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18

作者: 五郎

一編です。

「河辺にて」



風を追いかけていった

小さな小石を拾って、川縁を歩いた

なにも残ってなかった

私の足跡は後ろにはなかった

けれども、川はもう

目の前まで迫って来てしまっている



旅する雁が向こう岸に止まり

私を見つめてきた

何を考えているの

私の空は彼が飛んだ大空よりも大きく見えたのに

見上げた空はとても巨大で臆病だった

そして、

すでに雁はそれを吸い込んでしまっていた



虚しいと感じてばかりいる

なにも要らない

心が動かされないほうが安心だ

とばかり考えている

けれども旅鳥も悩まされているようだった

がらんどうな心の奥底に溜まるのは

白い塗料を含んだ

心の内側だけ

胃もたればかりしている




雁はおもむろに首を動かし

私の姿を認めると

重たい羽を広げ飛んでいった

もうこれしかないんだ

そう背中で私に訴えかけている

私はそっと目を伏せた

秋の夜長を楽しむことなど

当然楽しめるはずもない

そんな気分のまま

枯れたすすきの生い茂る

川縁から足を遠ざけた





有り難うございました


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