開かずの踏切
開かずの踏切
ゆっくり、ゆっくりの
電車の窓から見える
深い、不快の中に
押し込められた
人、人、人
お通夜のような蒼白した
顔が
こちらを見ている
開かずの踏切
立ち往生する私たちは
ゆっくり、ゆっくりの
電車の窓から見ると
どんな風に見えるだろう
ふと周りを見ると
こちらにも深い不快が
同じようなものかと
思っていたら
しびれを切らせた人たちが
踏切を跨いで駆けていった
あとに続けとばかりに
次々と、次々と跨いでいった
自分から深淵に飛び込んで
いくような
闇に縁取られた背中を
私は足をすくませながら
茫然と見ていた