B組の男の子
とある昼下がり。
私は『運命の出会い』をした。
友人に誘われて、B組に来た。
愛美はミーハーで何かと情報を掴むのが早い。
『隣のクラスにね、凄く綺麗な子がいるんだよ』
聞くには、さらさらの黒髪に澄んだきりっとした目。背が高くスラッとしているらしい。真面目で無口とも言っていた。
だから、私は油断していた。てっきり、委員長かなんかのような女の子をイメージしていた。しかし、目の前にいるのは窓際で、机に座り本を読む、“男の子”なのだ。
おかしい…。これなら付いてくるんじゃなかった。
確かに綺麗だった。とはいっても、中性的ではなく、腕からは角ばった筋肉の線が見えるし、爽やか系だと言われた方がしっくりくる。少女漫画のヒーローみたいだ。実際に、クラスの女の子や私達のように見に来た子達が羨望の眼差しを向けている。
だから、問題を2つあげるならば、男であり、イケメン過ぎるのだ。
私は男の人が苦手だし、積極的に話す方ではない。愛美は格好いい男子は好きだが、チャラついてる訳ではないし、遠巻きに見ているので十分のこと。当人はモテるし、そうでなくても選びたい放題の状況ではあるけれどそうはしない。凄く硬派なのだ。だから、私とも馬が合う。でなければ関わらないタイプ同士だ。
それに、私は平穏に暮らしたい。ミーハーではないし、教室の隅とは言わないが、目立たず普通に暮らしたい。だから、縁遠い世界の人はなんだか気後れしてしまう。
愛美には、『それは憧れの裏返しでは?』と言われたが、なんだかしっくり来ない。
だから、私は少し冷めた目で彼を見ていたのだった。
これからのことなんて、私には予想はつかなかった。