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異世界には「アレ」がない!?  作者: 和口
第1章 ベスティア王国編
22/37

【第22話】異世界には安息がない!?

「ほら! 起きるのじゃソウマ! 起きんと真っ二つにするぞ!」


 自室で寝ていた俺にヨートーが物騒な朝の挨拶をしてくる。


「うーん……まだ外暗いじゃねーか……寝かせて……」


「ダメじゃダメじゃ! 早起きは大事なのじゃ!」


 そう言ってヨートーは寝ている俺の顔を平手打ちしてきた。


……平手打ち?


 よく考えたら日本刀が平手打ち出来るはずが無い。

 日本刀に腕でも生えているなら別だが。


「あの……どちら様でしょうか……」


「何ぃ!? ワシを忘れたと申すか!」


 寝ぼけながらも平手打ちしてきた人を見る。

 そこに居たのは緑髪で着物を着た女性だった。


 (喋り方は似てるけど……ヨートーじゃないよな……。日本刀は平手打ちしないもんな……)


「あの……この作業場は関係者以外立ち入り禁止なので……」


「お主がここでワシを作ったんだじゃろう! ワシじゃ! ヨートーじゃ!」


「えぇ……? 確かにここで刀は作ったけど可愛い女子を作った覚えはない!」


「かわっ!? あ、阿呆な事を申すでない!」


 そう言うと自称ヨートーは急に緑色の煙に包まれた。

 煙が晴れると、そこには俺の作った日本刀があった。


「どうじゃ! これで分かったじゃろう!」


 ヨートーが日本刀の姿で喋る。


 (どこから声出してるんだろう)


「ふふふ……ワシは武器として使ってもよし! 人として戦ってよしの優れものなのじゃ!」


「マジか……人化できるとか聞いてないぞ……」


「当然じゃ! 言ってなかったからな!」


 ヨートーが再び緑色の煙に包まれると人の姿になった。


「ふう……とりあえず刀の姿の時はあんまり喋らないようにしてくれ……」


「分かった! その前にソウマよ。一つ重大な問題が発生した」


 ヨートーが真面目な顔で言う。


「何だ? 錆びそうとか?」


「いや、腹が減った。何か料理を作るのじゃ」


「えっ……武器なのに……?」


「うむ。食べ物も食べるし、定期的に手入れしないと錆びるぞ。まあ優秀な分の必要経費みたいなものじゃな!」


「……」


「む? どうしたソウマよ。もしやあまりに安い必要経費に感激して声も出んか?」


「ふむ……ちょっともう1回刀になってもらっていいか?」


「うむ。分かった」


 俺は剣になったヨートーを掴んで一言呟いた。


「日本刀って金属ゴミだよな……」


「おおおい!? ま、待つのじゃ! その手を離せえええええ!」



――――――――――――――――――――――



「ほ、本当に捨てられるかと思ったぞ……」


 再び人化したヨートーが言った。


「捨てねーよ…………多分」


「た、多分!? 」


 普段ルナさんにイジられている為か、ついついからかってしまう。


「ふう……よし、とりあえず錆止めとして油塗るぞ」

 

「なっ!? お主はワシに脱げと言うのか!?」


「アホ! 刀の状態で塗るに決まってるだろ! そんなことしたら捕まるわ!」


 顔を真っ赤にしたヨートーが刀になる。

 ヨートーを持ち、綿に油を染み込ませ、刀身に塗っていく。


「んっ……」


 (変な声出さないでくれ……誤解される……)


 刀身にまんべんなく塗っていく。

 薄い油膜を延ばしていく様に慎重に塗っていく。

 足りないのはもちろんダメだし、塗りすぎても"油焼け"してしまって余計に錆びてしまう。

 油膜を張り、刀身に空気が触れないように遮断する。


「ふう……終わったぞ」


「ソウマはなかなかテクニシャンだな! 凄い指使いだったぞ!」


 (誤解されそうな事を大声で言わないでくれ……)


「はあ……とりあえず作業中に変な声は出さないでくれ……気が散る」


「む、むう……すまん……」


 (腹減ったな……まだ朝食食べてなかった……)


 朝食を食べに行こうと思い、作業場のドアのノブに手をかける。


「あっ」


「えっ」


 ドアを開けると目の前にメルが居た。

 こころなしか顔が赤い気がする


「あ……ソウマさんも男の人ですもんね……その……誰にも言いませんから……」


「えっ?」


「し、失礼しました!」


 そう言ってメルは小走りで去っていく。

 その瞬間、メルが言っていた事を全て理解した。


「メ、メル!? 待ってくれええええ! 誤解なんだあああ!」


「い、いえ! 良いんです! 気にしてないので!」


「なんじゃ? 騒がしいのう」


 作業場からひょっこり諸悪の根源が現れた。


「ヨォォォトォォォ!? 前言撤回だ! 金属ゴミ行きだああ!」


「なっ何故じゃああ!?」



 今日もギルドは平和(?)です。

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