【第6話】異世界には慈悲がない!?
「暑い……」
もうかれこれ7時間は経ったぞ……
「ル、ルナさん……まだですか……?」
「んーまだかかりそうね〜」
ルナ師匠いわく
「まずは大地から魔力を吸い上げる特訓よ!」
というわけで石の上に座ってます。正座で。
「というか本当に大地から魔力を吸うなんて出来るんですか?」
「出来るわよ。というか出来ないと使った分の魔力はどうやって回復するの? 毎回マジックポーションなんて使ってたら財布が大変なことになるわよ」
「ううう……でもさっきから体温とか倦怠感とか空腹とか……満身創痍なんですが……」
これは恐らく訓練開始前に、謎の魔法を掛けられたせいだろう。
デバフ効果恐るべし。
「はあ……あなた本来は私の胃袋行きだったのよ?これなら魔物の方がマシだったかしら?」
でもそろそろ何か飲まないと本格的に危ない。
脱水症状で死ぬ。
異世界に来て死因が"脱水症状"とか流石に笑えない。
「お姉ちゃん! そろそろ休憩させないと死んじゃうよ!?」
「大丈夫、私の見立てではそろそろだから」
(いや……休憩させてくれよ……)
ツッコミを入れようとしたけど声が出なかった。
ついには視界が真っ白になった。
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「お姉ちゃん!」
「分かってるわよ。ホラ、起きなさいソウマ」
「おっ……起きれるかぁ! ……あれ?」
さっきまでと打って変わってピンピンしてる。
回復魔法でもかけてくれたのだろうか?
「おめでとう。第一関門クリアよ〜」
「えっ?」
「1から教えるのはめんど……時間がかかるから近道をしたのよ〜」
「近道……ですか?」
「ええ、自身の生命に危険が迫れば何としても"生きよう!"って思うでしょ? 今回は危機が迫って魔力を使って生命維持を試みた。そして魔力が尽きたあなたは自然と魔力を吸収し始めたのよ」
「なるほど……」
「どう? 体がいつもより軽いんじゃないかしら?」
確かに言われてみればいつもより体が軽い。
「ちなみに魔力吸収は一回覚えたら忘れることはないから安心して。定期的に死にかける必要は無いからね」
「あ、ありがとうございます! これで俺も魔法が……」
「あら? まだ終わらないわよ?」
「えっ」
「今から各属性の最低限の魔法を使えるようになってもらうから」
「今夜は寝かさないわよ〜♪」
別のシチュエーションで聞けば魅力的なセリフだったのだが……