【第4話】異世界には仲間がいない!?
「レ、レナ……何故カウンターに……?」
「ふふふ、それは私がここのオーナーだからです!」
「マジか……」
「マジです!」
呼び出しのベルを鳴らした途端、パタパタと駆け足でカウンターに回り込んでいたのは何かの冗談だと思っていた。
「あら? レナと……ソウマ?」
カウンターの裏からひょっこりと顔を出したのはルナさんだった。
その手に抱えた書類の束を見る限り、ルナさんもギルドの職員なのだろうか?
そして、先程から気になっていたのだが、ギルドの中を見渡して見ても、ルナさんとレナを除いて人が1人もいない。酒場や武器屋は看板だけで肝心の商品がひとつも置いていない。
「あの……このギルドってレナとルナさん以外に職員って居ないんですか?」
「え? 私は職員じゃないわよ〜。ここの職員はレナだけ」
「えぇ……それギルドって言えるんですか?」
とか話してたらレナが話を遮りつつ紙を手渡してきた
「さあさあ! 細かいことは気にしないで! こちらがギルド登録の申請用紙になります!」
ふむふむ。色々記入する欄があるな……
名前、性別、年齢、特技、魔力量。
……魔力量?
「あの……魔力量ってなんですか?」
「「えっ」」
「えっ?」
「やっぱり召喚の時に記憶が……」
もうそういうことにしておこう。
この世界の事はまだ何も知らないし、記憶が無いという事にしておいた方が好都合かも知れない。
「魔力量っていうのは……魔法を使うのに必要なエネルギー的なものですかね?」
「なるほど……つまりそれが多ければ魔法を沢山使える訳か?」
「まあそういう事になりますね! あ、とりあえずここに手を突っ込んでもらっていいですか?」
レナが謎の箱を手渡してきた。
「これは?」
「これは"魔力量計測器"です! この穴に手を突っ込むとここに魔力量が表示される魔道具です!」
なるほど……この世界は魔法だけじゃなくて魔法のアイテムのような物もあるみたいだ。
そんな事を思いながら箱にゆっくり手を入れる。
……気のせいだろうか? なんかヌメヌメしてる気がする。
「はい! もう大丈夫ですよ!」
箱に表示された数字は……
――14
「14? これってどうなんですか?」
ふと横を見るとルナさんが笑いを堪えていた。
レナは苦笑いしていた。
「ぶっ! あっあなた! 14って! 初めてみたわ!」
ルナさんが大爆笑している。
そんなに低いのだろうか?
「えーと……。単刀直入に言うと最低レベルです……」
「マジか……」
「ま、まあ! これから頑張れば魔力量は上がりますし! 最初はこんなもんですよ!」
「私は最初から3000くらいだったけどね」
「お姉ちゃんは黙ってて!」
俺ももしかしたら魔法を使って冒険とか出来るかも、と心の隅で抱いていた希望はあっけなく壊れた。
「うぐぐ……まあこれでギルドには登録出来るんだよな?」
「はい! では申請用紙を頂きます!」
レナが紙にハンコを押し、数回咳払いをした。
「これでソウマさんは我がギルドのメンバーになりました! これからはここでクエストを受け! 仕事をしていく事になります! 我がギルドはソウマさんを歓迎します!」
おお……気合い入ってるな……
流石はギルドのオーナーといったところか。
「うっ……お姉ちゃん……」
と思ったら泣き始めた!?
「あっ、気にしないでいいわよ〜。ただ初めてのギルド加入者で感動してるだけだから」
「ええ……」
先行きが不安でしょうがない……