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魔力がない魔法生  作者: とんび
1章 入学編
7/29

七話 家族

研究を終えた次の日、朝日がまぶしい午前中、遼一はとある家を訪れていた。住宅街の一角で家の周りは塀で囲まれていて立派な門があった。家はそこまで大きくないが一般家庭よりは大きいだろう。

その横に添えられているインターホンを遼一は押した。


ピンポーンと言う音とともにドアが物凄いスピードで開き、目に映らない速さで何かが遼一に襲いかかってきた。


「遼一!久しぶりだわ!」二十代くらいの若い女性がそう言った。


遼一より頭一つ小さくて、亜麻色で腰まである長い髪、透き通るような黒い瞳、整った顔立ち、体のラインが分かる白色でフリルのついたワンピースを着て男性からしてみれば興奮するだろう。

案の定、魔法委員会の男性からは人気があるが彼女はいつも笑顔でスルーしている。


「…母さん、そうだけど毎日のように電話したでしょ?」困り顔でそう言った。


そう彼女が遼一の母親なのだ。彼女の名前は立花涼子、現在は魔法委員会に勤めている。ランクはDとベテランの域に入っているが本当の実力は隠している。


なまで会えるのがいいのよ!生遼一が!」そう言いながら遼一の胸に顔をうずめた。


「意味が分からないよ。それよりも離れて、動けないから」そう言って引き剥がそうとした。しかし、遼一の力ではびくともしなかった。


「引き剥がそうとしても無理よ。とりあえず、このままで一日を過ごすわ」


「やめて、それだけは嫌だから」そう言って困った表情で何度も抵抗を試みたが意味がなかった。


「ああ、そうやって抵抗する遼一…なんてかわいいのかしら!」そう言って上気した顔をどんどん近付けてくる。


「そうはさせないわよお母さん!」そう言って玄関から菜々子が飛び出してきて遼一達を引き剥がした。


「ちょっと菜々子!親子の感動の再会を邪魔しないで!」そう言って菜々子と対峙した。


「その感動の再開でりょーちゃんにキスをしようとしたのは誰?」睨みつけるようにして見た。


「別にいいじゃない?親子なんだし」何か問題でも?といった表情でそう答えた。


「大有りだよ!りょーちゃん嫌がっていたじゃない!」


「そんなことはないわよね遼一?」


「…見ていた通りで―――」


「ほら、嫌がっていないじゃない!」


聞いてないし…。ていうか最後までいわせてほしいんだが…。遼一は呆れるような視線を母親に送った。


「お母さんの目はどうやら節穴のようだね。年なんじゃないの?」


「残念ながら見た目道理の年齢よ?そういう菜々子こそ私より老けて見えるんじゃない?」


「お母さんはそろそろ隠居したほうがいいんじゃないの?」そう言いながらゆっくりと双剣のMWを構える。


「駆け出しの人には負けるつもりはないわ」そう言いながら双剣のMWを構えた。


「二人ともいい加減にしなさい」そういって玄関から男性が出てきた。


「父さん、ただいま」


「ああ、おかえり遼一よく来たね、さあ、入って」女性なら一発で恋に落ちそうな笑顔でそう言って遼一に入るように促した。


遼一の父親の名前は立花祐一、中世的な顔立ちで黒髪に宝石のような綺麗な青い瞳の持ち主だ。背は遼一より少し高く180センチはある。見た目も20代くらいで青年というのがしっくりくるだろう。

現在は魔法委員会に勤めていて、結婚しているのにも関わらず、その甘いルックスと優しい物腰から魔法委員会の女性から人気がある。

ランクも涼子と一緒でDで、同様に実力を隠している。


「ゆ、祐一ゆういちさん、菜々子が変なことを言うんです!遼一が私のキスを嫌がっているとか」


「涼子、それは事実だ。遼一はもう高校生なんだ。親の接吻は嫌がるよ、好きな子がいればなおさらね」


「遼一!好きな人ができたの!?」驚くような表情でそう言った。


「誰?誰!?」菜々子は遼一に詰め寄ってそう言った。


「いないよ、好きな人がいるなんて言ってないし、思ったことないよ」そう言った瞬間三人の表情が変わった。


「ごめんなさい遼一…私のせいで…」涼子がそう言って落ち込んだ。


「ごめん母さん、今のは間違った」そう言って心配するように覗きこんだ。


その場の雰囲気が重いものに変わった。


「さあ、それよりも早く入ろう。久々にみんな揃ったんだ。積もる話もあるだろう?」その場の雰囲気を吹き飛ばすかように祐一は言った。


「そうよね、入りましょ?」菜々子も笑顔でそう言った。














四人はリビングのソファーにそれぞれ腰かけて、話をしていた。


「さて、とりあえず、最近は怪しいことはないよ。電話で言った通りだし、魔法委員会にたいしてもハッキングもされていないしね。バレることはないよ」祐一がそう言った


「そうね、問題ないわ」涼子はそういって遼一を見た。


「私もだよ」


「そうなんだ…こっちの方も問題ないよ。ようやく諦められたという感じかな?」


「そう判断するのはまだ早いよ。浩二こうじ美鈴みすず聡史そうしの方では問題があるみたいだからね」


浩二と美鈴は美希の両親、聡史は美希の叔父だ。三人とも遼一の両親みたいに若い。


「どんなの?」


「どうやら、裏の方で魔法教会が動いているらしい」


「…やっかいだね」


魔法教会とは魔法は神の力だと豪語するところだ。信仰心が強く、神のお告げで魔法をもっと広めるべきだと日本に対して言ってくるところでもある。

それだけUNKNOWNは有名なのだろう。手がかりも知りたいものだ。現在は魔法委員会でUNKNOWNの色々な情報を秘匿としているので世界のいろいろな人たちが日本の魔法委員会に対しての嫌がらせが多い。そのため現在UNKNOWNのメンバーは秘密裏に色々と仕事をしている。

それとファースト・ブルームの情報を手に入れようと色々な組織がハッキングを試みているようだ。このような状況がしばらくの間続いていた。


「そこで遼一に繋がるかどうかは分からないけど、ファースト・ブルームとしては気をつけた方がいいよ」


「わかった。気をつけるよ」


「うん、一応こっちの方でも警戒しておくからいつも通り生活していていいよ」


「ありがとう」


「ふふっ、いいよ、親子なんだしね」


「そうだよ、もし、りょーちゃんが困ったりしたらすぐに助けに行くよ。家も分かったしね」笑顔で遼一を見ながら言った。


「な、菜々子?い、今聞き捨てられないことを聞いたような気がするんだけど?」涼子は引き攣った笑みを浮かべながら菜々子の方を見た。


「え?別に~、りょーちゃんの家がわかったっていっただけだけど?」菜々子はにやにやと明らかに悪意のこもった表情で言った。


「へぇ~どうして知っているのか詳しく教えてほしいんだけど?」おほほ、と言う上品な笑い方をしながらそっと双剣のMWを構えた。


「そうだね~、一つだけ条件だすよ」菜々子は余裕な表情でそう言った。


「何かしら?」笑顔でそう言うがものすごく黒いオーラが見える。


「りょーちゃんを私に―――」


ギンッと剣同士がぶつかる音が部屋に響く。


「どうやら交渉決裂のようだねお母さん?」双剣のMWで母親の攻撃を止めながらそう言った。


「何を言っているの?交渉する気なんて最初からなかったでしょ?菜々子、私を遼一から切り離すなんて殺す気なの?」そう言いながらも剣の攻撃を緩めない。


「今のお母さんに言われたくないな~」笑顔でそう言うも雰囲気は獲物を狩る雰囲気そのものだ。


「二人ともくだらないことで喧嘩はやめて」遼一は二人を見て呆れながら言った。


「遼一?くだらないことではないわ。世界情勢が変わるほどの一大事よ?」


「確かにそれは一理あるかも、この争いは世界を制すと同じだよ」


・・・いや、なんか規模違うだろ。遼一はそんな二人にたいしてそう思った。


「ほら、二人ともいい加減にするんだ。遼一を困らせてどうするんだ」祐一がそう言って叱った。


「だったら、祐一さんフェアにするためにも遼一の家を教えてください」頬を膨らませながらそう言った。


「ダメだ。それはダメだよ。毎日行くだろ?」


「それはもちろんよ!」喜々した表情でそういった。


「遼一に迷惑がかかる。遼一は優しいから何も言わないけけど、本人に迷惑がかかったらダメだよ。それと菜々子も遼一の家には行かないこといいね」祐一は真剣な表情でそう言った。


「お父さん別にいいじゃない!弟が心配な姉が行くんだよ?料理を作りに行くんだよ!」


「料理に関しては遼一の腕は問題無いし、それに美希ちゃんがいるから菜々子と涼子も行く必要がない」


「・・・美希ちゃんずるい」

「・・・これが幼馴染みというアドバンテージね」


菜々子と涼子の二人はそう言うとガクッと肩を落とした。


「だから、遼一の家は立ち入り禁止、会えるのはこの家だけいいね?」


は~いっと言う気の抜けた返事をした。


「とりあえず、今日の夕飯は豪勢にするわ!さあ、菜々子!準備するわよ!」


「もちろんよお母さん!お父さんと遼一はゆっくりしててね」


「そうさせてもらうよ」


「楽しみにしてるよ」


「お母さん聞いた?楽しみにしてるよだって・・・やばいかも」頬を若干赤くしながら言った。


「・・・限界突破して料理を作るわ」ぼーっとしながらそう言った。


二人はフラフラしながらキッチンに向かって行った。


「・・・相変わらず過ぎてため息が漏れそう」そう言ってため息をついた。


「もう漏れているよ」祐一は苦笑いをしながらそう言った。


「・・・父さんそろそろいいかな?」


「わかった。それじゃあ行こうか」


そう言って二人は立ち上がって菜々子と涼子に気づかれないようにリビングを出た。















「よし、そしたら真実を話して」


「わかったよ」


遼一と祐一は現在、祐一の部屋にいる。二人は対面するようにソファに座っていた。


「本当は最近俺の家にハッキングをかけられているよ」


「・・・どこからかは掴めたかい?」


「それは無理だよ。向こうは多分プロだよ。痕跡は残っているけど特定ができない。分かっているのが英語を使っている国だね。これもダミーかもしれないけど」


「そうか・・・一番怪しいのは魔法教会かな?それとも魔法反組織か・・・?」祐一は難しい顔をしながら言った。


「そこまでは無理だけど、近いうちに接触してくる可能性があると思う・・・。いや、もうしているかな?」


「学校にスパイがいるってことかい?」


「多分その可能性が高いよ。一応最初に接触してきたのは鳳凰家だけど」


「可能性はあるね。初日にカマかけてきたんだろ?」


「そうだね。姉さんは自分のことを話していたらしいよ。どうやら弟ということまで知っているかも」


「あはは、さすがだね」


「でもよく分からないんだ。自分を探ってくるところとか」


「確かにそうだね。何が目的か分からないけど、死神との接触がしたいのかな?でもそこまで特定するか?」


「それは無理な話と思うけど、連絡先を知りたいのかも」


「おや、どうしてだい?そこに遼一が繋がるとは思えないんだけど」


「自分が姉さんと親戚だからということで死神と接触があるとかんがえたんじゃないかな?」


「う~ん、どうだろうね。確かに最近死神と後処理を任されているって言っていたから可能性としてはあるかもね。でもなんで直接狙わないんだ?」


「多分、実力がないから無理やり聞き出すことができないんじゃないかな?」


「つまり姉さんは強すぎるから無理だから俺を狙った感じ?」


「ハッキングされているくらいだからそうなんだろうね。菜々子と遼一は仲が良いから死神の連絡先くらい教えていると思ったんじゃない?」


「そうだね。その可能性はあるよ。それか、もしかしたら、小学校の事件が掘り返されたかな?」


「・・・何も変わらないのに?」


「仕方ないよあの事件はそれほどの価値があるんだ。あのフィールドに立っていて、遼一が真っ先に疑われるのは仕方がないよ。でも懐かしいなあの時の遼一は髪も長かったから菜々子とそっくりだったね。今は僕にそっくりだけどね」


「まあ、姉さんとの別に血縁関係がバレても大丈夫だよ。その奥の方がバレなければ」


「・・・それでも血縁関係がバレたら苦労するだろ?」


「それよりも自分のせいで家族に迷惑をかけるのが嫌だよ。もしばれても親戚であればいつでも切り離せるし」


「遼一!子供がそんな心配をするもんじゃない!」遼一を真剣に見ながらそう言った。


「ごめん…でもこれは俺の我が儘なんだ。家族にだけは本当に迷惑を掛けたくない。本当は家を出て行くつもりだったんだ。これでも親戚という形で譲歩したつもりだよ」


「遼一…」悲しそうにそう呟いて遼一を見つめた。


「話を戻すよ。もし血縁関係がばれてもその時は落ちこぼれとして扱われるだけだよ。慣れているよ。結局、俺は逃げているだけだよ。家族を傷つけたくないっていう口実を作ってさ、姉さんと比べられるのが嫌だから」


「…逃げたくなるのは当たり前だよ。菜々子は天才だ。類まれな才能を持ったね。もし僕が遼一の立場だったら今のように戸籍を移して逃げるよ。菜々子には言っていないんだろう?」


「当たり前だよ。姉さんのせいで俺が落ちこぼれって言われてるなんて言ったら落ち込むどころじゃないよ」苦笑いをしながらそう言った。


「あははっ、それもそうだね。もしかしたら菜々子、遼一を馬鹿にした人片っ端から倒していくかもね」笑いながらそう言った。


「そうだよ、そんなことに絶対なるよ」呆れながらそう言った。


「まあ、それはいいとして、死神のほうは順調かい?」


「データとしては色々集まったけど、まだ、先が見えないよ」ふーっと息を吐きながら言った。


「大変だよね、こっちも方でも色々と動いているけどダメだよ」首を振りながらそう言った。


「じっくりやっていくよ。父さん達も無理しなくていいから」


「そうかい、ありがとう。遼一も無理をするなよ」笑顔でそう言った。


「わかっているよ。……でもいつも思うけど、何故父さんと母さんは俺のことを利用しないんだ?それがわからないよ」


祐一はその言葉を聞いた瞬間大きく目を開いた。そしてすぐに話し始めた。


「いいかい遼一、子供を守るのが親の役目であり使命だ。その親が子供を利用してどうする。僕はそのような考えを持たれるのが悲しいよ」真剣な表情をしながらそう言った。


「…俺の能力があれば人は簡単に生き返るし、若返る。そして永遠の命を手に入れることができる。父さんと母さんは利用しようと思わないの?」


遼一の能力は万能だ。視界さえ入れば、発動できるし一回発動すれば永遠に発動している状態が続くのだ。これを使って体の成長を止めれば永遠の命を手に入れることができる。


「遼一…確かにそれはそうかもしれないが、実の息子を利用すると思うか?」そう言いながら遼一を見た。


「今は遼一の力で若返っている。だけど、それは遼一の能力を知るため、守るために必要なものだ。歳をとっていたら戦闘もできないからね」


事実、祐一と涼子は五十代後半だ。その歳になれば戦闘も難しくなってくるだろう。


「それは分かってるよ。自分をいつも守ってくれていることも」


「だったらどうしてそんなことを聞くんだ?」


「いや、やはり父さんと母さんは普通の人と違うなと思って」


「何を今更、アメリカを倒している時点で普通じゃないよ」苦笑いをしながらそう言った。


「…それもそうだね。でも、父さんと母さんが親で良かったよ」


「ふふっ。そうかい、それを涼子にも言ってほしいものだよ」笑顔でそう言った。


「…いや、多分姉さんと言い争いになるから」苦笑いをしながらそう言った。


「それもそうか。まったく、もう少し距離をおいてあげたらいいのに」


「そう思うけど多分無理」遼一はふーっと息を吐きながら首を横に振った。


「やっぱりそうだろうね…」そう言って祐一はその様子を苦笑いで受け止めた。


二人はこうして時間を過ごした。
















「さあ、たくさん作ったからいっぱい食べてね」涼子はそう言って料理を並べていく。


「私が作ったものがあるから!」菜々子は笑顔で遼一の隣りに座った。


テーブルいっぱいになるほどの料理が並べられていた。これはもうちょっとしたパーティーになるほどの量だ。


「こんなには食べれないよ。知ってるでしょ?俺が小食なこと」


「速度操作で分解速度をあげれば問題ないでしょ?」菜々子はそう言って遼一を見た。


「それはそうだけど、それをやったら食べた気がしないよ」困った顔でそう言った。


「私の料理食べたくないの?」涼子はそう言って涙目になった。


「私のも食べたくないの?」菜々子も同じようにして遼一を見た。


「わ、わかったよ。食べるよ」遼一は若干呆れながらそう言った。


「はい、じゃあ、りょーちゃん。あ~ん」菜々子はそう言って箸で料理を掴んで遼一の口ものに持っていった。


「遼一、菜々子の料理よりも昔からよく食べている母親の料理の方がいいわよ?はい、あ~ん」そう言って菜々子と同様の行動をとった。


「えっと…その、俺の口は一つしかないから…」曖昧な表情を浮かべながらそういった。


「ちょっと、お母さんいい加減にしてよ。ただでさえりょーちゃんに会えないのに邪魔するの?」


「何を言っているの?それは私も一緒よ、菜々子こそ邪魔しないで」


二人はそのまま睨みあった。


「コラ、いい加減にしなさい。遼一が困っているよ。交互に食べさせればいいだろう…。ほら、最初は菜々子から」祐一はそう言って二人を止めた。


遼一は目でありがとうと祐一に伝えると祐一はにっこりと笑顔を浮かべた。


「はい、りょーちゃん、あ~ん」菜々子はそう言って遼一に食べさせた。


「どう?おいしい?」菜々子は首を傾げながらそう言った。


「おいしいよ」遼一は笑顔でそう答えた。


「じゃあ遼一、次はこっち、はい、あ~ん」涼子も同じようにして食べさせた。


「おいしい?」


「おいしいよ」


「どっちが?もちろん私よね?」涼子はそう言った。


「違うわよ。私よね遼一?」


「どっちも変わらないくらいおいしいよ」そう言って二人をほめた。


どっちか決めた瞬間に争うから曖昧な答えを言ったに過ぎなかった。面倒事は出来るだけ遼一は避けたかった。


祐一はその光景を優しい表情で見つめていた。















夕食を終えた後、遼一は明日学校があるため家に帰ることにした。


「今日はご馳走様でした」遼一はそう言って頭を下げた。


「何を言っているの、家族でしょ?遠慮はいらないわ」涼子は遼一の肩に手を置きながら優しく言った。


「そうだよ。ここがりょーちゃんの家なんだから」菜々子もそう言って遼一の頭を撫でた。


「いつでも帰ってきなさい。ちゃんと待っているから」祐一もそう言って遼一の手を握った。


「わかったよ」少し困った表情を浮かべながらも家族の温かさを噛み締めた。


「それじゃあ、またね」


「また今度ね、いつでもおいでね」

「困った時はすぐ助けるから」

「一人で抱え込まないで相談すること」


涼子、菜々子、祐一の三人は遼一にそう言って見送った。


「わかったよ」三人に背中を向けて歩きながらそう言った。















「ただいま」


『おかえりなさいませご主人様』HHRホヘルのルイがそう言って遼一を迎えた。


「ルイ、何か変わったことはあったか?」遼一はそう言いながらリビングに入った。


『何者かがここの家を監視しているようでした』


「誰か特定できたか?」真剣な表情でそう言ってルイを見た。


『申し訳ございません、ハッキングも同時進行で行われていたためそちらの対処に追われていました』


「なんだと?どこか特定は?」


『特定は難しかったですが、ここの近辺で間違いないです。距離にして半径5キロです』


「5キロか…難しいな。怪しいところは目星は付いてるか?」


『目星としては30か所です。これはマンションなどここからの監視ができるところも含まれています』


「それを抜いたらどうなる」


『それでしたら12か所です。これは廃工場や死角になりやすい。隠れ家などが多いです』


「それでも結構あるな…。探査機を飛ばせるか?」


『はい、もちろんです。それでは飛ばします』ルイはそう言うと背中の一部分を開いた。すると、たくさんの粒が外に向かって飛んで行った。


遼一の家にあるHHRは普通のHHRとは違い改造が施されている。遼一自身が改造したものでもあり、性能は色々とハイスペックだ。今、飛ばした探査機も1mmしかない。人間の手で視認するのは難しいだろう。


「とりあえず、今日は寝るよ。報告は明日の朝にしてくれ」


『了解しました』


「それじゃあ、おやすみ」


『おやすみなさいませ』


こうして一日が終わった。



追記:明日もこの時間に出します

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