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眠りの神と夢見る子守唄  作者: 銀河 凛乎
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第22章 ニル。約束通り迎えに来た

灯り点けが終わり、夕食になるとローズ先生が真っ先に私を探して聞いてきた。

「スレイプニル。おまえ、メルセデスに会ったか?」

うっわ。耳が早いなぁ…。

「え。それは…その…校内にいればどうしても…でも!話はしてません」

「メルセデスがケガをしたのを見たか?」

「あ…ああ…それは…タナトスです」

「タナトスが?…それで?おまえもいたんだろ?」

「タナトスが…先生に斬りかかるから…止血したまでです。…まさか、そういうのも無視しろって言うんですか?」

それは人として、法術師としてどうかしてるよ?!

「……おまえは、治癒の法術をしたのか?」

先生は真剣に聞いてくる。

「?…いいえ。僕は治癒が出来ない…言霊も紡いでいません」

「………」

先生は私を見て考えていた。

「…先生?メルセデス先生の傷、治して頂けましたか?」

「………」

ローズ先生は何も答えず、「そうか。ならいい」と会話を打ち切った。

え。まさか、またメルセデス先生に法術習えとか言わないよね?!

「あ、あの…先生!」

「なんだ?」

あ。大丈夫そうかな…?

「あの…僕、間違ってましたか…?」

何が正解かわからない。

違うなら答えを教えて!

先生は視線を外して一拍考えると、再び私を見て釘を刺した。

「……いや。間違いでは無い。だが、1人でいるな」

あ、ああ…。はい。

頷けば、先生は夕食の席に戻って行った。


それから、その夜の特訓はひたすらタナトスに浄化をかけまくる事だった。

「失敗したと落ち込むよりも、成功例を体に覚えさせた方が治癒や他の浄化にもいいだろう」

先生はそう言って、浄化を続ける私を監督していた。

「…タナトス…これ、どんな感じなの?」

浄化を続けて…その休憩中、聞いてみた。

「……ヌルい水に…浸かってる…」

「へ、へぇ…」

それって、気持ち良いのか悪いのか…微妙だな。

「じゃあ、ヌルくなくてもうちょっと熱かったら良いかな?」

それはまさに、お風呂。最高。

「…………」

タナトスは首を傾げた。

「すーぷーちゃん。…何をする気だ?」

ローズ先生が興味深そうに聞く。

「光玉を作る時に…法力を練り上げる時間や量を変えて作りますから…浄化でも同じかと…」

「…なるほどな…」

先生は、何故だか面白そうに笑うと、「…思う通りに試してみろ」と頷いた。

「…じゃあ…少しずつ圧縮してみるね。いい感じの所で教えて」

私はタナトスに言うと、浄化の法術の粘度をあげていった。

まずはこのくらい…でも、まだ?じゃあ、もう少し…まだ?全然?じゃあ、結構上げる…けど…えぇ?…もう!…じゃあ、これでどうだ!!

熱湯くらいのお湯レベルでようやくタナトスはコクリと頷いた。

『願わくば穢れし者を清浄なる姿に戻し給え』

圧縮された法力は言霊という出口を得て、ようやくタナトスを金色の光で力強く包んだ。

……クラッとする。

立ちくらみのような感覚は法力の圧力が急に変わったからな…?

背もたれの無いイスに座っていたから、しんどくなって寄りかかる物を探した。


スレイプニルが法力を徐々に高めていくと、両手に集った浄化の光は白銀から色を変えていった。

本来、浄化に強弱は関係無い。

故に、浄化に強弱を意識する者はいない。また、いたとしても、思うように出来る者は限られるし、充分な濃度で圧縮出来る者はさらに限られる。

タナトスの様子を見ながら圧縮していくスレイプニルの顔に、戸惑いが濃くなっていく。まだ?と無言で問いながら圧縮していき、タナトスがコクリと頷いた時、ようやくホッとして言霊を紡げば、圧縮された法力は金色の輝きを弾けさせ、タナトスを包んだ。

タナトスは光が消える最後まで、微動だにせず静かに座っている。

しかし、スレイプニルのほうがクラリと体が揺れて、掴まるものを探して空を掴むように手を振った。

支えを必要としていたから、背中に立って支えてやれば遠慮なく寄りかかってくる。

ああ!ついにやった!コイツはやっぱりその資質を持っていたんだ!

《復活の法術》

タナトスを解毒出来るのは、浄化の法術じゃない。もう、ほぼ死んでるような状態を、甦らせねば生きていけないんだろう。

ネイロスに無意識に行った物とは違い、法術を意識した完全なる蘇生。

しかし…だとしたらタナトスは何度、生き返っているんだ?甦りの制約を大きく逸脱しているが…。

目深に被った黒いローブが顔をあげ、その獣のような目に生気が戻ると息を吐いた。

「…これで熟睡出来たら言う事はない」

タナトスがそう言うと、もたれ掛かっていたスレイプニルの体が揺れた。

「た…タナトスが…シャキッとしてる…?!」

「…ああ。コイツ、浄化の後は饒舌になるんだ。すーぷーちゃん」

「ええ?!」

驚いてこっちを見上げる黒い大きな目は今にも落ちそうだ。

「饒舌になるんじゃ無い。頭が朦朧として言葉が出ないだけだ。それか、単純に話したく無い」

タナトスが訂正して答えればスレイプニルは、戸惑いながら頷いた。

「あ、ああ…そ、そうなんだ…」

「あの…先生、さっきからすみません…僕…背もたれのあるイス…もらっていいですか…?」

「…気力が切れそうか?」

「……眠いですが…先生の考察を…聞きたいです…」

「そうか。タナトス。ちょっとすーぷーちゃん支えててくれ」

タナトスにそう言うと、タナトスはスレイプニルの胸ぐらを掴むと引き寄せて、自分の膝に座らせた。

「………」

「………」

そ、そうなるのか?…支えているだけで良かったんだが…。

黒いローブの死神の膝にチョコンと座る白い少年は、目を閉じて力なく俯いていた。

「……いや、まぁ…いいが」

黒竜の死神の膝に座れる白竜生徒は絶対に、コイツしかいないな。

イスを持って来るついでに、活力剤も1本、薬棚から取った。

「ほら。飲んでおけ」

活力剤をタナトスの膝の上でウトウトするスレイプニルに差し出せば、

「…いえ。考察を聞いたら…もう…帰りますので…」

そう言ってゆるゆると首を振った。

「そんな状態で明日、起きれないようだと困るだろ。飲め」

「…えー…」

ごねるスレイプニルにタナトスは小瓶を代わりに受け取ると、容赦なくスレイプニルの口に突っ込んで上を向かせた。

「…ムガ!…うぐ」

少年のような未発達の喉が動き、液体を流し込むと口からわずかにこぼれた液体を手で拭い「…マズイ…」と感想を述べた。

「…わ!ゴメン!タナトス!」

ふと、自分の座っている場所に気付いてスレイプニルは背もたれのあるイスに、よろめきながら座りなおした。

「…それで…えーと…なんでしたっけ…あ。先生、今の浄化なんですけど…」

気力が足りないせいか、今ではスレイプニルの方が言葉が緩慢だ。

「ああ。上出来だ」

詳しい話は今はやめておく。こんな寝ぼけた状態でお前が成し得る秘術を聞いて欲しくない。それくらい、貴重だ。

「…ほんとですか…?じゃあ…タナトス以外でも…出来ると良いんですけど…」

ホント、それな。

同意するところで、タナトスが割って入った。

「別に出来なくても良い」

「え。なんで…?」

スレイプニルが、眠い目をこすりながらタナトスに聞いた。

「枕とポテチと浄化があれば、ここに居る理由は無い。ウチに来い」

は?…なんだと?!ここに来て、まさか宰相家からの引き抜きが!!

「タナトス。ダメだ。コイツは白竜のハートのキングだ。求人募集なら他をあたれ」

「同じ条件の奴がいないから言っている。そもそも…そのおかしな呼び名も妥当じゃない」

?…なんの事だ?何が言いたい?

「あ。あー、えーと…僕、その…どこかに所属すると言うのは…ちょっと…」

スレイプニルが慌てて会話に割り込んだ。

「そんな趣味の悪い金バッチ付けてか?さっさと捨てろ」

タナトスの容赦無い暴言に、スレイプニルは絶句した。

「…それには同意する」

賛同すれば、スレイプニルはますます困惑して帽子を脱いだ。

「え。うそ…グリフォン…カッコいいのに…」

帽子に付いた黄金の王家の証を見て、スレイプニルは呟いた。

うん。見た目とかの話じゃないんだよ?わかるかい?すーぷーちゃん。

「…でも…これも、僕から望んだ物じゃ無くて…いつか返す時が来るんです。ですから…僕は…誰かと約束は出来ません…」

「……。すーぷーちゃん。それは、王家と共にある気は無い。という事で、いいのか?」

「それはそうですよ。…僕はアイティールとは友達ですけど…王家と雇用契約はしてませんし…僕には王家に仕えるなんて…とても…」

それは良かった。

「じゃあ、教会の庇護下に」

「それはお断りします」

こんな時でも秒で断ったな。おまえ。なぜだ!!条件悪く無いどころか、めちゃくちゃ好条件だぞ?!

「…ぷにぷに。ウチに来るなら聞きたい事に答えてやる」

タナトスの言葉に、スレイプニルの顔が明らかに一瞬、惹かれていた。

はあ?!なんだそれ?!聞いてないぞ!!

「待て。なんだそれは?それならこっちも本気で答えを教えてやる。魔法の事でも法術の事でも、知りたい事を言え。言っとくが、教会の情報収集は国家レベルだからな?」

スレイプニルは戸惑って困惑していた。

「えっと…その…と、突然の事でして…少し…考えさせて頂いても…よろしいでしょうか…?」

頭を抱えて、スレイプニルは検討を申し出た。


翌朝、法衣を着て玄関ロビーに出れば、白いローブの雛が、グリフォンに懇々と何かを言われていた。

そして、青い目がこちらに気付くと、気に入らない!とばかりに睨み、スレイプニルに釘を刺して去って行った。

「……。あ。先生、おはようございます」

スレイプニルは困った顔で挨拶してきた。

「どうした?」

「いえ…その…教会に行くのに、無くしたら困るからグリフォンを一度、返すと言ったんです…」

そこは一度じゃなくて、一生返す。と言っていいんだぞ?すーぷーちゃん。

「…それで、その手にあるのはなんだ?」

スレイプニルの手には黄金のグリフォンが光っている。

「…預かってくれませんでした。これは、僕のもので…僕が責任を持つものだと…」

しょんぼりとするスレイプニルは、黄金のグリフォンを見下ろし、ため息を吐いた。

「…先生…僕…どうしたらいいですか…」

途方に暮れる黒い目を向けられて、手を差し出した。

「…預かろう」

そして、アイツに返してやる。

スレイプニルは、グリフォンを眺めて沈黙し、首を振った。

「……。…いえ…やっぱり…僕の責任ならば…僕が持ちます…」

チッ。真面目だな。

白いローブの中にグリフォンをしまうと、スレイプニルは黒い目を向けた。

「…あの。帽子はダメなのはわかるんですけど…フードもダメですか?」

「………それは…どちらでも無いが…目上の者に対しては相応しくない。ゆえに、不可だ」

というか、なんでかぶりたがるんだ。おまえは。


真白い立派な法衣を着込んだ先生と、馬車に揺られて教会に行くなんて…想像もしなかったな…。

アイティールが心配していたのはもっともだ。別人になりすました指名手配犯が、刑事の知り合いと共に、警視庁見学に行くようなものだから。

まさに飛んで火に入る自殺行為。自ら荷馬車に乗り込む子牛。

先週は王弟への面会に憂鬱だったのに、今日はあの人がいるかもしれない…しかも指名手配中の教会に…

「……あ…」

そうだ…!なんで気付かなかったんだろう…!

あの人が教皇ならば、教会が私を探すのは間違いなくあの人の指図だ。デボラの事を知って、私を罪に問いたいのは、あの人だ…。

「…どうした?」

「あ、いえ。別に…」

ローズ先生は、法衣を着込むと性別が完全に中立に見える。

カッコイイ美人って凄い。先生は何者ですか。いや、先生なんだけども。外でもやはりっぱりお化粧するんですね。そのブレない主張、さすがです。

…って!それよりも!くっそー!!誰に責められようとも、教皇!あんただけには、とやかく言われたくないからね!!

「…先生、僕…本読んだら、速やかに帰りたいです」

そわそわとする私に、先生は緋色の目をしかめた。

「…そうするように、言われているからか?」

「え。あ、いえ…それだけじゃ無いですけど…その…香木のにおいが嫌だから…」

本当に嫌だ。思い出すのも不快だ。怒りで叫びたくなるくらいに。

「……すーぷーちゃん…君の父親が誰かを調べる事も出来るんだぞ?」

先生の言葉に、私は顔をあげて断言した。

「絶対にやめてください!!」

本気でやめて!!

あの嘘つきが親戚とかいうのもありそうで嫌だ。

先生は私をジッと見て、静かに言った。

「…しかし、香木が染み付くほどの人物ならそんなに多くは無い」

そうですか。まぁ、どんなに教皇というご立派な立場でしょうとも、子供を騙して飽きたら捨てるような大人ですからね。むしろロクな人物じゃ無いんですよ?

「なら、なおさらやめて下さい。世の中には突いちゃいけないヤブだってあるし、触っちゃいけない竜の鱗だってあるんです。僕は平穏無事でいたいんです。そしたら周りだって平和なんですから」

先生、先生だって世間に知れて、自分トコのトップが保護責任者遺棄とかの罪状食らうの見たくないでしょ?…この世界にその罪状があるか知らないけど。そしてそれも権力で握り潰して終わるかも知れないけど。

「…………」

先生は不満だ。といった様子で馬車の窓枠に頬杖をついて私を見ていた。

まぁ、その姿ですら平日は教師とは思えない、神々しい威厳のある法術師様なんですけどね。

カタカタと馬車は揺れて到着したのは教会…

というか、これ、もう…ほぼ城じゃない?え?なにこの規模。

いや、参拝者も大勢いるし、厳かな感じも確かする。夢の中の世界遺産とかで、テレビでやってたのチョコッと見た事があったりするよ?しかし…それよりも…広いんじゃない?そして、やたらと人の出入り多くない?宗教って、こんな人気なの?

「…………」

参拝者で賑わう人々の列を呆然と眺めながら立ち尽くしていると、ローズ先生が脇の通用門で私を呼んだ。

後について行くと、正面の雰囲気とは違い閑静で整備された通路は一般の入り口とは隔離された道だ。

樹木も整い青々とした高い生垣が自然と区画を隔てて道を誘導している。

滑らかで均一に敷き詰められた石畳を歩いた先は、白銀の鎧に白いチュニックをまとった騎士が2名、入り口に控えていた。

兵士は先生を見ると一礼して先生が示す何かを見て、私を見た。

「スレイプニル。光玉を作りなさい」

先生は私にそう言った。

「光玉…どんなのですか?」

突然の指示に首を傾げると、先生はハッとして答えた。

「普通のだ!普通の光玉」

先生、まだ朝ですよ?こんなに明るいのに?

「普通の?…わかりました」

じゃあ、オレンジ色じゃなくて普通のね。

いざ、作ろうとすると入り口を守る騎士の白いチュニックには、金糸でユニコーンが刺繍されていて、そのユニコーンが上手だなーと思って見てた。ユニコーン、見た事無い。

でも、アイリスがスレイプはユニコーンの血が入ってるって言ってた。確かに。あの優美で気位の高さや賢さは普通の馬とはやっぱり違う。

「…あ」

コロンと手に出来た光玉は、そのイメージが入ってしまって、キャンセルしようと思ったら騎士がヒョイと光玉を取り上げて確認した。

「…え?!」

そしてその騎士が動揺したのを見たローズ先生が、騎士の手にしていた光玉を見た。

それは…白銀の光玉の中に金の光でスレイプを模したユニコーンの姿が立体的に浮かび上がっていた。

「スレイプニル…」

ローズ先生が呻いた。

「す、すみません!やり直します!」

慌ててウミガメのタマゴのイメージを浮かべようとすれば、騎士は拝礼して道を開けた。

「…う、ウミガメのタマゴ…いります…?」

気まずくて、先生に光玉のやり直しを申し出れば、先生は「いらん」と言って私の背中を押して進んだ。


「…先生ー。だって普通の光玉って言うから…」

磨き上げられた廊下を黙々と歩く先生に、言い訳しながらついていく。

「…普通の光玉に金のユニコーンは入らないだろ」

ジロリと緋色の目を向ける先生は、呆れている。

「騎士の人の金の刺繍が見えたから…入っちゃったんですよ…」

「…おまえな…あんなの作っといて…目立つの嫌なんだろ?」

「いや、そうなんですけど…そもそもなんで光玉が必要だったんですか?」

こんなに明るいのに。

「ここからは法術師だけの区画だ。光玉か、通行証がいる」

「ああ…それで…。なら、あらかじめ作っておいたのに…」

「ダメだ。その場で作らないと他人のを持参されると意味ないだろ」

「ああ…たしかに…そうですね」

「…おまえ、あれ…おそらく上に持っていかれるぞ」

「上?」

「教会の上層部だ。教皇様もご覧になるかも知れない」

「……。先生。僕はこれで」

回れ右した私のローブを先生は掴んだ。

「すーぷーちゃん。ここには何しに来たんだ?…自分で目立っておいてなんだ」

先生、笑顔が笑顔になってませんが…

「作り直せば良かったーーー!!」

「ほら。行くぞ」

「帰るー!僕は帰るー!」

「静かにしろ。目立つぞ?」

「………(帰らせて下さい…)」

声を潜めて真剣にお願いした。

「ダメだ。諦めろ」

「(先生…僕、教皇様とかお偉いさんがいたら本気で逃げますからね?いいんですか!)」

「ダメだ。やめろ」

「センセー!!嘘つきー!!居ないって言うから来たのにー!!」

私、泣いちゃうよ?!本気で嫌なんだからね?!

「スレイプニル…教会は声が響くんだぞ?」

先生の緋色の目がチラリと通路の奥を見た。

つられて見れば、白い服の若い男性達が2〜3人、こちらに早歩きで向かって来た。

あわわ…!

私は慌てて先生の背後に隠れた。

「先生。お出迎えが遅くなりました。申し訳ありません」

知らない若者の親しそうな声がして、先生が「クロム。騒がしくしてすまないな」と応えていた。

「いえ。あの光玉は先生ですか?」

「…もう見たのか?」

「はい。ベイレさんが大慌てで持って行かれましたが…あれはどうやって作るんですか?」

興奮を抑えた口調で聞く若者の声に、先生は「…だそうだ。スレイプニル」と背後に隠れていた私に話を振った。

「(……どう…と言われましても…)」

作ろう思って作ったわけじゃない。失敗作なんで…。

先生の背後でそのローブを掴み、言いよどんでいると、先生は半歩、身を翻して私の隠れ場所を奪った。

「!?」

ちょ!!先生!!誰ですか?この方たちは?!こっちは面が割れたら困るんですよ!刑事さん!!

左側の壁に背を向けて、背中に隠れるのを拒否した先生を見上げて、視線を目の前に移せば20代くらいのレムリア人の青年達が私を見下ろしていた。

「……あ、あの…僕…」

「黒い目…先生…この人は…?」

レムリア人の青年が私の目を見て息を飲み、困惑して先生に聞いた。

「そいつが、白竜のハートのキングだ」

先生の言葉に、その場にいた青年達が驚愕して私を改めて見た。

「あの…僕…その…。先生…僕…やっぱり帰ります!」

踵を返して逃げる私の手を、先生があっさり掴んだ。

「スレイプニル…勉強せずに帰るとは…良い度胸だな」

ローズ先生の胡乱な目が、お前は犬よりわかりやすい。と笑っている気がした。

「先生…どう言う事ですか?…本当に…この人が…ハートのキング…?」

「そうだ。言った通り、意外だろ?」

先生は私の手を掴んだまま、青年に笑いかけた。

「今日はこいつに本を読ませてやりたいんだが…」

ローズ先生が言えば、青年は深刻に申し出た。

「……。先生、その前に。その…教会では今、黒い目を持つ者を探していまして…今しがた彼が該当すると衛兵から報告されたので担当の者もいます。調べさせて頂けませんか?」

ギクリ…!!

「ああ。そうだ、聞きたかったんだ。私の所にも改めて通達が来てたが、なんだそれは?」

「我々も詳しい経緯は教えて頂いていません。ですが、見つけ次第、報告と保護するように言われております」

「…そうか」

先生は私を見下ろした。先生まで、しげしげと見て来る。

「あ、あの!僕…すでに教皇サマにお会いしたから、それ…大丈夫じゃないでしょーか?」

もう一回とか言ったら、本気で逃げよう!

そう算段していると、クロムもほかの青年達も「教皇様と面識がある?」と、困惑していた。

「…そうだな。確かに誰かに良く似てるとおっしゃっていたが…まぁ、必要ならいつでも応じられるだろ。今日は午前中はここにいる」

先生もそう言うとクロム達も、それなら…その時はお願いします。と、案内をクロムに任せて他2人は解散した。

ああ…もう…気が気でない…。早く帰りたい…。

先生に逃げないように手を引かれ、クロムという青年の案内で図書室に向かう。

道中、青年はチラチラとこちらを見てきた。

「…おまえが想像していたキングとは全然違うだろ?クロム」

先生が薄く笑いながら言った。

「…はい…」

再び見下ろされたその茶色い目には、こんな子供みたいな人が本当に?という文字が書かれていた。

「クロム。あの光玉を作ったのは、コイツだ」

クロムと呼ばれた青年の目が私を見て、先生を見た。

「こいつは、光玉の授業初日で光の明暗を変えるアレンジ光玉を作った。赤竜と乱闘してクラブのキングも討ち取った。光玉においては見た事も無いものばかりをポンポンと作るし、黒竜の教室で3桁の光玉も一気に出した」

「……ご冗談でしょう?」

クロムという青年が引きつって笑えば、先生は続けた。

「他にもあるぞ。2年の授業を盗み見て校内丸ごと範囲回復もした。だが、肝心の治癒と浄化が未完成だ。出来ているのに出来ない。だから調べに来た」

「……出来ているのに出来ない?」

「そうだ。スレイプニル。…クロムに見せてやれ」

手を掴まれたまま、歩みを止めた先生に促された。

言われるまま、法力を高めて治癒の言霊を紡げど、光は手の中で霧散した。

「これは…中断したのではなく?」

「そうだ」

「…あの…せ、先輩…ですか…?」

おずおずと問えば、レムリア人の青年はが「ああ、クロム・ホルスだ」と改めて名乗ったから、「スレイプニルです」と会釈した。

「クロムも白竜の出だ。あの後ろにいた2人は神学校出か?」

先生に問われ、クロムと言う青年は頷き、「フォルとレンデです。出身校は違いますが、同期です。今は黒い目の捜索を担当してまして」と答えた。彼らもレムリア人だった。

「(クロム先輩は、クスト先輩の先輩って事ですか…?)」

先生にコソッと聞いたつもりが、クロムにも聞こえたらしく苦笑した。

「クスト…ああ、あの1年生も今や後輩を持つ先輩か。懐かしいな」

「ご存知ですか…?」

クスト先輩が1年生…の時?

「ああ。あの時は黒竜が白竜をむしり取ったからな。キングとクィーンが揃って出て、白竜で沸いてただけに、荒れたなぁ」

…あぁ…やっぱりそれなのか…。

「それで?…校舎丸ごと範囲回復って、どういう比喩だ?」

私を見下ろして聞く青年クロム。

さすが先輩の先輩だけあって見下ろされて問われれば緊張する。

「あ、あの…僕、初めてだったので…どんなものかわからなくて…見よう見まねでやったら、範囲を指定してなかったんです…」

「……?」

意味がわからない。という顔をされると不安になる。先生を見上げると、補足してくれた。

「そのままだ。こいつは1階から3階の校舎隅々までの範囲で慈雨を降らせた」

「…本当に?!」

クロムの目が信じられない!と驚いた。

「あの…でも…それ…媒介?があったし…」

「掃除用具だろ」

先生が間髪入れずに言った。

「もう1回やれと言われて出来るか、わからないですし…」

「そう言えば、それは試して無かったな?」

範囲回復はあの1回きりしか試していなかった。

「…今ではそれも…不安です…」

しかも睦ちゃん無しででしょう…?

「そうだな。…だが、休みの日に試してみよう」

「えっ…えーと…それは…」

週末は安易になんでも約束すると大変だからなぁ…

「まぁ、そんなわけでクロム、図書室に行きたいんだが」

そんなやりとりをして、先生が行き先を告げると、呆然としていたクロムは慌てて歩みを始めた。

「…聞けば聞くほど、驚く事ばかりです…その階級章も初めて見ました…」

嘆息とともに、クロムはチラリと私の白いローブに付いたハートのキングの階級章を見た。

「こいつは毎日、毎日、思いがけない事をしでかすからな。黒竜のメルセデスにはもちろん目を付けられるし、赤竜のベネトルシュにも興味をもたれるし、王弟の息子には所有権主張されるし、ここに来て宰相家もコイツに求人するしで…正直、教会にさっさと登録させたい」

登録?…なにそれ?まさか…なんかのだまし討ちですか?!

不安になって先生を仰ぎ見れば、先生の緋色の目が私を見た。

「しかし、それでもこいつはどこにも属さず学校に残りたいって言うんだ。ワガママだろ?」

「……学校に?なぜですか?」

クロムの問いに、先生は私は見て答えを譲った。

「あの…僕…もう、十分なんです。これ以上はいりません。今は白竜のみんなも、先生もいてくれるし…他は望みません」

「望まないって…じゃあ、卒業したらどうする気なんだ?」

驚くクロムに「……土でも耕して細々と暮らそうかと…」と真剣に答えれば、彼は絶句して目を丸くした。

「…こいつの難点はコレだ」

先生は、苦々しくため息を吐いて苦笑した。


「…わぁ…!」

案内されたその部屋は、採光に大きな窓と、高い天井にも天窓がついていて床面積も広い部屋だ。そこに背の高い本棚がズラリと無数に並び、古そうな本から新しい本までギッシリと収められた。

「これ全部、法術の本ですか?」

キョロキョロと見渡しながら聞けば、クロムが答えてくれた。

「そうとも限らない。病についてや、植物について、動物の生態や、歴史、地理… あらゆる分野がある」

「…はぁぁぁー…」

それ、普通に図書館だ!しかも上の方の本はハシゴで取るの?スゴイ!クラシカル!

「どうだ?本、読み放題」

先生が、自慢気に言ってきたから、感動してコクコクと頷いた。

「こんなにあるとは思いませんでした…!」

「教会が集めたり、過去の法術師が書き記した研究物まで多岐にわたり色々ある。ここに無いのは魔法書と大衆本くらいだな」

大衆本って、週刊誌とか芸能雑誌みたいなの?確かに。教会には無さそう。

「…好きに読んでいいんですか?」

「読んだ本は元の場所に戻せ。複写、持ち出しは禁止。汚したり破損したら申告しろ。以上。呼ぶまで解散」

先生が注意事項を言って、自由を言い渡すと私は早速、本棚に物色しに早足で飛び込んだ。

新しいのから見てみよう。

法術関連の本棚で端から手に取り、目次を見て明らかに違う本は元に戻す。パラパラとめくり、それらしいのがありそうな雰囲気の本はその場で抜粋読みしてみた。

「……違う…」

戻して、次に。なかなか根気がいりそうだ。面白い本ならいいのに。これが済んだらヒュプノスの事も調べられないかなって思うから、どんどんやっていかなくちゃな…。


お気に入りの公園に連れ出した犬のように、スレイプニルはあっという間に本棚に消えた。

「先生はどうなさいますか?」

クロムが問えば、

「…さて、どうせしばらくアイツはおとなしくしてるだろうから、その間に上と話を済ませておきたいんだがな…」

予想した事態を呟けば、案の定、使いの法術師がローゼフォンを呼びに来た。

「…ローゼフォン様。ベガ様がすぐに来られるようにと…」

「…ベガ様だけか?」

「はい」

「…教皇様はおいでか?」

「ただ今、外へお出になられてます」

「そうか。今、行く。クロム。時間あるか?」

「昼前までなら大丈夫です」

「たまに、ここに来てアイツを見ていてくれ。酒さえ飲まなければ大人しいから大丈夫だ」

「…酒?…ですか?」

クロムは眉をよせたが、「まぁ、ここにそんなもの無いだろうから問題無い。ずっとじゃなくて、たまにでいい」と言い置いて、使いと共に部屋を出た。

クロムも部屋を出る前に、彼がどうしているか確認しておこうと姿を探せば、図書室の長机は使われていないままだ。

本棚を一区画ずつ見て行くと、小柄な白いローブが本棚と本棚の間の通路で机に移動する事なくその場で座り込んで本を読んでいた。

…確かに…おとなしい…。

彼の口から出たクストの名前に、当時の1年生を思い出す。とても、静かに本を読みふけるような年代で無かったはずだ。いや、それにしても…その背中から肩幅も首も雰囲気もクロムの想像していたハートのキングには全然、見えない。

侍童が白いローブを着たような彼に…本当に校舎丸ごとの範囲回復が?

クロムは首を傾げ、無言でその場を立ち去った。

ローズ先生は士官学校からの委託で法術師の教師をしているが、教会の役職ではかなり上位だ。それに気付いたのは卒業して教会勤めになってからだが。

あの女装が許されるのも、1番は教皇様が許可しているからだろうが、役職が高いからだ。でなければ、上から絶対指導が入る。

…教皇様はどうか知りようが無いが、ローズ先生といい、ハートのキングといい…やはり、上位の者は他人と違った感覚というか…何かがあるんだろうか…。

クロムは自分の仕事をさばきながら、そう思って時計をみた。あれから2時間は経とうとしている。

しまった…1時間くらいで一度、確認しようと思っていたのに。

今頃、飽きているか、先生が戻っているかもしれない。それでは自分に任された、たまに様子を見る。という事を遂行出来なかった事になる。クロムは席を立った。

教会は禁止事項が多い。走る事もその一つだ。クロムは大股で早歩きをして図書室を目指した。

閉められた扉を開けるも、ローズ先生の姿は無い。静まりかえった室内には、あの1年生の姿も机に無いから、帰ってしまった可能性もなくは無い。

クロムは最初に見た区画を確認しようと、室内に入り本棚を数えて進んでいく…すると足元に光を感じて目を落とした。

「?!」

それは光で描かれた法位陣の一部だ。クロムが踏んだ事でそこだけわずかに白い光の波が立っている。

ビクリと驚いて、慌てて足を引いた。

なんで?!図書室に?!

この辺縁の一部を見ても、その円の直径が大きい事がわかる。この中央となると本棚の5個先くらいだ。

法位陣を使う時は魔法攻撃を避ける有事の時だ。

これは只事じゃ無いとクロムが図書室を出た時、ちょうど赤い髪の法術師がこちらに向かっていた。

「先生!ローズ先生!」

クロムの声に、ローゼフォンが足を早めてやってきた。

「どうした?」

「図書室に!見て下さい!」

クロムとローゼフォンが図書室に踏み込み、クロムが自ら見つけた法位陣の場所へ案内するも、すでにそこには何も無かった。

「…消えてる…ですが!確かにここに!」

クロムの動揺に、ローゼフォンは片手をあげて制した。

「…スレイプニル!」

ローズ先生がその場で声をかけると、5つ向こうの本棚からヒョコっと白いローブが顔を出し、本を抱えて走り寄って来た。

「先生、この本、面白いです」

ワクワクした顔で嬉しそうに報告すると、抱えていた本を先生に差し出した。

「…対抗防御法術…前編」

本を受け取り表題を読み上げて、先生はハートのキングを見下ろした。


「………」

ローゼフォンは、クロムが見た物に察しがついた。

「…試したのか?」

静かに問えば、スレイプニルは嬉しそうに目を輝かせて答えた。

「まだです。でも、やってみたい。…先生は防御法術をご存知ですか?」

それはドギーが公園でボールを見つけて持ってきたような姿に似ていた。

ボールを見つけて自分で転がして、なんだか面白そうなモノを見つけたから、遊び方を教えて欲しい。とボールを咥えてねだってくるようなものだ。

「……。これは、教皇様の得意法術だ。この本も教皇様が手がけてらっしゃる」

その名を聞いて、スレイプニルは「ええ?本当ですか?!さすが教皇様ですね!」と喜ぶどころか、一気に気分が下がった。

「…えぇ……ホントですか…じゃあ、イイです…」

砂を吐くように、うんざりする様子のスレイプニル。

「おまえ…それ、本当に大概失礼だから、やめろ」

パンタソス様の事を何も知らないで!きちんと会ってみろ!絶対、尊敬出来るぞ!

スレイプニルは、叱られて俯くと本を受け取り渋々本棚に戻しに行った。

「…先生!確かに見たんです!」

クロムが弁解しだしたので頷いた。

「ああ。疑いはしない。アイツの事だ。本を読みながら無意識に発動させたのかも知れない」

なにせ、入学初日に復活の法術までした奴だしな。

「まさか!そんな事あり得ない!!」

「…そう思うだろ…?」

動揺して驚愕するクロムに、気持ちはわかるぞ。と共感しながらも、ここ数週間アイツを間近で見てると、アイツだからあり得なく無いよな。と、どんな事もすんなり受け入れられてしまう。

…慣れって怖いな。

スレイプニルが戻ってくると、調べに来た目的の成果を聞いた。

「それで?何かヒントはあったのか?」

スレイプニルは首を振った。

「まだ全部は確認出来てませんが…同じような事例を見つけられません…」

まぁ…そうだろうな。俺も聞いた事無いし。少なくとも、この20〜30年の間には無いだろう。

「まだ少し早いがどうする?続けるか?」

そう聞けば、スレイプニルは本を見回してから目線を落とした。

「…そろそろ帰らないと…アイティールが心配するので…」

ああ?…あいつはお前の母親か?

「王弟の息子は関係無い。おまえの人生だろ」

「…それは…そうなんですけど…でも…」

煮え切らないスレイプニルの態度に、苛立つ。

「ちょうどいい。そこに座れ」

図書室の閲覧用の席を示して、自分も机を挟んで対面して座った。

「…クロム。おまえはここにいて仕事はいいのか?」

目にしたことの無い事例を目撃してから、ハートのキングの言動に興味深そうにしていたクロムだが、クロムとて今は勤務中のはずだ。週末でも、法衣を着ていればその証だ。

「あ。すみません!そうでした。これで失礼します」

クロムは我に帰り、一礼して図書室の扉へ向かうとスレイプニルは立ち上がり会釈した。

「あの、クロム先輩。お世話になりました」

その姿に、クロムは意外そうな顔で驚いたが、ふっと力を抜いて「ああ。またいつでも来い。教会は救いの家だからな」と笑って去って行った。

「…救いの家…?」

ゆっくりと座りながら、言葉を反芻するスレイプニル。

「治癒や浄化を行う場所でもあるから、そう言われている」

補足したら、スレイプニルは合点がいったようだ。

「ああ、そうか。…だから、あんなに人が並んでいたんですね。参拝の割には大盛況だなーって思ってたんです」

「……おまえは、ケガや病で教会を利用した事がないのか?」

病の方は言っても食あたりや二日酔い等の解毒や、対処治療になる事が多いが、ケガの治療は大小様々だ。若くとも、ケガをすれば誰しも一度は教会に行った事はあるだろう。

「…そう言えば、ありません」

「無い?…ケガをしたらどうしていたんだ?」

「…傷薬を塗ってました。一晩経つと、翌朝には跡形もなくすっかり治っているんです」

…そんなバカな。そんな傷薬があるわけ無い。…いや、しかし…こいつ自体が規格外の連発だからな。

「あ、でも不思議なんですけど、それは効いたり効かなかったりするんです」

「どう言う事だ?」

「今でも不思議なんですよねぇ…ささくれ程度の小さな傷はすぐに治らなくて、そこそこな傷だとすぐに治るんです」

「………逆じゃ無いか…?」

「ですよね。僕もそれが不思議で。あと、コッソリ塗ったのも一晩では治ら無かったです」

「…なんだそれは?」

「なんですかねぇ?…謎の軟膏でした」

「どこで買ったんだ?」

「さぁ?…師匠が持っていたものなので」

「その師匠…何者だ?」


そう先生に聞かれて、はたと思い出した。ここは教会で、先生は教会関係者で、デボラは有名人だった。

「…な、何者だったんですかねぇ…謎な人でしたねぇ…」

フイと目をそらして答えをはぐらかせば、先生の目が細まった。

「今、その師匠は何をしているんだ?その人がおまえの保護者みたいなものだったんだろ?」

「……それは……その…事情がありまして……」

「可能ならば、ぜひ今のうちに一度でも二度でも会って話をしておきたい」

先生とデボラが?!…いや…話をするのは無理だけど…

「…それは…無理ですね…」

「なぜだ?」

「……。今…師匠は生きていませんから」

私の答えに先生は沈黙した。そして、謝った。

「………。…そうか…すまなかった…」

「…いえ…」

「…さっき、上から呼ばれてな。案の定、お前の光玉について色々、聞かれた」

「あの失敗作でですか?」

「……。おまえ、仮にも教会のユニコーン付けといて失敗作とか言うな。教皇様の事と言い、本気でお前の言動が目に余る」

クロム先輩達とは質とデザインの違う法衣を身にまとい、教会で説教をする先生は学校にいる時より厳しい気がする…。

「…それは、失礼しました…」

「お前がどう思おうが、教会は王家同様…いや、場合によってはそれ以上の権威がある。不用意な発言で目をつけられては国中にある教会だ。お前の望む平穏無事など、程遠い」

「……………」

先生、私…今、まさにそれ。原因は発言のせいじゃないけど。

「だが、おまえが教会の庇護に入れば教会はお前を狙う者達からおまえを守れる」

教会…教皇サマからも守って頂けたら良いんですけど、無理ですよね。それ。

「……無理ですよ、先生…」

「なに?」

「僕は…どこにいても厄災です…」

「何を言ってるんだ?」

「…例えば…タナトスですけど…彼は僕よりもずっと凄い。でも、魔法は封じられていて、眠れない病で、ずっと苦しんでいる…それなのに皆はタナトスが怖いって言う…」

「……それで?」

「僕は…僕も魔法は使えます。でも、法術は中途半端で…誰も救えない。そればかりか、安易な気持ちや無意識で…知らぬ間に…誰かを…傷付けたり…殺してしまうかもしれない…本当は…タナトスよりも…そんな僕が1番怖いと思いませんか?…タナトスはきちんと予告してくれますよ?でも、僕は…僕は…それが出来ない…だから…僕は…ひっそりと暮らした方がいいんです…」

握った手にポタリと涙が落ちた。

「…何があった?」

「………それは」

言葉にするのをためらった時、教会の鐘が正午を告げた。

ガラン、ゴーンと大きな複数の鐘が鳴り響くと、アイティールの言葉が思い出される。

玄関ロビーで、アイティールに釘を刺された言葉…。

「正午を過ぎても戻らない時は、王家の権限を使ってでも君を探す」と、言われれば、仲が悪いと言われている王家と教会が更に険悪になりそうで…しかも、その原因が自分の本を読むという些細な希望からだというのが、恐ろしい。

私はガタリとイスを倒して立ち上がると、その勢いに驚いている先生に言った。

「先生!僕、今日はこれで失礼します!正午には戻らないと!」

涙を拭って、そう言うと窓の外を見た。

ここからでも見えたのは見た目こそ派手じゃないけど、明らかに要人が使う大きめの高級な馬車と、数頭の馬に乗った従者達だ。

艶やかで重厚な車体に金のグリフォンの証が刻まれた馬車から、金の髪の青年が降り立った。その後ろを複数の揃いの従者が控えれば、かなりの圧力だ。

マズイマズイ!!本気で来てるし!!

キョロキョロと見渡せば、格子の入っていないテラスへ出られる窓があった。

慌ててそこに行き、鍵を開け窓を開け放った。窓からテラスに出ると風がローブを大きく揺らす。

「スレイプニル!どうした?」

先生が戸惑いながら何をするのかと近寄って来たから、止められる前に説明した。

「正午に戻らなければ、王家の権限で教会から僕を探すってアイティールが言ってたんです!それってまずいですよね?!」

「…アイツ、本気か?そんな事を教会にすればどうなるか、わからなくないだろう?」

先生は格子の入った窓から外を見て顔をしかめた。

「僕は、誰にも争って欲しくない…なので!すみませんが、お先に失礼します!!」

言うだけ言うと、私は3階のテラスから躊躇なく飛び降りた。

「スレイプニル!!」

先生が、血相変えて止めに走ったけど、私はすでに身を投げて落下した。

風を大きく受けて広がる白いローブに、アイティールはすぐに気付いたようだ。こちらを見上げながら悠々と歩いている。

本来ならこの高さなら何か途中で勢いを消せる屋根か足場があれば良かったんだけど、あいにく何にも無い。まぁ校舎からも降りた事あるし。不自然さは否めないけど、私は風をクッションにして速度を落とし、うずくまるように着地した。白いローブが着地から数秒の遅れでバフッと地面に広がった。

見た目はスタッ!と、忍者みたいでカッコ良かったかも知れないけど、それでもやはり足の裏はジンジンしてる。

「……ニル。約束通り迎えに来た」

アイティールは満足そうに微笑してるけど…こちらは、気が気でないし、せわしない。

「アイティール…ちゃんと帰るから来なくても大丈夫だったのに…」

ローブの裾を払いさせながら立ち上がると、アイティールは真顔で聞いてきた。

「…風を習得すれば、私も3階から降りられるだろうか?」

「……。わからない。…けど、ロキさんが卒倒するからやめてあげて。それに僕まで叱られるよ」

それは困る。と首を振ればアイティールは上を見上げて、見た事ない意地悪な顔で笑った。

「あの…アイティール?」

アイティールが空を見てそんな顔するのは、私に対する予告だろうか?

やめてよ。君が大ケガでもしたら王弟に打ち首にされちゃう!

「………。…昼食がまだだろう?家で教会の話を聞かせてくれ」

アイティールは視線を戻し、私を見て微笑んで馬車に向かい歩く。

私はローブのフードを目深にかぶるとアイティールと共に、教会の敷地を出て馬車に乗りこんだ。


風に白いローブがはためき、黒い目の少年は「誰にも争って欲しく無い」と身を投げた。思いつめたその顔に心臓が凍る思いで手を伸ばしても、躊躇なく飛び降りられては空を掴むしかない。

飛び降りた先で下を覗けばフワリと羽毛のように白いローブが広がって、金の髪の青年は驚きもせずに空から降りてきたその者を迎えた。

スレイプニルはすんなり立ち上がり何事かを言うと、アイティールはこちらを見上げて嘲笑うような目を向けてきた。

その青い目が「どうです?よく躾られているでしょう?これで誰が本当の飼い主か、わかりますよね」と言っているかのようだ。

あの野郎…。スレイプニルの首に王家の首輪だけでなく、鎖を付けた気か!

ローゼフォンは王家に対して中立の立場でいたかった。教会の人間であっても、王家に個別に恨みがあるわけでも無いし、教師として冷静に物事を見ていたかった。

だが…アレは…頂けない。

自分が欲しいモノは、誰がどうなろうと必ず自分の物にする…王家の人間にはそういう癖がある。

白いフードを目深にかぶり、うつむき気味に王家の後ろをついていくスレイプニルの後ろ姿が、王家に従属するようで不快だ。不快という感情以上に怒りがわく。

…やはり、さっさと登録させねば…いや…それだけでは不安だ。

騒がしくなった教会内部で、こちらに近付く複数の足音を耳にして、ローゼフォンは窓を背に扉が開くのを待った。

…若者の無自覚な行動の後始末は大人の仕事だ。

とは言え…教皇様、早く帰って来て頂けないものか…。

ローゼフォンは深呼吸すると、口角をあげて扉が開く音を聞いた。


教皇パンタソスは、馬車の中でため息を吐いた。

あの子が消えてから約1ヶ月…さすがに堪える…。どこでどうしているのか…いっそ、全ての人や物流を止めてしまいたいが、ランゲルハンス島ではそれが出来ても王都ではそれも難しい。

それでも、モルフィネスが動いてくれているから検閲はかなりしっかり出来ている。だからこそ、パンタソスも捜索だけでなく、教皇としての仕事が出来ているのだが…しかし…

「…教皇辞めたい…」

ボソリと言った言葉に、同乗していたアダムが「聖下…ご冗談でも、おやめください」と、たしなめた。

「…こんな仕事なんかしていたから、あの子がいなくなったのにも気付かなかったのだ…さっさと引退して隠居すれば良かった…」

泣き言を言うパンタソスに、アダムは涼しい顔で答えた。

「聖下…万が一にも首尾よく隠居されたとして、きちんと告白出来ていましたか?聖下の事です。週1回の覗きが1日中になって、不審者扱いされて嫌われてしまうのがオチです」

教会最高位の教皇の従者として、その言いようはどうなんだ?

「………黙れ。おまえなんか嫌いだ」

パンタソスは頬杖をついて拗ねたようにそっぽを向いた。

「聖下。未だ痕跡やご遺体すら見つからないのです。おそらく、どこかで元気にされています」

「…………」

遺体ですら見つからない。安心する一方で、じゃあ、人知れず殺されて、埋められたり海の中に遺棄されたりしたらどうなんだ。と不安ばかりよぎって心労がたまった。

そうなった場合、復活さえさせてやれない。完全なる消失だ。

同じだ…あの時と…。

パンタソスの脳裏に長い漆黒の髪を風に揺らす娘が浮かんだ。

夕陽に振り返り、幸せそうに微笑んでパンタソスを呼ぶ娘を、もう二度とパンタソスは見ることが出来ない。

あんな思いは二度と御免だ。

混血でも両目とも黒い者は珍しい。それが、漆黒の色となればかなり絞られる。変装していたとしても、目の色のごまかしは難しい。あえて性別は特定しなかった。

重い気持ちで大聖堂に到着した馬車を降りれば、何となく教会内がさざめいている気がしてアダムに確認させた。

「…聖下。ローゼフォン殿がいらしているようです」

「…今週もか?」

別に悪い事でも無いが、2週続け来るとなると例のハートのキングの出生についてか?

いや、そう言えば、普通便で手紙が届いていた。しまった。捜索書類に埋もれて、すっかり読むのを忘れていた。普通郵便だし、学校に赴いた後の礼状か挨拶状かと思った。

「ハートのキングも一緒に来ていたようです」

「すぐに呼べ」

アダムの報告にかぶせ気味に指示を出した。

あの見事な格闘をする少年が、一方でローゼフォンの持って来た明度が変化するオレンジ色の光玉を作る繊細さを持ち合わせているのが意外だった。

それに、ヴィナにあれほど酷似した者がいる事にも驚いた。性別や性格は違うが、似ているだけで手元に留めておきたいと思えるほど、娘を見失った事が堪えていた。

パンタソスはローゼフォンが来る前に、手紙を開封して目を通した。

やがて、アダムに連れられて現れたのは赤毛の麗人ローゼフォンと教会の法術師の男だけだ。

「あの子はどうした?」

開口1番そう問えば、ローゼフォンは困ったように苦笑した。

「聖下…お騒がせして申し訳ありません。…彼は…今はおりません」

「いない?なぜだ?」

ローゼフォンの言葉にパンタソスは応接のイスを手で示して座るようにすすめた。

ローゼフォンの後ろについてきた法術師が、小さな箱をアダムに手渡して部屋を辞した。

「…失礼します」

先にパンタソスが座るのを見届けて、対面した席についたローゼフォン。

アダムが渡された箱の中身を確認すると、すぐにパンタソスの元へそれを運んだ。

箱の中には白い絹の布が敷き詰められ、その布に包まれる形で光玉が1つ収められていた。

「…これは…おぉ…器用だなぁー!」

それをつまみ上げ眺めれば、思わずパンタソスも声をあげた。

白銀の光玉の中に閉じ込められた黄金のユニコーンの姿は立体的かつ細部まで見事な作りだ。優美な姿は今にも駆け出しそうなリアリティがある。

「これは…やはり、あの子が作ったのか?」

「はい。教会への通行申請の際に」

「通行申請…では、短時間でこれを?」

「はい。本人は普通の光玉を作るつもりで…目にした衛兵の紋章が入ってしまった。と」

ローゼフォンの言葉に、パンタソスもアダムも感嘆した。

「…イメージから法術で具現化するまでのプロセスが驚くほど早いな…」

パンタソスが唸れば、ローゼフォンは頷き答えた。

「はい。それは最初からです。彼は初めての光玉の授業でアレンジ光玉を初回で作り、常識ではありえない光玉を、遊ぶように作ってしまいます。それも、こういうのがあったら良いな。と思うままに…」

「………」

パンタソスは興味深そうに黙って聞いている。

「彼の場合、イメージした時には具現化が始まっているので…黒竜の教室では3桁の光玉で溢れさせました。

そのユニコーンの光玉も、本人が作ろうとして作ったわけではなく…出来上がってから間違えた。と」

「この光玉を…間違えた…」

熟練した職人が時間をかけて作り上げたような光玉を…わずかな時間で、しかも簡単に…。

しげしげと光玉を眺めて呟けば、ローゼフォンが慌てて補足した。

「あ、いえ…その…本人に悪気はありません」

別に悪気とかそういう事を咎める気は無い。むしろ、器用だな。と褒めてやりたいくらいだ。

「それで、その本人はどこに行ったんだ?」

パンタソスが問えば、ローゼフォンの動きは止まった。

「それは…その…友人との約束があるから。と、出て行きました」

「止めなかったのか?」

不思議そうに問うパンタソスに、ローゼフォンは言いにくそうに答えた。

「…それが…止める間もなく、図書室のテラスから飛び降りたので…」

パンタソスが驚いて腰を浮かせた。

「3階だぞ!?ケガをしたんじゃないか?」

「いえ。それが、難なく着地して迎えの馬車まで歩いて行きました…」

その言葉に、パンタソスもアダムも耳を疑った。

「…なんと…それはまた…ずいぶん、身軽だな…。あぁ…まぁ…そうだな…確かに、身軽だったな…」

パンタソスは座り直して、頷いた。思い出されるのは、獣のように戦い、猫のように四肢で着地した姿だ。

「私もまさか、窓から飛び降りるとは思ってもみませんでしたので。ですが…あの慌てぶりには…ある意味、その理由がわからなくもありません…」

「どう言う事だ?」

「彼の友達というのは…王弟アルタイルの息子、アイティールです。正午までに戻らなければ、教会を探す。と脅されたようで…現に王家の紋章を付けた馬車で迎えに来ていました」

パンタソスの目が王家の名を聞いて閉じられた。背中をイスの背につけて息を吐く。

「……それは、面倒だ」

いや、正直、最悪だ。不吉でしか無い。

「…彼と…王弟の息子とは本当に仲がいいのか?」

そんな脅しを言うのを友達とは言わないだろう。

呻くように問うパンタソスに、ローゼフォンは自分が叱責されているように緊張していた。

「…仲は…一見、良いように見えます。スレイプニルがつまずいた時にはあれこれ親身に相談や世話をしているようですから…」

「そうか…。…それも…望ましく無いな…」

パンタソスは深刻に俯いた。将来の教会関係者…しかもこれだけの技量があれば、高位になるであろう者が王家に恩を受けるのは、見返りに何を求められるか…。

「…友と言うのであれば、うまく、対等であれば良いが…言いなりになるようでは、いかに法術が上手くとも望ましく無い」

パンタソスの言葉に、ローゼフォンは視線を落として拳を握った。そして、思い切って発言した。

「聖下。彼には、登録と後見人が必要かと思います」

「…後見人…彼には身内は?」

「おりません」

「誰も?」

「はい。本人はそう申していますし、入学の際の書類にも明記されていませんでした」

「…そうか……では、こちらで確認して確かならば、私も後見を検討しよう」

その言葉に、ローゼフォンは動きを止め、瞬いた。

「……。聖下…。あの…」

「ん?…なんだ?」

言いにくそうにするローゼフォンにパンタソスが促せば、ローゼフォンはかなり前置きした。

「まさかとは思うのですが…いや、私の不遜でしたらお叱り頂きたいのです…」

「なんだ。率直に言いなさい」

パンタソスが再度、促した。

「…スレイプニルの後見を…聖下がなさるわけではありませんよね…?」

ローゼフォンの確認に、パンタソスは沈黙した。そして、アダムを見ると気安い口調で念を押した。

「………。そうか。アダム。別にいいよな?」

パンタソスはアダムを見て、そう弁解した。それはもう、「後見人になるつもりだけど、若者の後見になったからって、そいつが次期教皇に決定だとか、そういうつもりじゃないよ?」という弁解だ。

「……聖下。本気ですか?」

アダムは呆れている。

「聖下!おやめください!」

ローゼフォンは青くなっていた。

気心知れた部下に呆れられるのは今更だが、ローゼフォンの方は必死で回避しようとするのを見てとれて、パンタソスは不満だった。

「…なにもそんなに嫌がらなくても良いではないか…」

心外だ。まるでパンタソスには無理だと言われているようだ。

「…聖下…聖下がハートのキングを後見にしては…それはもう、周囲の人間は事実上の後継だと思います。そうなれば各所で混乱が必須ですし、1番にスレイプニル本人にとって負担です。彼は、権威を厭い、卒業したら、どこにも属さずに土を耕して細々と暮らしたい。と申しているくらいですから」

ローゼフォンの言葉に、パンタソスもアダムも沈黙した。

そして、パンタソスは爆笑した。

「ハッハッハ!!なんだそれは?!土を…耕して暮らす?!本気で?!法術師が?!」

「……それは…いくらなんでも…」

普段、滅多に笑わないアダムでさえ、口を押さえている。


「…聖下…本人は真面目にそう思っています。自分は厄災だから、誰にも関わらずに暮らしたい。と」

『私が…普通じゃないから?…父さん…』そう寝言で呟いて涙を流した少年の気持ちは、彼を知る者で無ければ、理解出来ないだろう…。あいつは普通に…いや、普通以下での暮らしも辞さないだろう。

「…厄災?またずいぶん、大げさだな」

笑いを落ち着かせて苦笑して言う教皇様に、スレイプニルは火の魔法も…まして補助魔法ですら一度見ただけで使える事を打ち明けようかと迷った。

だが、誰にも言わないと約束した事だし、おいそれと口にして…ここでスレイプニルが教会から異端扱いされる事になれば、ローゼフォンの力ではもう救えない。

もっと、正当に評価を受けて実績を積まなくては潰されてしまうだろう。

「その自称厄災は…治癒の法術が出来ずに悩んでいるそうだな」

パンタソスは楽しそうに言った。

そう話しを向けられれば、願っても無い。

「…ご指導頂けますか?」

「ああ。非常に稀な事だが…この光玉と言い、話を聞いた限りで判断するならば…」

教皇様は見解を教えて下さった。しかも、非常にシンプルに。この方はやはり、法術界の頂点であられると更に深く感銘出来た。





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