【第2話】異世界にはギルドがない!?
「あの……俺はなぜ召喚されたんですか?」
「うっ……それは……」
妹の方が目を逸らす。
何か言いにくいことでもあるのだろうか?
「あら〜。実はね、食べ物が無かったから召喚で魔物を呼び出してクッキングしようと思って♪」
「えっ?」
笑顔でこの人は何を言ってるんだ?
「実はね。アタシ達が住んでるこの街はあんまり豊かじゃないんだ……。土も水も汚染されてて作物も育たないから……」
「そうだったんですか……」
「でもね、魔物も意外とイケルわよ♪」
「えぇ……」
"魔物"というワードが普通に出てくるのに驚いたが、この2人が、意外にも苦労している事にも驚かされた。
そして魔物が食べられる事にも驚いた。
「そうだ、2人の名前とか聞いてもいいですか?」
「私はルナよ」
「アタシはレナ!」
(姉の方がルナ、妹がレナか……)
しかし姉妹の割にはあまり似ていない……というか全然違う。
姉のルナは黒髪で清楚な感じで、妹のレナは茶髪で……北欧系っていうのか?
しかし、どちらも整った顔立ちだ。
「ええっと……ルナさん?」
「はい?」
「さっき魔物を召喚するって言ってましたよね? 俺って一応人間のはずなんですが……」
「うーん……私も詳しい事が分からないのよね……魔物を召喚しようとしたら何を間違ったか、あなたが出てきて……」
「えぇ……」
「本来なら力の弱い魔物が出るはずだったんだけど……。あなた実は魔物だったりしない?」
「一応17年間人間やってきたつもりですが……」
「むむむ……? 見た目も普通だし亜人系の魔物とかでも無さそうだし……」
レナが俺を見ながら言う。
2人とも本当に原因が分からない様子だった。
「あの、取り敢えず外に出ても良いですか? 状況を把握したいので」
「ああはいはい。案内するわね…………レナが」
「アタシィ!?」
とにかく、何をするにも現状の把握はしておきたい。
いくらこちらの世界で生きようと息巻いていても、知識が無ければ何も出来ないだろう。
そんな事を考えながら、レナに案内され外に出ると……
「これは……」
今にも降り出しそうな空模様。
走り去る馬車。
閑散とした通り。
そこには先程、窓越しに見た景色が広がっていた。
(ああ……本当に異世界なんだ……)
夢などでは無いことを改めて実感させられる。
「どうですか? 何か思い出しました?」
「いえ……でももう大丈夫です。ありがとうございました。ルナさんにもお礼を言っておいてください」
俺はそう言うと、アテも無く、閑散とした通りを歩いて行こうとしたが……
「ちょ、ちょっと待って! ソウマ……さんだっけ? そんな記憶も戻ってないのにどこいくんですか!?」
「え……? 特に決まってませんが……」
「やっぱり……記憶が戻るまでは面倒くらいは見ますよ…………お姉ちゃんが」
レナが魅力的な提案をしてきた。
だが、ルナさんとレナは俺の記憶が混乱していると勘違いしているようだが、実際は別世界の記憶を有しているだけだ。
それをダシに面倒見てもらおうだなんて、詐欺みたいなものだし、第一、ヒモ男にはなりたくない。
「いえ、気持ちだけ受け取っておきます……あ、でもこの辺でもし、住み込みで働ける場所とかがあれば教えてもらえませんか? その……一文無しなので」
苦笑いを浮かべながら言う。
レナは少しの間考えたかと思うと、少しだけニヤリとしてこう言った。
「そ、それならギルドとかどうですか!? あそこなら住み込みで働けますよ!」
"ギルド"
ゲーム等で、拠点のような役割を果たす場所であり、宿も併設していたりする冒険者のたまり場。
この世界のギルドがそうとは限らないが、クエストとか冒険とかにつながる場所だ。
男なら誰しも憧れる場所だろう。
「おお! 是非お願いします!」
高鳴る鼓動を抑えつつ、レナに案内してもらう。
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【ギルド・イースト】
そう書かれた看板はすぐに見つかった。
だが、周りにはボロボロの民家しか無く、肝心のギルドの建物が見つからない
もしや、敵の襲撃に備えて、何か建物を隠す魔法でも使っているのだろうか?
召喚やら魔物がいるくらいだし、ありえない話ではない。
「はい、ここです」
「え?」
「ほら! そこですよ!」
レナが指差した方向には……
「レ、レナ……」
「はい?」
「ボロッボロのテントしかないように見えるのは新手の魔法……?」
頼むからそうだと言ってくれ。




