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魔力がない魔法生  作者: とんび
1章 入学編
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九話 警備

放課後前、風紀委員の仕事のため、少し早めに授業を抜け出し遼一は風紀委員室に訪れていた。中に入ると風紀委員に所属している他のメンバーも合わせて全員が集まっていた。全員で20人と言ったところだろう。


「おっ、着たか。もうみんな来てるぞ?」加奈は机に足を乗せた状態で言った。ぎりぎり、スカートの中が見えるか見えないかの状態だった。健全な男子高校生には目に毒だろう。


事実、男子生徒はちらちらと加奈の方を見ながら顔を赤くしている。


「すみません」遼一は素直に頭を下げて謝った。


「まあ、それはいいがお前は別件で怒ることがある」加奈は足を下ろして、遼一の前まで歩いてきた。頭一つ分遼一が高いので加奈は遼一を見上げる形だ。そして、そのまま、遼一の耳元に顔を持って行って


「お前、私のスカートの中、見ただろう?」静かにそう伝えた。


「…見る見ないの以前の問題で、そちらに視線を移していないんですが?」


「二瀬先輩?一体なんの話をしているんです?」大志が笑顔を浮かべつつも黒いオーラを浮かべるということをした。隣にいる照吾は完全に怯えていた。


二、三年生のメンバーはいつものことだみたいな感じでうてあっていなかった。一年生はトギマギしている様子だった。それもそのはず、風紀委員会は三年間ずっとそのままだ。なので、雰囲気に慣れているのは当り前だろう。


「スカートの中を見たかどうかを――――いや、すまん何でもない。それよりも、今日の最終確認をしよう」大志の様子に気づいたのか、そう言って加奈は椅子に座った。


大志はやや呆れつつもすぐに切り替えて説明を始めた。


「メールで送った通り、今日から一週間、僕達は部活勧誘期間の巡回警備をします。今回はあくまで警備を目的にしているので、僕達は騒ぎが起こったら止める役目です。くれぐれも便乗するはめにはならないように気を付けてください。なお、相手が抵抗をしてきた場合はすぐに取り押さえてください。そして、学年と所属を確認した後、こちらの方に連れて来てください。自分はここに居るので、突き出してもらえば結構です。何か質問はありますか?」


ありませんと言う声が部屋に響く。


「では、持ち場のほうに移動してください。今日一日頑張ってください。では解散」


そう言った瞬間、風紀委員のメンバーはぞろぞろと出て行った。遼一、美希も一緒に出て行った。照吾は加奈と一緒のため別行動だ。


「さて、俺たちは技術部あたりか…また、変なところに配属されたな」


「そうだね、でもここあたりってそうそう争いって起きないと思うけどな~」


「仕方ないだろう、二瀬先輩が率先して運動部の方に行ったんだ。…行った時点で抑制されるから争いなんて起きないだろうけどな」


「あはは、それは言えてるかも」苦笑いをしながら言った。


「おっ!もしかして見学者!?なら入って入って!もうすぐ始まっちゃうから」後ろから現れた女子生徒がそう言って遼一と美希を中に入れた。


「え?あっ…」美希はそんな声を出してされるがままになった。


対する遼一も無言でされるがままになっていた。


「あれ?遼一君と美希ちゃんなんでここにいるの?」中に入ると静香がきょとんとした表情で二人を見つめた。


「…巻き込まれたというのが近い、腕章を早めにしておくべきだったな」遼一が小声でそう言った。


「早めに言った方がいいんじゃないかな?風紀委員だってことを」静香がそう言って遼一を見た。


「もう遅いんじゃないかな?ほら」美希がそう言って前を見ると先程の女子生徒が前に立っていた。


「さあ!みなさんよく来てくれました!私はMW研究部部長のひいらぎ亜里抄ありさ、よろしくね。さっそくだけど、今回はレクレーションも兼ねてみんなにMWの調整というものをやってもらうわ」そう言って一つのMWを取りだした。


「今からやることをみんなにはやってもらうわ。よく見ておいてね」そう言ってMWを端末につなげて起動する。するとたくさんの文字が出てくる。


「このMWのバグを消してもらう作業してもらうわ。参考のコードをみんなに配るからそれを参考にしてね?それと班に今からわけまーす。先輩の指示にしたがって動いてください」そういったら先輩達がグループ分けに入った。


運よく遼一は美希と静香と一緒になった。


「今日は三人の監督を担当する脇田わきたたけるだ。よろしく頼むよ」顔立ちは整っているが色白で線の細い印象が強い男子生徒がそう言ってきた。


三人は挨拶を交わしてさっそく作業に取り掛かった。


「…すごいな、三人とも素人とは思えない手捌きだよ。経験があるのかい?」


「ええ、自分のMWの調整はやっていますので」


「私もそうです」


「私も」


美希と静香も遼一に続くようにして言った。


「三人ともそうなんだ。すごいな…。それだったら他のことも教えていいかな~」そう言って顎に手を当てて考える振りをした。


「MWの変換率というのはしっているかな?」


「私は知っています」静香はそう言って頷いた。


「自分も問題ないです」遼一はそう言って同じく頷いた。


「私はちょっと…」そう言って美希は困った表情をした。


「いや、いいんだよ。自分のMWの調整が出来るだけでも十分だから、それにしてもすごいな。変換率まで知っているのか…。もしかして自分でコード作れる感じ?」


「ええ、一応は…」


「自分も同じく」


「そ、そうなのか!?すごいな今年の一年生は将来が有望だよ!」やや興奮気味にそう言った。


二人はやや引き気味に乾いた笑みを浮かべた。


「ゴホンッ失礼、そしたら二人はオリジナルのMWを作ってくれないかな?えっと円城寺さんは僕が変換率について教えるから」その様子に気づいたのか咳払いを一つして切り替えた。


わかりましたと二人は返事をして作業に取りかかった。


三十分くらいたった後、いつの間にか遼一と美希の周りには人だかりができていた。それもそのはず、ふたりとも電子キーボードのタッチが凄まじいほど早いのだ。

そして、一つひとつの作業が流れるような作業のため見ている人には気持ちがいいだろう。


「出来ました」遼一はそう言った


「ふむ…」猛はそう言って確認していく。


「これは・・・すごいな特化型というやつかい?」


「ええ、そうです。変換効率からみてもこれの方がベストですよ。このSNDサンド社の片手剣のMWは威力が大きいので、エネルギーを特化させました。エネルギーの増量と変換率を少しいじって一般のSND社の剣に比べても1.5倍エネルギーが持つようにしました」


「そうなのか・・・」猛は言葉が詰まって何も出ないような感じだった。


「私も終わりました」静香もそう言って顔を上げた。


「すごいな…無駄が全然ないよ」猛はそう言って大きく頷いた。


「はい、そのおかげで変換効率を大きく上げています。他のスペックは一般のよりは上がっているはずです」


「なるほどね、わかったよ」


生徒達は二人の作ったMWをまじまじと見つめ色々と議論をしていた。そしてそんなこんなで部活終了時間になった。


「よし!みんな今日はありがとう。解散とするわ。あっ!二人は残っておいてね?」亜里抄はそう言って遼一と静香を待たせた。


他の生徒はそう言われて出ていった。


「りょーちゃん、先に戻っておくね」美希はそう言って出ていった。


「さてさて、お二人さんはどこかの研究所で働いてたりする?」亜里沙は喜々した表情で二人にこれでもかというくらい近づく。


遼一は女性特有の香りと制服から見て分かるほどの胸が、真っ先に鼻と目に来たが興奮する色もなく、まっすぐ亜里沙を見つめた。大きな瞳に、整った顔立ち、雪に近いというほどの肌が遼一の目の前に映った。


「いえ、そういうことはありません」静香はそう言った。


「自分もそうです」


「あら?もしかして女の人に興味ない?」亜里沙はキョトンとした表情で遼一にそう言った。


「はい?」遼一は訳がわからないという表情をした。


「だって、近づいても顔をそらさないし、照れたり恥ずかしがったりする色がないから・・・もしかして男に興味あるとか?」そう言って猛を遼一に近づけた。


「おい、柊!何をする!」猛はそう言って亜里沙にキレた。


「違いますよ。昔からこうなんで気にしないでください。・・・もしかして気に触りました?」


「いえ、そんなことはないわ。ただ久々に見たのよ、顔を近づけて興奮しない人。う~ん、惚れさせて入部させようと思ったのにな~」微笑みながらそう言った。あまりの素敵な笑みに部活生の何人かは顔を赤らめそらしていた。


惚れさせてってどういう考え方を…遼一は唖然として亜里抄を見ていた。


「そうですか?それよりも自分たちはなぜここに残ったんですか?」一応確認のため淡々とした口調でそう言った。


「無論勧誘よ。ここに入る気はないかしら?」


「私は構いません。もともと入るつもりで来たんで」静香はそう言って答えた。


「すみませんがお断りします」


「あら、どうして?」


「風紀委員だからです」遼一はそう言って腕章を見せた。


「え?あなた風紀委員だったの!?」亜里沙はそう言って驚くような表情をした。


「そうですよ。最初にここにいたのは警備の関係だったんですが柊先輩に巻き込まれたんですよ。まあ、腕章をつけていなかった自分が悪いんですが…」


「すまない立花君、うちの部長が迷惑をかけた」そう言って猛が頭を下げた。


「いえ、別にいいですが…」


「おい、柊。お前も謝ったらどうだ?」


「そうだったの~それは災難だったわね~」何故か笑みを浮かべながらそう言った。


「…お前は何を言っているんだ?」怒った表情をしながら猛は言った。


「どうしたんです?」遼一はそう言いながら首をかしげた。


「ん?いや~、もし風紀委員じゃなかったらここに入ったのかな~と思って」そう言いながら遼一に顔を近づけてくる。


「そうですね、技術系には入ろうと思っていたんでーーー」


「よし!だったら行動開始よ!猛!準備よ!」


「俺も行くのかよ!?ていうか俺を名前で呼ぶな!その前に謝っとけよ!」


「あっ!静香ちゃんはお疲れ様!入部届はしっかり出しておいてね?」猛の言葉は無視してクルッと静香の方を向きながらそう言った。


「あ、はい分かりました」戸惑いながらもそう答えた。


「さあ、あなたも一緒に行くわよ!えっと・・・」


「立花遼一です」


「そう、遼一君も!」


「一体どこにです?」


「それはもちろん風紀委員室よ!」満面の笑みを浮かべながらそう言った。















「で?俺は一体何をすればいいんだ?」猛はジロっと亜里沙を見ながらそう言った。


「それは猛の幼馴染みでもある加奈を抑えて」


「お前は俺に死ねということか?お断りだ」そう言って首を横に振った。


「残念、委員長の加奈と交渉しないと意味ないわ。遼一君を手に入れるための行動よ。犠牲はつきものよ」


「そういうお前も中学から加奈と一緒だろうが!犠牲はつきものってふざけんな!」グワッと猛は亜里沙に向かって怒鳴った。


「幼馴染みというのに意味があるわ」


「ねえよ!お前は夢見る乙女か?妄想も大概にしろ!」


「失礼ね~、私はどこからどう見ても乙女でしょ?あなたから見て加奈はどうなのよ?」


「あいつなんて一般男性のタイプから言ったら野球で言うストライク枠を大きく外れてデットボールだな。いや、乙女というより悪魔のほうがピッタリーーー」


「ほう、猛。お前は私をそのように思っていたのか」笑顔を貼り付けた加奈が猛の後ろに立っていた。


その言葉を聞いた猛は錆びたロボットのようにギギギっと後ろを振り向くと加奈がいた。


「い、嫌だな~、そんなわけないじゃないか~。い、いつもき、綺麗だな~と・・・」冷や汗が額を伝わるのが見てわかった。


「そうかそうか、聞き間違いだったか。それだったら、今回は模擬戦は二回で許そう」


「いやあのーーー」


「なんだ?三回もしたいのか」そう言ってやれやれといった表情をした


「だからーーー」


「四回かお前も好きだな~戦うこと」呆れた表情をしながら言った。


「二回でお願いします加奈様」そう言って素晴らしいといってもいいほどの土下座をした。


「ふん、まあいいだろう。楽しみにしておけ」


「ああ・・・」疲れきった表情でそう言った。


「それで、私に何か用があるのだろう?一体何だ亜里沙」


「この子をうちに貰えないかしら?」そう言って遼一の後ろから両手をポンと遼一の肩に乗せた。


「貰うということは委員会を抜けさせるということか?」


「そういうこと」ニコッと笑いながらそう言った。


「どういうことだ?どうしてそうなったか教えてくれないか?」そういって加奈は亜里沙を見た。


「ええ、いいわ。この子は私の上を行く存在だからじゃダメかしら?」


「はっ?」加奈は間の抜けた表情をした。


「柊先輩?一体何を言っているんです?」遼一もそう言って亜里沙を見た。


「さっき遼一君がしたMWのコードは確かにみんなから見たら何の変哲もないように見えたかもしれないけど、私はそこに注目したんじゃなくてMWの特徴をしっかり捉えてコードを作ったことよ」そう言って先程遼一がコードを作ったMWを取りだした。


「加奈、使ってみて」そう言って加奈に渡した。


「SND社製か?だがこれは一世代前のモデルだぞ?」


「威力は最新と変わりないわ。とにかく使ってみて」


「わかった」加奈はそう言って剣を装備して使った。


「…すごいな、最新機と差がないぞ」薄緑色のエネルギー刃を見ながらそう言った。


「そうよ、それに暴走することがないようにきちんと保険をかけているみたいだったわ」そう言ってチラッと遼一の方を見た。


「…おっしゃる通りです。誰が使ってもいいように保険を掛けておきました」


「ということは個人用に作ったら一般の最新機よりも強いのか?」加奈はそう言ってニヤッと遼一の方を見て笑った。


「…そうです」


「あはははは!すごいな立花!お前は戦いだけでなく技術もできるのかよ!なんで言わなかったんだ?」加奈は興奮した様子でそう言った。


「言う必要がないからですよ」


「まあいい、しかし亜里抄、風紀委員を抜けさせるというのはダメだ」


「やっぱり?夏の大会の戦力補強なの?」


「ああ、その通りだ。だから絶対に外せない。だが、部活に入ることはダメではないぞ?」遼一の方を見ながらそう言った。


「…自分を過労死させる気ですか?」


「そんなことは言ってない。だが、部活に入らなくてもたまに顔をだすくらいならいいんじゃないか?」


「お願い遼一君!七校大会も近いしさ!技術部員の補給がどうしても必要なの!ここは学校を助けると思ってさ」そう言って懇願した。


七校大会とは正式名称、全国立魔法大学付属高等部部活対抗大会というもので、九州、四国中国、近畿、中部、関東、東北、北海道地方の国立魔法大学付属の高校の部活生徒が集まり競う大会だ。

これは全国の高校の大会に出たら最終的に全国大会で国立魔法の高校生同士が決勝で争うことになってしまうのでこのような措置をとったのだ。


「…分かりました。部活には入りませんがたまにでしたら顔に出すことにします」


「本当に!?ありがとう!」そう言って遼一の両手を掴みながら喜んだ。


「…終わったか、だったら俺は帰るぞ?じゃあ―――」


「どこへ行く猛…ああ!もしかしてそんなに模擬戦がしたかったのか仕方がないな~今日は特別に新技を使ってやるよ。この幸せ者!」そう言って帰ろうとする猛の襟をガッと掴んでズルズルと引きずった。


「ま、待て加奈!俺はそんなことは言っていない!くそ!おい待て柊、立花助けろ!いや、助けてください!俺は非戦闘員だ!」悲痛な表情を浮かべて亜里抄と遼一に助けを求めた。


亜里抄は笑顔で手を振って見送り、遼一は頭を下げて見送った。


しばらくして学校の中庭で悲鳴が聞こえたのは気のせいではないだろう。















「あら?遼一?」


「…梓か」遼一は鞄を持ってから言った。


「あれ?美希はどうしたのよ」


「今日は先に帰ってもらった。色々あってな」


「ふ~ん、風紀委員に入ったから?」


「それは生徒会に入った梓にも言えるだろ?」


「確かにそうね、最近は一緒に帰れないしね」


「別に昼休みには会ってるだろう」


「それもそうね」ふふっと笑いながらそう言った。


「そう言う梓は麗華と一緒じゃないのか?」


「いや、麗華は一人で帰ったわ…。分かるでしょ麗華の性格考えたら」


「確かにな、友達を待つというタイプじゃないからな」


「そういうこと、まあ、私は気にしてないけどね」


「そうか」遼一はそう言いながら空を見た。


「でも大変ね遼一、狙われているんでしょ?いろんなクラスから」


「ああ、闇討ちがおおいな」


「ひどいわね…」苦い表情を浮かべながらそう言った。


「仕方ないさ、俺のクラスはFだからな。自分の方が優れている思っている奴らからしたら気に食わないだろうさ」


「…クラスは関係ないわよ」


「いや、実力順になっているからそうでもないさ」


「知っているでしょ、Aクラス以外は大体一緒よ」


「そうだな…。そういえばAクラスには喧嘩売られてことないな」


「するわけないでしょ、Aクラスの連中が…」ジト目でそう言ってきた。


「それもそうだな」


Aクラスの連中は別格だ。完全に実力が違うと言ってもいいだろう。それは毎年恒例だ。しかもAクラスには特権がある。それは部活に必ずしも入らなくても良いだ。

それには理由がある。だいたい、Aクラスは家独自の技といったものを持った家柄が多い。つまり、そう言った技を練習する時間が必要なためこのような措置がある。

そしてもう一つの理由が他のクラスや部活と馴染めないのがほとんどだ。それはここの学校はただの登竜門と思っているのがほとんどで学校を楽しもうという概念がないのがほとんどだからだ。

それは他のクラスでも言えるのではないかというのは出てくるかもしれないが、レベルが違う。普段から他人を寄せ付けないオーラや独特な雰囲気というものを張るものがいたりなど一匹狼や変わり者が多い。


「あんな連中が喧嘩を売るわけないでしょ」


「まったくだ。確かに変わっている奴が多いよな。梓達が珍しい位だよ」


「そうね、学校にまともに来てるのもほとんど同じくらいだし」


そう、Aクラスの連中のほとんどは学校に最低限しか来ない。興味がないからが一番の理由だ。しかし、最低限の出席や授業は受ける。

Aクラスでもまじめな奴は委員会や部活に入るし学校も毎日来る。例としてあげられるのは風紀委員や生徒会といった人たちだろう。


「そうだろうな…。ここは魔法師になるための切符みたいなものだからな」


「もっと、楽しむとかないのかな~。もったいない気がするわよ。人生の半分は損しているわね」


「それをクラスで言うなよ」


「分かっているわよ。私もそこまで馬鹿じゃないわよ」


「だったらいいが、たまに梓はやらかすからな」


「な!いつやらかしたって言うのよ!」


「小学生の時、教室で―――」


「ストップストップ!それから先は言っちゃダメ!」梓は慌てて遼一の口を押さえた。


遼一は梓の手を外しながら


「別に恥ずかしがることではないだろ。小さいころの思い出と思えば」そう言って軽く笑った。


「それが恥ずかしいのよ!」顔を真っ赤にしながら言った。


「…そうか」


「今、鼻で笑ったでしょ!?」キッと遼一を睨みながら言った。


「気のせいだ」


二人はそうこうしながらそれぞれの家に帰った。















「ただいま」遼一はそう言って自分の家に上がった。


『お帰りなさいませ、遼一様』ルイがそう言って遼一の鞄を持った。


『遼一様、平野優子様より電話をしてほしいとのことです』


「ああ、わかったよ」遼一はそう言って優子にTV電話をかけた。


『あら?今学校から帰ってきたの?』画面越しで微笑みながら言った。


「そうですよ。それで何か分かったんですか?」


『ふふふっ、まあそう焦らないで、簡単に言うと睨んだ通りと言うのを言っておくわ』


「というと何か繋がりがあったんですか?」


『エクストラミィは依頼しているようだったわ』


「依頼ですか?」


『そうよ、雲居という名前は聞いたことあるかしら?』


「幻術使いのですか?それならありますよ」


『そうよ、どうやらそこのものに死神の調査依頼を出しているみたいなの。まあ、私にもその依頼が来たから今回の件についてはすぐにわかったけどね。それともうひとつ厄介なことがあるわ』


「なんです?」


『どうやら息子が遼一君が通っている学校にいるみたいねしかも同学年って話よ』


「…その人が依頼をかんでいるってことですか?」


『可能性としてわ高いわ。あなたと死神はなんらかの繋がりがあるって噂が流れているから』


「…仕事は控えた方がいいですかね」


『そうね、下手にして見つかるのは良くないわ。…しばらくは学校生活を楽しみなさい』


「わかりました。そうさせてもらいます。ありがとうございました」


『ええ、別にいいわ。それよりも楽しみなさい、あなたにはまだ未来があるから』そういってにっこりと笑った。


「…はい」


『それじゃあ』そう言って電話が切れた。


「楽しむか…」遼一はそう言ってソファに腰掛けながら天井を見た。


中学校行っていないからな…。それなりに楽しまないといけないか。遼一はそう思いながら天井をじっと見続けていた。

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