ここはどこ、私は誰?
「お………て」
ん?
「お…き……」
なんだよ、うるさいなぁ
「お…き…て」
あと五分……
「起きろ!!!」
はっっっっ
大きな声で、目を覚ました。
しかし、訳が分からない。頭が回らない。俺は今どうなっているんだ?
けれど、一つだけわかることがある。目の前、ほんと鼻の先ぐらいに、とても可愛い女の子の顔がある。
見た目は10代後半ぐらいだろうか。人形のようなクリっとした大きな目に整った顔。流れるような黒色の長い髪。透き通るような白い肌。
そして、柔らかそうな黒色の猫耳としっぽ。
な!?猫耳としっぽ!?
驚きながらも身体に視線を向ける。身体をきちんと鍛えているのか、すらっとした細い腰で、痩せ過ぎているわけではないが、余計な脂肪は一切ない。身長はあまり高くないようだが、かなり理想のような可愛目の女の子体型をしている。でも胸は…あまりないな。
一応剣士なのだろうか、ショートパンツにお腹丸出しの服を着て、まるで防御になってないであろう服装だったが、申し訳程度に腰に剣が刺さっている。
なんでこんな可愛い子が童貞の俺に跨がっているのだろう。謎だ。
しかし落ち着け俺、ここは冷静に、クールにいこう。
さらに目線を下に向けるとそこには神がいた。
細すぎずしかしむっちりとし過ぎていない絶妙な太さに、きめ細かな白い肌。まるで吸い込まれてしまいそうな太もも。ああ、太もも様。なるほどここは天国か。
「はぁ、やっと起きたのねリオ。少し寝過ぎよ、疲れているのかしら?」
あれこれ考えていると、少女が話しかけてくるが、何も言えず少女を見つめたまま固まってしまう。
「ねえ、本当に大丈夫?どうしたの?」
よくは分からないけど心配してくれているらしい、何か話さないと。
「大丈夫だけど…君は?」
「私?私はシアに決まっているじゃない。あなたと一緒に旅をしている女の子よ。分からないの?」
シア、シア、そんな名前友達にも知り合いにもいなかったよなぁ。
でもこの子の顔は何となく見たことあるような気がする。
どこだっけ……
あ、夢の中で一緒に居た女の子だ。
でもなんでこの子が俺の目の前にいるんだろう。あれは夢だったはずじゃ、、、
まてまてまて、その前に、俺確か死んだよな?トラックに轢かれて。
なんで生きて?そもそもここはどこ?
だめだ、考えることが多すぎて頭が追いつかない。
とりあえず出来ることから始めてみよう、目の前の女の子と会話だ。
跨がっていた少女が俺の横に座りなおしたので、上半身を起こす。
「えっと…シアさん?ここってどこなのかな?」
「なんでさん付けなのよ…まあいいわ、ここはアルクから一番近くにある森の中よ」
「アルク?」
「街の名前よ。正しい名前はアルクトゥルスだけどみんなアルクって呼んでるわ」
そうだ、アルク。知ってるぞ、夢の中で何度も行ったことがある。
でもなんでだ、思い出そうとすると頭に霧がかかったようになってでてこない。
「ねぇ、どうしたのよ、もしかして昨日のモンスター狩りで頭打ったの?」
本気で心配そうな顔を向けてくる彼女に、申し訳なくなってくる。
でも、自分でもよく分かっていない今の状態でどこまで話していいのか分からない。
それに話したところで信じてくれるかどうかも。
よし、嘘をつくことになるけど、記憶喪失ってことにしておこう。
なんでも聞けるし、便利だよな。よくある定番だし。
「ごめん、なんか記憶が無くなってるみたいなんだ。自分の名前くらいは分かるけどそれ以外はよく覚えてない。」
そう言って彼女のほうを見ると、目をこれでもかと大きく見開いたまま固まっていらっしゃる。いや、まぁ正直固まりたいのは俺の方なんだけど。
「私のことは!?私のことも全く覚えてないの!?」
いきなり動き出して興奮しながら詰めよってくる。
「う、うん、思い出そうとはしたんだけど」
「そう…」
落胆したように肩を落としながら、みるみる悲しい顔になっていく。
こんな可愛い子を悲しませてしまった。さすがに心が痛い。
「ごめんね、シアさん」
「仕方がないわよ、別にあなたのせいじゃないわ。それより、まだここはモンスターが出るから街へ行きましょう。そこであなたの身の回りの事とかいろいろ教えてあげる。」。
立ち上がった女の子が手を差し出してくれるので、それを掴んで立ち上がる。
とても柔らかい。
「私についてきて。それと、私のことはシアって呼び捨てにすること!私もリオって呼ぶから。いいわね?」
「うん。わかったよ、シア。よろしくね。」
そう言うと、笑顔を向けてくれた。ここに来てからこの子の笑顔を初めて見た気がする。
「ええ、こちらこそよろしく。リオ。」
読んでくれて、ありがとう。