ゴーマンの日記 一頁目
聖王暦八百六十年 緑の月の七日
今日から日記を書いてみることにした。
ファング王国を後にして旅に出てから数日が経った今日、偶然出会った隊商にこの外装が立派な白紙の本を安く売ってもらったので、これからの旅の記録をこの本に記そうと思ったのだ。
この日記帳を売ってくれた隊商から別れてしばらくした後、ちょっとした臨時収入が入った。
旅の準備のせいで懐が少し寂しくなっていたので正直助かった。
聖王暦八百六十年 緑の月の八日
今日の昼前に目的の街に到着した。
宿屋を決めると、いよいよ旅の芸人一座「ゴーマン一座」の初公演。
初公演の結果は大成功。
観客の反応は上々で、かなりの収入を得ることができたのだが……テレサのあんな顔って初めて見たな。
聖王暦八百六十年 緑の月の九日
昨日の公演のお陰で懐が温まったので、今日はナターシャ達魔女五人と街を見て回った。
食糧の買い出しをしながら記憶の手がかりを探したが、残念ながら記憶の手がかりは見つからなかった。
今日初めて会った人にも愚痴を言ったし、今日の俺って良いところがないな……。
確か俺が愚痴を言った人の名前は
(字が乱れていて読めない)
聖王暦八百六十年 緑の月の十日
……最悪だ。
馬鹿共が馬鹿な真似をしてこの街にいられなくなった。
こんなことになるとは思ってもいなかった。
全員が、とは夢にも思ってもいなかった。
聖王暦八百六十年 緑の月の十一日
突然、呼んでもいない客が大勢来た。
日記の続きは明日書くことにしよう。
聖王暦八百六十年 緑の月の十二日
全てを終わると朝になっていた。眠い。
それにしてもあの女、一体何者なんだ? というかよくもあんな嘘を言ってくれたな!




