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第十九話

「今日からこの部屋に泊まるからな」


 宿屋に戻ると俺は早速ナターシャ達を人間の姿に変身させ宿屋の一室を借りた。昨日まではローラが入れる部屋がなかったため四人で馬小屋に泊まっていたが、今日からはまたベッドの上で眠れそうだ。


「これが人間の部屋……。ずいぶんと狭いのね」


 今まで何回か宿屋に泊まったことがあるナターシャやルピーとは違い、今日初めて宿屋に泊まるローラが珍しそうに部屋の中を見回しながら呟く。そりゃあ上半身が人間で下半身が馬の胴体のサントールにしてみたら狭いよな。


「ベッドで寝るのって久しぶり♪ 馬小屋で寝るのも故郷の巣で寝てるみたいでよかったけど、人間のふかふかなベッドも捨てがたいよね♪」


 ベッドの上でルピーが嬉しそうにはしゃいでいる。そこまで喜んでくれると部屋を借りたかいがあったというものだが、やっぱりルピーの実家って鳥の巣なのか?


「ここが新しいゴーマン様とわたくしの愛の巣ですか。邪魔者が一人増えたせいで前の宿屋より少し狭いですが、わたくしはゴーマン様と一緒にいられるなら不満はありません」


 俺の隣でナターシャが表情を変えることなく自分の思ったことを口にする。というか愛の巣って……本当に人間の姿になったナターシャって、魔女の時とキャラが違うよな。


「ちょっと待ちなさいよ、ナターシャ。ゴーマン様とわたくしのって、どういうことよ?」


「それに邪魔者とは私達のことか? ナターシャ、お前はご主人様の妻にでもなったつもりか?」


 ナターシャに邪魔者扱いされたルピーとローラが俺の隣にいるナターシャに怒気というよりも殺気がこもった視線を向ける。なんか俺まで睨まれてるみたいでメチャクチャ恐いんですけど。


「わたくしはゴーマン様の第一奴隷。ですからわたくしにはゴーマン様の一番近くでお仕えできる権利があるのです」


 ナターシャはルピーとローラの視線を軽く受け流し、さも当たり前なふうに答える。でも俺に仕える権利って、そんなのあったっけ? いや、それよりもルピーとローラの視線が更に強くなったんですけど、何とかしてくださいナターシャさん。


「何よそのお兄ちゃんに仕える権利って! そんなのナターシャが勝手に言ってるだけじゃない!」


「そうだな、ルピーの言う通りだ。そもそも第一奴隷とはなんだ? ご主人様の僕となった順番のことか?」


「確かにゴーマン様の僕となった順番も関係していますがそれだけではありません。第一奴隷とは最もゴーマン様の力となり、寵愛を受けたわたくしに相応しい称号。……ルピー、ローラ。貴女達、まだゴーマン様の寵愛を受けていない。肌を重ねていないでしょう?」


『っ!?』


 ナターシャの言葉にルピーとローラ、ついでに俺も息を飲んだ。何を言い出すんだ、ナターシャ!?


「わたくしは今日までに九回もゴーマン様から寵愛を受けました。……残念ながらまだ子供は授かっていませんが、自分を従える強き『雄』の子供を産むことが使命であり、喜びであるわたくし達魔女にとってこの差は大きいのでは?」


「うぐぐ……!」


「くっ!」


 ナターシャが自分のお腹に手を当てて自慢げに話すとルピーとローラが悔しそうにうなった後、「キッ!」と俺を睨み付けてきた。えっ? 何事?


「お兄ちゃん! ナターシャばかりズルい! ルピーにも卵産ませて!」


「そ、そうだな! 今のままでは不公平がすぎる! ご主人様は私達の『雄』でもあるのだから、その責務を果たすべきだ!」


「……ルピーはともかく、ローラの意見にはわたくしも賛成です。奴隷に『餌』を与えるのも主人の仕事ですよ」


「ちょっと待て! どうしてそうなる!?」


 あまりの急展開に思わず後退りをする俺。ヤバい、今のナターシャ達の目は獲物を狩る肉食獣の目だ! このままだと俺、三人に喰われちまう! 搾り取られちまう!


 部屋の出口は俺のすぐ後ろにあるのだが、無事に脱出できるイメージが浮かんでこない。逆にナターシャの肢体に絡め取られたり、腰にルピーの体当たりをくらったり、ローラに回り込まれるイメージが鮮明に浮かんでくる。


 ……宿屋の部屋を借りたのは失敗だったかもしれない。


 ☆


「……やってしまった。本当に何をやっているんだよ俺は……」


 ナターシャの「自分が一番愛されている」発言から数時間後、俺はベッドの上に腰かけて両手で顔をおおって自分の行動を恥じていた。あの後一体何が起こったのか詳しく説明すると長くなるので、簡潔に説明すると次のようになる。


 身の危険を感じた俺が無駄な抵抗だとは思いつつも部屋の外へと脱出を図ろうとする。→しかし一瞬でローラに回り込まれ、腰にルピーの体当たりを受けて地面に倒れた後、ナターシャの寝技で拘束される。→三人の手でベッドに連行された後に乱交。→数時間に及ぶベッドの上でのお祭り騒ぎの後、ようやく三人から解放される。(今ここ)


 顔をおおっていた手を下ろしてベッドの上を見る。時刻はすでに深夜となっていて明かりは枕元にある蝋燭だけで薄暗いが、それでもベッドの上で幸せそうに眠っている全裸のルピーとローラの姿が見てとれた。


「いつかこの二人ともこんな関係になるとは思っていたけど……三人同時って、どこまでケダモノなんだよ俺?」


 結局俺はナターシャ達三人とそれぞれ三回ずつ肌を重ね、合計で九回もヤってしまった。精と一緒に体力も吸いとられ【生命】は全体の一割程しかなく、気を抜けばすぐに眠ってしまいそうな疲労感を感じるが、今は疲労感よりも自分に対する羞恥心の方が勝っていた。いくら柔らかく揺れる六つの胸の果実が魅力的だったとはいえ、もう少し自制しろよ俺…………って、ん?


「……アレ?」


 ふとある違和感を感じてもう一度ベッドの上を見る。ベッドの上では頬を赤くし幸せそうな顔で寝ているルピーとローラの姿がある。


 …………………………ナターシャは?


「ゴーマン様」


 背後から熱のこもった甘い声がしたと思ったら、背中に柔らかい何かを押し付けられた感触がした。


「な、ナターシャ? お前起きていたのか?」


 首だけを動かして背後を見ると俺の背中に胸を押し付ける形で体を預けているナターシャの姿があった。三人の中で一番激しく乱れていたから熟睡していると思ったのに、まだ動ける体力があったのか?


 ナターシャは頬を赤くしながら潤んだ目で俺の目を見つめるとゆっくりと口を開いた。


「ゴーマン様……。もう一度……、わたくしにお情けを与えてくれませんか?」


 何恐ろしいこと言ってるのこの子っ!?

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