夢の記憶
暗い。熱い。重たい。痛い。……助けてッ。
「おばあちゃん……」
僕は暗い中で必死にもがいていた。何かがのしかかっていて、まともに身動きが取れない。それでも、もがくのをあきらめなかった。
やがて、何かを求めていた僕の手がそれを掴む。手だった。温かい。
僕は直感的にわかる。これは、おばあちゃんの手だ。
「おばあちゃん……おばあちゃん」
喉が焼けるように痛かったけど、気にしていられなかった。必死に呼びかける。
でも、どれだけ呼びかけても返事はなかった。
どれだけ経っただろう? 僕の体力も限界に近づいてきた頃、声が聴こえた。遠かったけど、確かに聴こえた。
「そっちはだめか」
「だめです。見つかりません」
そんな会話だ。
その時、僕は必死に叫んでいた。喉の痛さは不思議と気にならなかった。
「声だッ! この下にいるぞ!」
そんな叫び声が聴こえてから数分間、僕は声を出し続けた。
やがて、眩しい光が射しこんできた。僕は思わず目を細めていた。
そして、誰かに身体を持ち上げられる。
光に慣れた目が周りに集まった数人の救急隊員の姿を認めていた。
「あぁ……」
僕の口からそんな声が漏れる。
周りの景色は瓦礫だらけだった。壁も崩れていた。天井も崩れ、太陽が見えていた。
やがて、僕の記憶が、ここが駅であったことを思い出す。
「おい。まだ誰かいるぞ」
救急隊員の声が響く。
(おばあちゃん!)
僕は心の中で叫んでいた。
やがて、瓦礫の中から救急隊員が何かを持ち上げてくる。
それを認めた時、叫びそうになっていた。
「よか――」
――よかった。
そう叫びたかった。でも、叫び終える直前に、僕は吐き気に襲われていた。
救急隊員が持ち上げたそれ――おばあちゃんの頭には、胴体が繋がっていなかった。
(いや……だ……)
そんな僕の気持ちに反して、僕は救急隊員に抱きかかえられ、どこかへ運ばれていく。
その途中、僕は見た。
胴体が繋がっていない手を両手に掴み、立ち尽くしている長い黒髪の少女を。
僕はその時、自分の状況なんて忘れて、ただ思った。
僕はなんとしてでもこの子を――
デートとか言っておきながら、まさかの回想シーン。。。すみませんでした。デートは、次の次くらいかな?




