【第7話】異世界には選択肢がない!?
「だ、大丈夫ですか?」
今俺はギルドのテーブルに突っ伏している
「あら〜♪ 虫の息って感じね〜♪」
確信した。ルナさんは絶対ドSだ。
「いや……まさかこんなにキツイなんて思ってなかったんで……」
魔力吸収を何とか習得した後、俺は基本の属性の魔法を使えるようになった。
「で! どうですか! 魔法使えるようになりました?」
「少しだけ……かな」
そう言って俺は近くにあったコップに手をかざし、指先に全神経を集中する。
――ポタッ
指先から水が滴り落ちる。俺の魔力量じゃこれが限界だ。
「なんか……手汗みたいですね……」
「しょうがないだろ! 魔力量14だぞ! てゆうかルナさん! これじゃ魔法なんて有っても無くても変わらないじゃないですか!?」
「ふふふ、意外とそうでもないわよ〜。例えば水魔法を修得すれば血液の循環に作用して健康になったり……」
「け……健康ですか……。俺はどっちかっていうと魔法を駆使して冒険! みたいなのを想像してたんですが……」
「大丈夫、魔法は使えば使うほど成長していくし、それに特訓で魔力量も少しは増えたんじゃないかしら?」
ルナさんが"魔力量計測器"を渡してきた。
「うげっ、ヌメヌメの奴か……」
渋々俺は箱の中に手を突っ込んだ。
すると……
――37
「おお!? 結構増えてる!」
「もちろんよ。魔力切れと魔力吸収を繰り返すと魔力量がじわじわ増えてくのよ」
「ありがとうございました!ルナさん!いや、ルナ師匠!」
「ふふふ、レッスン料は後で請求しとくわよ〜♪」
「えっ」
「あら、そういえばソウマは一文無しだったわね〜。じゃあどこか人手が足りない場所で雇って貰いなさい♪」
「えっ」
ルナさんがわざとらしくレナに目配せをする。
「あ、ああ! そういえばアタシ1人でギルドを営業するの大変だなー! 誰か手伝ってくれないかなー!?」
レナがこちらをチラチラ見ながら言った。
(は、はめられた……)
こうして、俺はギルドの職員として働く事になった。