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聖王暦八百六十年 緑の月の十二日(1) 「ゾンビ?」

 何が起きたのか話を聞こうとビト達の隊商のところに行くと、ビトが隊商の男と何やら慌てた様子で話をしていた。


「あの、ビトさん。どうかしたんですか?」


「ゴーマンか。いや、実はさっき見張りをしていた奴が魔物がこちらに向かってきているの見つけたそうなんだ」


「魔物ッスか。一体どんな魔物なんスか?」


「見つけた奴の話だと、魔物はどうやらゾンビらしい」


 ダンが聞くとビトが見張りから聞いた情報を教えてくれた。それにしてもゾンビ? この近くに墓場なんかあったか?


「ゾンビの数は二十体程で全て武器で武装しているそうだ。恐らく生前はどこかの傭兵か盗賊だったゾンビが群れをなしたんだろう」


「……………………ん? ゾンビ?」


「どうした? ゴーマン?」


「いえ、なんでも……」


 二十体程で、全て武器で武装している、生前はどこかの傭兵か盗賊だったと思われるゾンビの群れ?


 ……なんだか嫌な予感がするんだけど。


 ☆


「どうだ? ルピー?」


 ビトからゾンビの話を聞いた俺とダンは、一旦ビト達から離れると仲間達に事情を説明してゾンビがやって来るという場所に偵察に来ていた。


「う~ん。ごめん、お兄ちゃん。何かがたくさんこっちに来ているのは分かるんだけど、暗くて影しか見えないよ」


 とりあえず目が異常にいいルピーに様子を見てもらったのだが、彼女はしばらくゾンビの群れが来ている方を見た後で首を横にふった。……ルピー。いくら鳥魔女だからと言って、鳥目なところまで鳥に似なくてもいいだろう?


「ねぇ、お兄ちゃん。ルピー、もう眠いよ……。今日は一緒に『寝よう』よ♪ ね?」


 だきっ♪


 ルピーが甘えた声を出して俺の腰に抱きついてくる。相変わらず緊張感がないなコイツ。


 あと今ルピーが言った「寝よう」は本来とは別の意味があるんだろうな。でもそんなことを言うと……。


『……………………!!』


 やっぱりナターシャ、ローラ、ステラ、テレサの殺気のこもった視線が背中に突き刺さってくる。こちらに向かってきているゾンビの群れも怖い気がするが、今はナターシャ達の方が怖い。


「いや、ルピー。今は寝ている場合じゃないから。冗談を言っていないでもう一度見てくれ」


「え~? ルピー、別にふざけていないよ? それにこの暗さだと本当に分からないんだって」


「ゴーマンよ。それではこれを使ってみたらどうであるか?」


 俺がルピーと話しているとミストンが何やら筒みたいなものを出してきた。


「なんだこれは?」


「これは小生が作った遠くの景色を見る道具であってな。内部に暗視のマジックアイテムを仕込んであるので今のような夜でも見えるであるぞ」


 ほう。そんな便利なものがあるのか。俺はミストンから使い方を聞いたあとに遠くの景色が見れる筒を受け取って使ってみて……、


「………うげっ。やっぱり……」


 思わずうめき声を漏らした。


「ゴーマン、どうしたんだい? 変な声を出したりして?」


「見てみろよ」


「え? 一体何があったんだい? ………うげっ」


 ギリアードに遠くの景色が見れる筒を渡すと、彼は筒を使って景色を見たあと俺と同じうめき声を出した。


「……ゴーマン。あれってもしかして……」


「ああ、多分間違いない」


 こちらに向かってきているゾンビの群れ。俺とギリアードはそのゾンビ達の顔に見覚えがあった。


 というより数日前に見た顔ばかりだ。


「あれは俺達が殺した盗賊団だ」

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