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第四十三話

前話の第四十二話は二月八日に投稿した「分かってもらえてなによりだよ……」に文章を新たに足して改編したものです。改編する以前のものしか見ていない人は、是非見ていってください。

「……ん?」


 朝、目を覚ますと二つの山の影が見えた。あれ? この山、天地が逆さまじゃないか?


「オハヨウゴザイマス。ゴーマン様」


 寝ぼけ眼で山の影を見つめていると、山の向こうからナターシャの声が降ってきた。山の向こうを見ると蛇の下半身の上に俺の頭を置き、膝枕(?)をしているナターシャと目があった。


 ……どうやら俺が山だと思っていたのはナターシャの乳房だったようだ。


「ああ、おはよう。ナターシャ」


「オハヨウゴザイマス。ゴ主人様」


 ナターシャに挨拶に返すと、今度は俺の右側で馬の下半身を寝かせているローラが挨拶してきた。


「おはよう、ローラ。……ルピーとステラはまだ寝ているのか」


「スースー」


「ク~ク~」


 俺の上にいるルピーと左腕にしがみついているステラを見ると、二人とも小さな寝息をたてて眠っていた。


「……それにしても馬小屋で寝るのももうすっかり慣れたな」


 そう、今俺達がいるのは宿屋の部屋ではなく宿屋のそばにある馬小屋だった。


 ダン達をギリアード達に紹介してパーティーに入れたあの日からすでに十日。それまでの間、俺達はずっとこの馬小屋を借りて生活をしていた。


 馬小屋を借りた理由は別に宿代がなくなったというわけではなく、ただ単にナターシャ達を含めた五人では部屋が狭すぎたというだけだ。金はかかるが二部屋借りることも考えたのだが、俺と離れることを嫌ったナターシャ達に反対されて今に至る。


 俺を好いてくれるナターシャ達の好意は嬉しいし、馬小屋に寝ることに抵抗がないことはありがたいが、馬小屋で寝ると中々疲れがとれないんだよな。なんか日に日に疲れが貯まっていく気がするよ……。


 ☆


「これで……終わりっス!」


 ザシュ!


「グギャアアア!」


 草原にダンのかけ声と魔物の断末魔が響き渡る。


 俺達は最近現れたゴブリンの群れを退治する仕事を受けて王都の近くにある村にきていた。そして今ダンが倒したのが最後のゴブリンだった。


 ダンの格好は初めて会った時の「ガクセイフク」ではなく、王都で俺が買ってやった服と長剣を装備していた。何でもダンはこの世界にくる前は「ケンドウブ」という剣の使い方を学ぶ集まりに所属していたようなので長剣を買い与えたのだ。


「それにしてもダンくんってば、たった十日で随分と冒険者らしくなったよね?」


 周りに生き残りのゴブリンがいないことを確認した後、ギリアードが感心したように言う。


「そういえばそうだな。……ダン、ちょっとステータスを見せてくれないか?」


「え? いいっスよ。ステータスっス」



【名前】 狩谷弾

【種族】 ヒューマン

【性別】 男

【戦種】 魔物使い

【才能】 5/99

【生命】 375/375

【魔力】 100/100

【筋力】 50

【敏捷】 50

【器用】 45

【精神】 45

【幸運】 45

【装備】 ロングソード、冒険者の服(黒)、旅人のマフラー(緑)

【技能】 兎魔女の主、完全模倣(心)、完全模倣(技)、完全模倣(体)



「大したもんやな。この短期間で五回も強化できるやなんて」


「それにこの能力値も二十回クラスの冒険者には一歩劣るが冒険者として優秀であるな」


 ダンのステータスを見たアランとルークの言葉にギリアードも頷く。


「そうだね。この技能も含めてこのステータスの内容は凄い……いや、異常ともいえる。でも異常はといえば……」


『……………………』


 そこで何故かギリアード達にダンを加えた四人が俺を見てきた。


「何だよ? 何で四人とも俺を見るんだよ?」


「あの、師匠。師匠のステータスも見せてもらってもいいっスか?」


「今度は俺かよ? まあいいけど……ステータス」



【名前】 ゴーマン・バレム

【種族】 ヒューマン

【性別】 男

【戦種】 魔物使い

【才能】 26/29

【生命】 1090/1090

【魔力】 260/260

【筋力】 124

【敏捷】 124

【器用】 118

【精神】 118

【幸運】 118

【装備】 高品質な鋼の短槍、バトルナイフ、冒険者の服(白)、旅人のマフラー(紫)、契約の首飾り

【技能】 才能限界上昇、自己流習得、魔女難の相、蛇魔女の主、鳥魔女の主、馬魔女の主、蛸魔女の主、蛇魔女流体術、馬魔女流剣術、馬魔女流槍術、馬魔女流弓術、鳥魔女の眼、麻痺の魔眼、弓矢系疾風魔術(1)、弓矢系雷撃魔術(2)、周囲警戒、隠密行動、奇襲攻撃、完全模倣(技)



「……うん。やっぱりゴーマンが一番異常だよね」


「そうっスね。俺の完全模倣の一つも早速パクっているっスからね」


「才能限界もまた上がっとるしな」


「ゴーマンの奴、伝説に伝え聞く『五十回クラス』の冒険者でも目指す気であるのか?」


 俺のステータスを見てギリアード達四人が円陣を組んでコソコソと話す。


「お前ら、話すならはっきり話せ。こんなのそんな大したものじゃないだろ……ふぁ」


「? ゴーマン、キミ最近疲れていないかい?」


「まあな。最近馬小屋で泊まっているから疲れがとれていなくてな。……そのせいか夜にナターシャ達を相手にした後、ポーションを飲んでも効き目が薄い気がするんだ」


『……………………』


 あっ、ギリアード達また円陣を組みやがった。


「あの……皆さん。師匠ってば何で今まで生きているんスか?」


「うん。それはボク達も常々思っていることだよ……」


「普通の人間だったらとっくの昔に干からびて死んどるからな」


「決して同情されない死に方であるな。というか本当に人間なのであるか? ゴーマンは?」


 お前ら、言いたいことがあるならはっきり言え。聞こえているんだよ。


「おい……」


「ねえ、ゴーマン。馬小屋で寝るのが嫌だったら、どこか適当な空き家を借りたらどうだい?」


 俺が話そうとしたのと同時にギリアードがこちらを見て一つの提案を出してきた。


「家を、借りる?」


「そうだよ。王都にある空き家を年単位の契約で借りる。実際に家を借りて生活をしている冒険者も王都には何人もいるよ」


 へえ、そんな冒険者もいるんだ。確かに家を借りるというのは中々いいアイディアかもしれないな。王都に戻ったら一度探してみるか。

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