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聖王暦八百六十年 緑の月の三十日(1)「ポーションの作り方でも習うか?」

「ようやく見えてきたな」


 退治した盗賊団のアジトを後にしてから三日後。俺たちは旅を続けて今日の夕方、日が沈みかけた頃にようやく目的の街に辿り着いた。


 それにしても何だか疲れたな。三日前に盗賊団のアジトで寝泊りしたせいか? ここにくるまでの野宿が辛く感じたんだが。


「助かった。なんとか日が暮れる前に着いたね。これで三日ぶりにベッドで眠れるよ」


 どうやら野宿を辛いと思っていたのは俺だけじゃなかったようで、街を見てギリアードが嬉しそうに笑い、ダンが感心したように呟く。


「結構大きい街みたいッスね。俺達が半月くらい前によった街と同じくらいあるんじゃないッスか?」


「ああ。以前分かれたビト達の話だとあの街は他の街との交流が盛んで、いつも市場がにぎわっているらしぞ。あの街だったら公演で大分稼げると思うが……今は『臨時収入』もあるからそんなに金に困っていないしな」


 臨時収入とは、三日前に盗賊団を壊滅させてアジトを乗っ取った時に回収した盗賊団の財宝のことだ。あのアジトにいた盗賊達、随分とこの辺りで荒稼ぎをしていたようで、かなりの額の財宝がアジトの中に溜め込まれてあった。盗賊団の財宝ということは一般人から奪った金だということなのだが、誰から奪われたのか分からない以上俺達がありがたく使わせてもらおう。


 ……しかし。この国にきてまだ一月も経っていないのに盗賊団、それもかなり大規模なのと二回も出遭うだなんて……。この国って俺達が前にいたファング王国に比べて治安が悪すぎないか?


 まあ、俺達としては返り討ちにして金を巻き上げる獲物が多くていいんだけどね。魔物退治はギルドの依頼じゃなかったら金にならないしな……。


「あの街での公演は一、二回くらいにして残った時間は自由に過ごそう。それに色々と足りないものとか出てきたから買い物もしないとな」


「そうであるな。小生もたまにはゆっくりマリアの開発をしたいであるし、先日底をついたポーションの材料を買わねばならぬしな」


 ミストンが俺の言葉に頷き同意してくれる。マリアとはミストンが心血を注いで開発しているゴーレムの名前で外見は完全に人間の美少女に見え……て……、


「ちょっと待てミストン! ポーションの材料が底をついたってどういうことだよ!」


「どういうことも何もゴーマンがナターシャ達に搾り取られる度にポーションを求めてくるから材料がなくなったのである」


 ぐっ! それを言われたら何も言い返せない。というか、この旅を始めてからポーションを使ったのって俺以外いないんじゃないかな? ナターシャ達は自分とは関係ないって顔でこちらを見ようとしないし……なんか納得いかない。


「まったく……ポーションの材料だってタダではないのであるぞ? 材料費は全て小生の財布から出ているのであるから感謝してほしいのである」


「しっかり俺からポーション代受け取っておいてよく言うよ。……はぁ、こうなったミストンからポーションの作り方でも習うか?」


 ポーションの作り方を覚えたら材料費はかかるけどミストンからポーションを買うより安くすみそうだし……。でも覚えられるかな?


「師匠は女関係……というより魔女関係だったら何でもできそうだから不思議ッスよね。それよりそろそろ街に行かないッスか? 早く行かないと本当に日が暮れるッスよ?」


「それもそうだな」


 今後のことは後で決めることにして俺達はまず街に向かうことにした。


 え? 門番? 何人かいたけど姿を変えるマジックアイテムと技能のステータス情報改変で簡単に通れましたけど?

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