【第17話】異世界には忠告がない!?
「う、旨い……!?」
俺は今、酒場のテーブルで料理を食べている。
「ふふふ……そうでしょ〜♪」
あの後、メルはギルド受付、エミリーは酒場を担当することになった。
正直、エミリーが酒場担当と聞いた時は驚いたが、最初言っていた通り料理の腕はなかなかだった。
「これなら酒場も賑わいそうね♪」
「おいしいです!」
「むむむ……負けた……!?」
ルナさん、レナ、メルも同じくエミリーの料理を食べている。
「そうねぇ♪ じゃあ私とソウマ君で賑やかな夜を……」
エミリーがいつものような調子で言うが、最初の時ほど恐怖を感じない。
(慣れって怖いな……)
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「ソウマさん。この鎧って修復できますか?」
「え? ああ! できますよ!」
後ろから"ソウマさん"と呼ばれたのでレナかメルかと思ったが……
そこにいたのは黒い短髪、メガネを掛けたボーイッシュな雰囲気の人だった。
「じゃあお願いします」
そう言って渡してきたのはかなりボロボロの鎧だった。
引っ掻いたような傷。
所々殴打されたような跡。
凹んだ背部。
(いったいどんな敵と戦えばこんなふうになるんだ?)
損傷の具合から見てかなりの激戦だったのだろう。
しかし渡された鎧とは打って変わって依頼者は元気そうだ。
「あの……私の顔に何か?」
「あ、すいません! すぐ直してきますね!」
急いで鎧を作業場に持っていく。
「ふふ……」
(それにしても……もう名前までバレてるのか……。今度あの新聞記者に会ったらとっ捕まえてやろ)
そんな事を考えながらスラッグさんに貰った本の内容を脳内で反芻し、作業に取り掛かる。
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「出来ました。こんな感じでどうでしょう?」
作業を終え、先程の鎧を返却する。
「ええ……ありがとうございます」
そう言って鎧を受け取る……と思いきや、急に俺に顔を近づけてきた。
「えっ?」
「ゴミ、ついてますよ」
その人は俺の頭に手を伸ばす。
「ッ……あ、すいません……」
ゴミを取ってくれたようだが、一緒に髪の毛も抜いたようで、少し痛かった。
「ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」
「ふふ……近いうちにまた来ます」
そう言うとその人は武器屋から出ていった。
(何か……不思議な雰囲気の人だったな……)
「あらぁ? 浮気かしら?」
「どわぁ!? エミリー!? いつからそこに!?」
エミリーが武器屋のカウンターの陰から出てくる。
よくこんな巨体がカウンターに納まったもんだ。
「変わった人だったわね」
「お、おう……それよりなぜカウン」
「あの人には気を付けた方がいいかもしれないわよ」
言い終わらぬうちにエミリーが真剣な顔で言った。
「……え?」
「根拠は無いんだけどね。何か……私と同じ香りがすると言うか……」
「エミリーと同じ? 確かにボーイッシュな感じだったけど……」
「そういうのじゃないのよぇ……まあ気を付けなさい。オカマの勘はよく当たるから」
そう言ってエミリーは酒場へ戻って行った。
……結局何故カウンターに隠れていたのか聞きそびれてしまった。
エミリーが謎の忠告をしているのにタイトルが「忠告がない!?」になっているのはどうしてもタイトルが思いつかなかったからです。許してください。




