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魔力がない魔法生  作者: とんび
3章 七校大会編
26/29

二十四話 大会一日目午前の部2

「おっ、戻ってきた。もう始まるで~」哲也はそう言いながら遼一と美希に対して手を振った。


「どうやらそのようだな」遼一は試合会場を見つめながら言った。


『ただいまより、ポイント射撃部の試合を開始いたします』


ポイント射撃は七校同時に試合を行う。男女に分かれて、七人同時に試合を始める。それを三試合行い、壊したターゲットのポイントの総合が高い高校の勝利となる。

ポイント射撃は他の人の妨害行為は認められていない。故意とみなされた時点で失格になり、その試合のポイントは無効となる。

フィールドは半径10mの円形に作られており、ランダムにターゲットが投影される。ターゲットは赤、青、黄の三色があり、それぞれ10pt、5pt、1ptだ。ポイントが高いターゲットほど投影されている時間は短い。制限時間の三分以内にどれだけ多く壊せるかが勝負だ。


アナウンスの声とともに七人が所定の位置につく。全員が円形を作るようにして等間隔に並んでいる。緊張した空気がフィールド全体を包む。


『Ready?Countdown3…3、2、1、GO!』


男子、女子の生徒が一斉に飛びだした。空中の色々な場所に三色のターゲットがバラバラに現れる。いろんな生徒が踊るようにエネルギー弾を放った。色々な色のエネルギー弾が飛び交い綺麗な閃光のショーが行われているようだった。

男女によっても違いは出ていた。男子は力強く移動するのに対して、女子は滑らかに移動してそれぞれの狙いを定めたターゲットを破壊していた。


「うわぁ、すげえなこれ。どれが当たっているか全くわからねえ。こんなんで採点とか出来るのか?」照吾はそう呟きながら試合の様子を見て驚いていた。


「出来るに決まっているでしょ。各校のエネルギー弾の波長がそれぞれ違うのよ。ターゲットに当たった時点で勝手に判別して採点されるわ」梓はそう言って呆れるような視線を照吾に向けた。


その視線に気付いて照吾は少しムッとした。


「仕方ねえだろ知らなかったんだからよ」不貞腐れながらそう言った。


「あんた本当に風紀委員?…資料は一通り生徒会と風紀委員の補佐以上人は読んだはずよ?」冷めた視線で照吾を見ながらそう言った。


「えっ…。あの分厚い資料、皆読んだのか?」キョトンとしながらそう言った。


皆は黙って頷いた。


「そ、そうだったのか」照吾はカグッと項垂れた。


「…なんでこいつが補佐に選ばれたのかしら」蔑みながらそう梓は呟いた。


「まあまあ、そこまでにしといてあげようや。ほら、一試合目終わったで?」哲也は乾いた笑みを浮かべながらそう言った。


第一試合  男子     女子


北海道   86pt   83pt 

東北    78pt   78pt

中部    89pt   77pt

関東    86pt   81pt

近畿    79pt   72pt

四国・中国 83pt   71pt

九州    92pt   82pt



男女総合


北海道   169pt 二位 

東北    156pt 五位

中部    166pt 四位

関東    167pt 三位

近畿    151pt 七位

四国・中国 154pt 六位 

九州    174pt 一位


大型電子ディスプレイにはこう表示されていた。


「九州が一位ね…。まあ、うちの高校もそんなに離されていないから問題ないわね」梓はそう言った。


「そうだな。二試合目もこの調子で頑張って欲しいな」遼一はそう言った。


『第二試合を開始します。選手は位置についてください』


アナウンスとともに第二試合の生徒達が所定の位置に並んだ。


『Ready?Countdown3…3、2、1、GO!』


ドンッと男女とともに飛び出し、縦横無尽に駆け巡り無数に現れるターゲットを着実に壊していく。第一試合と変わらず、いい展開を繰り広げている。しかし、ここでアクシデントが起こった。


「あっ!弾が!」照吾がそう言った瞬間に関東の男子生徒のMWにエネルギー弾が当たった。


「あのくらいなら問題ないだろ。その程度で壊れるもんか」遼一はその様子を見ながらそう言った。


「待って…様子がおかしいわよ」梓がそう言いながら怪訝な表情をした。


「標準が定まっていないみたいだね…」


関東の男子生徒は苦悶の表情を浮かべながら銃を撃っているが、ターゲットにはなかなか当たらず、苦戦をしているようだった。


「なんで標準が定まっていないんや?」哲也が疑問の声を上げた。


「考えられるのはジャミング系のかかった魔法を意図的に狙ったくらいしか考えられないな」


「闇属性の混乱魔法のこと?」梓が首を傾げながらそう言った。


「ああ、時間が経てば自然に治るし、光属性の魔法を使えば治ると思うが…この試合にそうそう闇属性もそうだが、光属性の魔法なんて入れてだろうな」


「それじゃあ、意図的に誰かが狙ったということか?」照吾が試合を睨みつけるようにして言った。


「その可能性は十分あるな」遼一は頷きながらそう言った。


「でも、誰かが意図的に狙ったとしても誰が狙ったのか分かるの?」麗華がそう言った。


「それは分からないと思うよ。それにどうして関東の生徒を狙ったのか分からないし、それにもしかしたら誤って関東の生徒を狙ったかもしれないしね」美希がそう言った。


「…まあ、今、考えても仕方がないことだ。とりあえず今は試合を観戦するしかない」


「遼一の言う通りやな」


他のみんなも納得したのか黙って試合を観戦していた。


少しして、第二試合の終了を告げるブザーが鳴り響いた。


第二試合  男子     女子


北海道   90pt   88pt 

東北    87pt   82pt

中部    89pt   85pt

関東    69pt   88pt

近畿    92pt   89pt

四国・中国 87pt   82pt

九州    89pt   86pt


男女総合


北海道   347pt 二位 

東北    325pt 五位

中部    340pt 三位

関東    324pt 六位

近畿    332pt 四位

四国・中国 323pt 七位 

九州    349pt 一位


第二試合が終了し、大型電子ディスプレイにはそう表示されていた。


「六位か…なんとか女子が頑張ってくれたからという感じだな」照吾が大型電子ディスプレイを見ながらそう言った。


「そうね。多分今頃、選手室は対応に追われているんじゃないかしら」梓がそう言った。


「静香ちゃん大丈夫かな?」美希が心配そうにそう言った。


「大丈夫だろ。静香は器用だからな」遼一は心配そうにしている美希にそう言った。


「分からんで~、案外おっちょこちょいなところがあるからな~」


「…もしそれで本当に静香のせいで負けたらあの子どうなるかしら?」麗華が冷めた視線で哲也にそう言った。


「……すまん、今のはなかったことにしてや」ばつ悪そうにそう言った。


「不吉なことは言わない方がいいわよ。冗談でも気をつけなさい」


「…はい」俯きながらそう言った。


『これより第三試合を開始します。選手は所定の位置に着いてください』


アナウンスの声とともに第三試合の選手は所定の位置に着いた。


『Ready?Countdown3…3、2、1、GO!』


「なんやあの撃ち方は!」思わず哲也が身を乗り出してそう言った。


「女子の方もすごいよ!」美希も興奮気味にそう言った。


近畿の男女の生徒がアクロバットをするような撃ち方でどんどんターゲットを壊していった。ほとんどのターゲットにエネルギー弾が向かっていき、他の生徒も慌ててターゲットを壊している様子だった。


「あの二人、よく見たら顔似ていない?」梓がまじまじと試合を見ながらそう言った。


「そう言えばそうだな…。双子とか?」照吾はそう言いながら首を傾げた。


似ている?近畿で有名な双子?遼一はそう思いながら考えた。


「思い出した。あの双子は那須家の双子だ」遼一は試合を目を細めて見ながらそう言った。


「那須家?」哲也は首を傾げながらそう言った。


「有名な人としてあげられる人物は那須与一だな」


「あっ、それなら知っているよ。源義経の家来で平家の戦いのときに扇を弓で射た弓の名手だよね」美希がそう言った。


「そうだ。本家は京都にあって、分家も他にもあるらしいが詳しいことは分からない。那須与一は京都の即成院で亡くなり墓がそこにあるから本家があるのは納得できるな。…しかも聞いた話じゃあの双子は歴代最強とまで言われている」


「まあ、それは試合を見ていれば分かるわね。去年のリストに乗っていなかったから二人は一年生と言うことね」梓はそう言いながら試合を見た。


空中で二人は何回転もしながらアクロバットを繰り広げ、ターゲットを物凄い速さで壊していった。


ブザーが鳴り響いて第三試合の終了を告げた。


第二試合  男子     女子


北海道   87pt   82pt 

東北    82pt   79pt

中部    80pt   79pt

関東    85pt   84pt

近畿   124pt  126pt

四国・中国 87pt   82pt

九州    89pt   86pt


男女総合


北海道   516pt 三位 

東北    486pt 七位

中部    499pt 四位

関東    493pt 五位

近畿    582pt 一位

四国・中国 492pt 六位 

九州    524pt 二位


総合の部門

一位 近畿       20pt

二位 北海道      14pt

三位 九州       12pt

四位 関東        9pt

五位 四国・中国、中部  5pt

七位 東北        3pt



大型電子ディスプレイにはこう表示され、ドーム中が歓声に包まれた。


「圧倒的だったな」遼一は大型電子ディスプレイを見つめながらそう言った。


「ええ、うちの高校もトラブルがあったけどまずまずの成績だと思うわ」麗華がそう言った。


「でも、近畿強いよな~。次はライフル射撃やけどそこは大丈夫やろうな。黒木さんが居るから」哲也はそう言った。


「へぇ~哲也、生徒会や風紀委員じゃないのに詳しいな」感心するような声で照吾がそう言った。


「美少女に関する俺の情報網はなめたらあかんで~」にやにやしながらそう言った。


「それじゃあ、こいつは入っているのか?」梓を指差しながらそう言った。


「人を指差すな!」梓は照吾にそういって怒った。


「もちろんあるで~、梓ちゃんはえ~とな、ツンとデレの配合率が完璧の美少女でどこかの資産家の一人娘のお嬢様、要約するならツンデレお嬢様って言う意見が多いな。姉の縁さんは母性溢れる慈愛の女神が一番多い意見やな」携帯端末を開きながらそう言った。


「……すまん梓俺が悪かった。だから落ち込むなって、いいじゃないかツンデレお嬢様で」ばつ悪そうに照吾はそう言って俯いている梓の肩に後ろから手を置いた。


梓はフルフルと肩を震わせて拳を強く握っていた。遼一はマズイ予感がしたため照吾に離れるように言おうと思ったがすでに遅かった。


「落ち込んでいないわよっ!!!」思いっきり照吾の鳩尾に梓の拳が突き刺さり飛んでいった。あまりの威力に照吾は地面に倒れたまま悶絶していた。


梓は怒りのあまり肩で息をしていた。慌てて美希が梓を落ち着くように言った。哲也と遼一は照吾の傍に行き様子を見て、彼の体を起こした。


「あ、あの野郎、せっかく、な、慰めてやったのに…」手で鳩尾を押さえて、そう呟いた。


「俺には嫌味にしか聞こえなかったぞ。それと梓は野郎じゃない」遼一はそう言ってため息をついた。


「すまん、俺もそう言う風にしか聞こえんかったわ」哲也は肩を竦めながらそう言った。


「ほら、みんなそんなことしないで試合見たらどう?始まるわよ?」麗華が呆れながらそう言った。


『ただいまよりライフル射撃を開始いたします。選手は位置に着いてください』


アナウンスとともに選手は地面に少し潜り込んだ壁の手前で一人ずつ横一列に並んだ。その後ろには五人ずつ他の男女の選手たちがそれぞれ固まって待機していた。


ライフル射撃は指定された距離のターゲットを北海道、東北、関東、中部、近畿、四国・中国、九州の順番に射撃をしていく。指定された距離にあるターゲットを破壊することが出来れば成功となる。その距離を誰か一人でも成功したら距離は50mずつ増えていく。1500mを超えた所から選手達が宣言した距離にターゲットは置かれていく。パスをすることも可能で、一回の射撃につきチャンスは三回でより遠い距離のターゲットを壊すことが出来れば勝ちとなる。その間選手交代は出来る。なお、最初の距離は1000mからスタートだ。時間制限も存在しており三分間だ。現在ドームの天井は開いていて青い空が見えていた。


『北海道の生徒は準備をして始めてください』


アナウンスとともに北海道の選手はライフル銃のスコープを覗き始めた。そして数十秒してターゲットは破壊された。歓声は送られた。


「この距離からはターゲット見えずらいわ。光魔法のスコープでも入れとけばよかったわ」哲也はそう言って目を凝らしながらそう言った。


「頑張って肉眼で見ろうとするなよ…。普通にあそこに映し出される大型電子ディスプレイを見てればいいだろう?」呆れたように遼一はそう言った。


「甘いな遼一、自ら見ろうとすることに意味があるんだよ」照吾は感心するように頷いた。


「照吾…」哲也はそう言いながら照吾の方を向いた。


「哲也…」照吾もそう言いながら哲也の方を向いた。


そして哲也は静かに照吾の方に手を置いた。


「俺はそこまでの意味はもっとらんかったで。何かよう分からんけど頑張れや」真剣な表情でそう告げた。


「へっ?」ポカンとしながら照吾はそう言った。


「要約するとあんたは馬鹿ってことよ馬鹿」梓は冷めた視線でそう言った。


「あっ?性格ブスには言われたくないんだけど?」挑発的な態度でそう言った。


「性格ブス?見た目も中身もダメな奴に言われてもね~。彼女が出来ない醜い嫉妬をぶつけて欲しくないんだけど?」にっこりとしながらそう言った。


「はんっ、お前こそ遼一と―――があっ!」


突然、梓は照吾の鳩尾を思いっきり殴った。照吾は声を上げながらズルズルと前傾姿勢になりながら地面に膝をついた。


「お、おま、…に、二回目…」悶絶しながら声を絞り出していた。


「あ、あんたが悪いんだから仕方ないでしょ!」ぷいっと顔を少し赤くしながらそっぽを向いた。どうやら少し罪悪感があったようだった。


「まあ、二人ともそこまでにしとけ。梓も悪いと思っているなら謝っておけよ。無論、照吾もだけどな」苦笑いしながら遼一はそう言った。


「…わ、分かっているわよ。わ、悪かったわね」チラッと照吾を見ていった。


「…俺も悪かったよ」そっぽを向きながらそう言った。


その様子に二人以外は生温かい視線を送って、その間何とも言えない微妙な空気が流れた。


「そ、そう言えば、なんでパスできるのに皆パスせんのや?一気にとばせるもんやけど?」哲也は微妙な空気を払拭するようにそう言った。


「それは風、方向、角度、を一人一人が確認するための作業でもあるのよ。狙撃は色々な条件をクリアしてやっとできるものよ。この大会で一番集中力がいる作業ね。狙撃する時は完全に集中するために耳栓をしている生徒も多いわ。私はあまりお勧めできないけど」麗華がそう言った。


「どういうことや?」


「実戦向きではないのよ。魔法師の現場では耳栓して雑音消すのはいいけど、周囲の音が拾えなければ命の危険があるのよ」


「なるほどな~。でも、この中に耳栓しとる生徒はおらんな~」試合会場を見ながらそう言った。


「現場の魔法師を目指しているなら当たり前ね」


「でもこんなに人数いるもんかいな?」


「もちろんいるわよ。狙撃の一発一発は物凄い集中力がいるから精神的に疲労が高いわ。だから、一人ひとりがローテーションで回ることでその間休憩できるのよ」


「へぇ~、なるほどな~」感心するようにそう言った。


すると美希が突然クスッと笑った。


「どうしたんだ美希」遼一は首を傾げながらそう言った。


「えっとね、麗華ちゃんが試合に関してこんなにしゃべるの珍しいなと思って」


「確かにそうだな。携帯端末でを見れば分かることだしな」


「ちょっと、何言っているの?別に珍しくもないわよ」片手を振りながら否定した。


「やっぱり銃のことが関わっているからかな?」美希が下から麗華を覗きこむようにして言った。


「べ・つ・に・関係ないわよ」美希の頬を両手でグイッと引っ張りながらそう言った。


「いひゃい、いひゃいよ。れいふぁちゃん」


すぐに美希は麗華の両手を掴みながら無理やり離した。少し赤くなった頬をさすった。


「も~う、痛いよ麗華ちゃん。りょーちゃんもなんとか言ってよ~」プクッと頬を膨らませながらそう言った。


「そう言われてもな…」肩を竦め苦笑いしながら言った。


「はいはい、それよりも試合見るわよ。どうやら一通り周ったみたいだし」梓がそう言いながら試合を見た。


大型電子ディスプレイに距離が1350mと表示されていた。


「どうやらここからが本番みたいだな」遼一がそう呟いた。


そこから選手たちは立て続けにパスを続けて1500mまでになった。


『北海道の選手は距離を宣誓してください』


『1800mでお願いします』静かに近くに置いてあるマイクに向かってそう言った。


「いきなり攻めるな~。距離感は大丈夫なもんか?」哲也は驚きながらそう言った。


「それは選手たちにもよるわ。このくらいなら問題ないでしょうね」麗華は試合を見ながらそう言った。


『北海道の選手は準備を始めてください』


アナウンスの声とともに銃を構え、数十秒した後に銃弾が放たれた。銃弾は見事に命中し、会場は歓声に包まれた。


「へぇ~、すごいな。300mくらい問題ないんかいな?」


「あの様子だとそうみたいだな」照吾がそう言いながら頷いた。


この次の東北も成功し、関東の出番が周ってきた。


『関東の選手は距離を宣誓してください』


「おっ、マリナちゃんみたいやで~。さっきの時は見れんかったしな」


「そうだな。まあ、3000mのターゲットを撃てるにしてもさすがに―――」


『3000m』マイクに向かって抑揚のない声で言った。


照吾が何かを言う前にそう言った。照吾は驚きのあまり言葉を失っていた。マリナの後ろに控えている関東の選手は慌てずにその場で静かに彼女を見守っていた。


「ははっ、すげえわ。もしこれが成功したら堂々の一位やで?」


「そんな悠長に笑っていられないわよ。失敗したら最下位の可能性があるのよ?」非難するような声でそう言った。


『関東の生徒は準備をしてください』


アナウンスがそう告げた瞬間にマリナは銃を構えて、数秒もしない内に銃弾が放たれた。銃弾は綺麗な線を描きながらターゲットを貫通した。

会場は今日一番の盛り上がりを見せた。撃った本人は毅然とした態度で関東のいる生徒の方に戻っていった。


「おいおいおい、あんな簡単に落とせるのか?」照吾が驚きながらそう言った。


「照吾君も見たでしょ?彼女にとっては序の口じゃないかな?風紀委員で見に行ったときなんて普通にあの距離のターゲットを落としていたしね」美希が真剣な様子でそう言った。


「絶対距離が3000mって一体彼女は何者?」麗華は信じられないものを発見したような様子でそう言った。


「信じられないわね。本当に同じ学年なのかしら?」腕を組んで梓は目を細めながらそう言った。


「当たり前だ。彼女は俺達と同じ歳だ」遼一は梓を見て呆れた表情でそう言った。


この後他の高校が3000mに挑んだが、全高校が失敗に終わった。


ライフル射撃の部門

一位 関東             3000m

二位 北海道、東北         1800m

四位 九州、四国・中国、中部、近畿 1300m 




総合の部門

一位 近畿       24pt

二位 北海道      22pt

三位 関東       19pt

四位 九州       16pt

五位 東北       11pt

六位 四国・中国、中部  9pt


大型電子ディスプレイにはそう表示されていた。


『これで午前部は終了いたします。午後の開始時間は午後一時です』アナウンスがそう言って締めくくった。

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