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第七十七話

「ギリアード! 貴様、何即効で裏切ってやがる!」


 俺はいつの間にかエルフの隣に立っているギリアードに腹の底から怒鳴った。


 ギリアードが重度のエルフ好きなのは知っていたが、エルフが現れた途端に向こうについてこちらに攻撃魔術の狙いを定めるとかあり得ないだろ、普通?


「ゴーマン……、それに皆も正直すまないと思っている。だけどボクはあの日、エルフに命を救われた時から、この身も心もエルフに捧げているんだ。だからエルフの敵であるのなら、例えそれがキミ達であっても……討つ!」


 俺の言葉に真剣な表情で答えるギリアード。……顔が美形な分だけ余計に腹が立つ。


『…………………………』


 俺達に弓矢を向けていたエルフ達も、ギリアードの突然の裏切りにどうしたらいいか分からないという表情をしていた。まあ、普通そうだわな。


「お、おい、貴様……」


「はい! 何でしょうか?」


 リーダー格の女エルフに話しかけられて心の底から嬉しそうな、輝くような笑顔を見せるギリアード。それに若干引きながらもエルフはギリアードに話しかける。


「貴様、そう簡単に裏切っていいのか? そいつらは貴様の味方ではないのか?」



「いいえ、違います! ボクはエルフの味方です!」



「うっわ、言った! 言いきりやがったよ、あのオカマ野郎!」


「ギリアードがエルフ好きなのは知っとったけど、ここまでとは……」


「もはや清々しいまでの畜生っぷりであるな」


「……てゆーか師匠達? 何であの人をパーティーに入れたんスか?」


 俺が叫ぶとアランとルーク、ダンが口々に言う。リーダー格の女エルフも今のギリアードの言葉にしばし絶句した後、俺達に視線を向けてきた。


「……貴様ら、人間というのは……その、コイツみたいな者ばかりなのか?」


『いやいやいやいやっ!』


 ためらいがちに言う女エルフの言葉に俺達は全力で否定した。いくらなんでも人間全てがギリアードみたいな変態と思われるのは我慢できないぞ!


「そいつ、ギリアードが特殊なだけだから! 人間はもっとマトモだからな! 一緒にするなよ!」


「そ、そうか……。そうなんだ……そう、よかった……」


 俺が言うと女エルフはあからさまに安心した表情となる。


 うんうん。気持ちは分かる。人間が全てギリアードみたいな変態だったら嫌だよな。


 とにかく今がチャンスだ。ギリアードという馬鹿のお陰で場の空気が緩くなった今なら話ができるだろう。


「あ~、ちょっといいか? 俺達はノーマンさんの紹介で来て、お前達に危害を加えにきたわけじゃないんだ。信じてくれ」


「ノーマン? それはもしやノーマン・イスターのことか?」


 ノーマンさんの名前を出した途端に、女エルフだけでなくこの場にいるエルフの視線が俺に集まる。

やっぱりここにいるエルフ達はノーマンさんを知っているみたいだな。


「そうだ。ここにこれたのもノーマンさんから預かったアイテムのお陰なんだ。……話を聞いてくれるか?」


「………………いいだろう。ついてこい……」


 こうして、俺達は女エルフに案内されて隠れ里に足を踏み入れることになった。

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