッ……シュッ……!威嚇して追い返しておいた。元軍人と異世界人を舐めんなよ!


私とラシリアはその後、エリちゃん親衛隊の仲間に加わった執事長のヤユーデと共にエリちゃんを守りに守った。


それから1年……エリちゃんは流石男の子だった。最初はフニャフニャの体付きだったエリちゃんは身長がグングン伸び、筋肉が付き始め……私より力が強くなり男の子から男の人になってきたのだ。


そしてどうやら男っぽくなってきたエリちゃんはアリフェンナの好みじゃなくなったのだろう、エリちゃんを見ても苦々しい表情をするようになった。


「どうやら嫌われてきたかな?喜ばしいことだけど」


10才になったエリデランティお兄様は、相変わらずの美形のまま格好良くなってきた。


私は剣術の鍛練の後、ラシリアの入れてくれた果実水を飲みながら、腰に手を当てて高笑いをした。


「訓練の後の果実水が美味しいわねー!」


「いつもさ……」


「何ですか?エリお兄様」


エリちゃんは苦笑をしたまま私に、宝石みたいな綺麗な翡翠色の瞳を向けてきた。


「ミディの顔でそんな豪快な言葉が出てくると戸惑うよ…」


「それは…言葉を選んで頂いてますが、私がおじさんっぽいって意味ですか?」


エリお兄様は破顔した。お兄様はあんなことがあったのに歪むことなく真っ直ぐにお育ちになった。


そう……お兄様は軍の入隊試験に受かって11才……もうすぐしたら軍の寮に入ることが決まった。私はエリお兄様に軍にはそっち方向の危険があってくれぐれも貞操に気を付けろ!と散々注意している最中だ。


「軍の独身寮には兄上もいらっしゃるし…」


「何言っているのっ!エリお兄様っ!ミルお兄様もすでに狙われた後かもしれないじゃない!幼児偏愛者とはまた別方向の怖い性癖の人がいるかもしれないんだから、背後にも気を付けるのよ!」


「後ろ?うん、分かった分かった~」


ミルデランティお兄様(上の義兄)は少し年が離れているので、もうおっさん(失礼)みたいな風格なのだけど、それでも元美少年の片鱗は見せている。


兄弟同時に狙われる危険性があるわよね…くうぅ…私がまだ8才児だということが悔やまれるわっ!軍に入るには年齢が及ばないもの。エリちゃんもミルくんも気を付けるんだよっ。


そう言ってエリお兄様は軍の寮に引っ越しをしていった。


そうこうしているうちに私も9才になった。


そしてうちの家に…従兄弟のパシオリティ君5才がくることになった。何でも義父の一番下の妹さんが双子の赤ちゃんを妊娠中なのだ。パシオリティ君もまだ手がかかるし、9才の私が教育係と遊ぶ係に任命されたということだった。


そんなパシオリティ君…パックンは子供の時のエリちゃんを彷彿とさせる美少年だった。


私は油断していた。あれから数年は経ったしと…完全に油断していた。


ある日、身重の叔母様がパックンが部屋にいないと知らせてきたので、ラシリアとヤユーデと3人で探している時だった。


遠くの方で、か細い泣き声が聞こえてきたのだ。私達3人は泣き声の聞こえてきた部屋の中へ踏み込んだ。そこには下半身を露出させたパックンに自分のあれをおっぴろげて見せているアリフェンナのババアがいた。


パックンは号泣しながら見せられていて、私の顔を見るなり


「お姉ちゃまっうええええん…!」


と抱き付いてきた。私はとんでもない醜態に体の震えが止まらなかった。


ラシリアが悲鳴を上げて、ヤユーデが私とパックンを腕の中に庇い、その悲鳴を聞きつけて駈け込んできた若い侍従達にアリフェンナは押さえつけられた。


アリファンナの恐怖の性癖は治っている訳ではなかったのだ。被害者はパシオリティ君だけではなかった。今、12才になっている下男の息子さんも被害者だった。恐らくそれ以外にもいるはずだろう…主人に対して逆らえない立場の使用人の子供達に手を付けていた。鬼畜だと思った。


ラバツコンテ公爵(義父)の可愛い可愛い一番下の妹の子供が被害にあっていた。義父は怒り狂っていた。


「今すぐ出て行け!」


アリフェンナは公爵家を叩き出された。それは、私も一緒にだった。


身一つで門番に屋敷の外に押し出された。どうして私まで…だが気持ちはすぐに冷静になった。


泣き叫び、門を開けろ!と騒ぐアリフェンナの無様な後ろ姿を見ていると、悲しいのか悔しいのか…自分が虚しくなる。


ああ…私ってついてないなぁ。こんな女の子供に生まれたが為に、母親のせいで叩き落された。


私は、泣き叫ぶ母をそのままに静かに公爵家の門前を離れた。


ふざけるな…今の私はたった9才だが、中身は2回も転生人生を繰り返した熟練者だ。


生き延びてやる…絶対に。


取り敢えず、逃亡には山だ!…と思い、山に入って川べりで魚を釣って食べて生活してみた。流石に元剣士の知恵と異世界人の働くおねーさんの知恵は役に立つ。


とは息巻いてみたもののさ…やっぱり夜に1人で焚き火の火を見てると泣きたくなってくる。


エリちゃんやミルくん元気かな?パックン、あんなことさせられてどえらいトラウマになってなきゃいいんだけど…でも流石に、寂しい。でもまあ泣いてみたところで腹は減る。


フフフ…前世の日本人アラサーおねーさまの趣味の一つ、釣りとオートキャンプで野宿はお手の物だぜ。でもさすがに魚を毎日食べるのは飽きてきたので、釣った魚を鮮魚店に売りに行ったら買い取ってもらえた。僅かだがお金を貰い『山で食べれる山菜図鑑』を購入してみた。


その図鑑を片手に今度は山菜採りに精を出した。山菜採りをしていると、山で狩猟をしていたおじさんが捌いた鳥を分けてくれて、芋っぽい食べ物をくれた。お礼に採った山菜と交換した。


ちょっとこれリアルわらしべ長者になってるんじゃね?


一人キャンプ場に戻り、山菜と鳥の炒め物とふかし芋を食べながら先程、狩猟をしていたおじさんに聞いた話を思い出す。


「この山は魔獣鳥が出るだろう?勿論食べれば魔力を補充出来て、体にも良いんだけど、余った肉は狩猟協会に買い取ってもらえるよ」


何だって?初耳だ、まあ9才の耳には狩猟…ハンターの話なんてそう聞こえてはこないだろうけど。


前世の剣士をしていた世界(異世界)では『冒険者ギルド』っていうのがあってそこで魔獣系のお肉も買い取ってもらえたのだ。この世界でも仕組みは似ているのか?


意を決して山を下り、城下町の一角にある『狩猟協会』と書いてある看板のお店の中に入ってみた。


むさくるしいおっさんやお兄さんばかりだ……。むさくるしいおっさん達の足の間をすり抜けて、カウンターの前に辿り着いた…がっ!背が届かないっ…踏み台とかないのか?んぐぐぐっ!


私がまるで懸垂でもしているかの如く、カウンターにしがみ付いていると私に気が付いたお兄さんが、ヒョイ…と私を抱き上げてくれた。


「こりゃ可愛いお嬢ちゃんじゃないか?こんな所にどうしたんだ?」


「あ、あのっ私もハンターになりたくて!」


「…………」


狩猟協会の中は一瞬静まり返った…そしてものすごい大爆笑が起こった。私には分かった、これは馬鹿にされている、失笑されているのだと…


私はお兄さんの腕の中で体を捻ると、やっと見えるようになったカウンターの向こうに座る受付のお兄さんに向かって


「ここでは魔獣のお肉を買い取ってもらえるのですよね?詳しい手続きの方法を教えて下さい!」


と叫んだ。私の発言が子供のそれとは思えないほどの明瞭な言葉だったので、また狩猟協会の室内が静まり返った。


「あ…えっと買取は出来ますが、未成年からの買取は不可ですよ?」


受付のお兄さんの言葉は衝撃だった…うそぉ。私はもうすぐ10才だけど、後2年は山での野宿を頑張らねばならないのか?




ざまぁとか入れた方がいいのか…未だに迷っています。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何故元々の伯爵家から追い出されているのか謎?
[気になる点] 家を追い出されてから、やどはどうしてるのか描写がないのが不自然だと思います。(母親をどうしてるのか、とかも明かされることなく)サバイバルスタートしてるのはちょっと…
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