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第十五話

 儀式を終えて儀式場から外に出ると、ギリアード達は人目につかないように広場の隅にいた。何人かの冒険者達が値踏みをするような目でギリアード達を、正確にはナターシャ達魔女三人を見ていたがあまり気にしていない様子だった。


 もしかしてあいつらがギリアードが言っていたパーティーメンバーを探している冒険者なのか?


「………」


「アッ! オ兄チャン」


「ゴ主人様」


 ナターシャ達が俺を見つけて駆け寄ってきた。それにつられて冒険者達の視線が俺に集中するが、いちいち気にしても疲れるだけなので無視することにする。


「ゴーマン、どうだった? 強化はできた」


 こちらに近づいて聞いてくるギリアードに俺は指を三つ立てて答えた。


「ああ、経験値がたまっていたらしくて三回強化できたぞ」


「本当かい? それはよかった。強化の儀式はすぐ終わっただろう?」


「まあな。それよりギリアード。あそこには一体何があるんだ?」


 儀式場がある建物の右側の扉を指差して聞くと、ギリアードではなくアランが答えてくれた。


「あそこはステータスにある【戦種】の変更をしたり詳細情報を調べてくれる所や。どういうわけか戦種の情報だけは神官の手やないと公開できへんから……そうや! ゴーマン。せっかくやからあんた、『戦種特性』を調べてもらったらどうや?」


「戦種特性? 何だそれ?」


「戦種特性とはその戦種をつけているときにしか発揮されない特別な技能のようなものだ。例えば拙僧の、僧侶の戦種特性が神聖魔術の威力を上げるといったようにな。知っておけばかなり便利だと思うぞ」


 ルークの言葉に俺は頷いた。確かにそれなら知っておいても損はないだろう。


 ☆


「すみません。失礼します」


「ようこそいらっしゃいました」


 再び建物の中に、ただし今度は右側の扉から入ると若い男の神官が一人、部屋の中にいた。……って、あれ? この人って……。


「あの、貴方さっきまで隣の部屋、強化の儀式場にいませんでした?」


「おや? 強化の儀式を受けたのですか? あそこにいるのは私の兄ですよ。私達、双子ですから」


 双子か。あまりにそっくりだから同一人物かと思ったよ。


「それでご用件は?」


「ちょっと戦種の詳細情報と戦種特性ってやつを教えてほしくて」


「分かりました。ではステータスを」


 ステータスを呼び出して渡すと神官は何かを呟きながらステータスを操作する。


「出ました。これが貴方の戦種の詳細情報です」



【戦種:魔物使い】

 開放条件:《契約の儀式》によって魔物を一体仲間にする。

 生命上昇:15

 魔力上昇:10

 筋力上昇:4

 敏捷上昇:4

 器用上昇:3

 精神上昇:3

 幸運上昇:3

 戦種特性:不滅の僕、???(未開放)、???(未開放)



 これが俺の戦種の詳細情報か。そして一番下にある「不滅の僕」っていうのが戦種特性らしいがどういう効果があるんだ? それにこの「???」って一体何だろう?


「あの……。この【戦種特性】のところにある『???』って何ですか?」


「それは開放条件が満たされておらず効果が発揮されていない戦種特性です。その戦種をつけたまま開放条件を満たせば自動的に戦種特性が開放され効果が発揮されますよ」


 神官の話によると戦種特性を探り出し、達成するのも冒険者の実力の内だという。俺は今開放されている戦種特性「不滅の僕」の文字に触れて詳細情報を呼び出した。



【不滅の僕】

発動時機:常時

開放条件:《契約の儀式》によって魔物を仲間にする。

「契約した魔物から『死』や『老い』といった概念を奪い取り、永遠に自分の僕とする特性。契約した魔物は、主人である魔物使いが契約を破棄するか死ぬまで老いることはなく、殺されても二十四時間後に復活する。」



 これはなんというか凄いな。これってつまり俺が死ぬまでナターシャ達は不老不死ってことじゃないか。


 でもそれって本当にあいつらにとって幸せなことなのだろうか? 自分の都合で死ぬ権利や仲間と同じ時間を生きる権利を奪うことは許されることなんだろうか? ……そんな考えが一瞬頭をよぎった。


「しかし魔物使いとは珍しい。魔物使いの冒険者なんて貴方以外だとノーマンさんしか私は知りませんよ」


「ノーマンだって? しかも魔物使い?」


 神官が口にした名前には聞き覚えがあった。


 ノーマン。


 記憶喪失の俺が初めて訪れたバレム村という廃村の村長の名前で、今持っている魔物使いの書も彼の家で見つけたものだ。もしあそこで魔物使いの書を見つけることがなかったら、俺はナターシャと出会うこともなく野垂れ死にしていたかもしれない。


「神官さん。すまないがそのノーマンさんのいる所って分かりますか?」


 ☆


「ノーマンって魔物使いの書の前の持ち主? 王都に住んでいたのかい?」


 建物から出た後、神官との会話を話すとギリアードが首をかしげて聞いてきた。


「ああ、住所は神官から聞いた。俺は明日にでも会いに行こうと思うんだが構わないか?」


「うん。ボクは構わないよ。でも明日はちょっと用事があるから一緒には行けないんだ」


「ワイもやな」


「拙僧も明日は神殿の用事があってな」


 ギリアードに続いてアランとルークが明日用事があることを口にする。


「いや、ナターシャ達と行くから大丈夫だ。すまないな」


 こうして俺達は明日、ノーマンさんの家に訪ねることにした。


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