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魔力がない魔法生  作者: とんび
1章 入学編
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二話 再会と接触

次の朝、いつものように遼一は美希と登校した。教室に入るとクラスメイトが遼一に質問を次々と始めた。


「なあなあ!鳳凰さんとどういう関係なんだ!?」

「あの可愛い子たちを俺に紹介してくれよ!」

「ねえ!あのかっこいい男子生徒何て言うの?」

「できればお友達になりたいんだけど!?」


どの時代、どこの学校に行ってもこのような質問をするのは仕方ないことであろう。遼一はややうんざりしながらも、質問に答えていった。


朝から本当に迷惑だ…こんな話をして何が楽しいんだ?遼一はいまいち面白さを感じずクラスメイトに答えていた。















昼休み、食堂で昼食をとろうと立ち上がって廊下に出るととある女子生徒が立っていた。


「はじめまして、立花君」生徒会長の鳳凰ほうおうゆかりだった。


「…ええ、はじめまして生徒会長」そう言って一礼をした。


「それで何かご用が?」


「ふふっ、もちろんよ。あなたのお姉さんが天才って言うほどの人を見てみたくてね…」すると遼一をじっと見つめ始めた。


「…姉なんて僕にはいませんよ」


「あら?おかしいわね?立花遼一君でしょ?」


「ええ、そうですが…僕は一人暮らしで姉などいませんよ。」そう言ってIDカードを見せた。


「…立花か…おかしいわね人違いかしら…。立花菜々子って言う人知っている?」


「ええ、知っていますよ。親戚ですから」


「え!?親戚だったの?弟じゃなくて?」驚いた表情をしながらそう言った。


「確かに自分は普段から姉さんとはいいますが親戚ですよ」


「遼一!早く昼食に―――ってお姉ちゃん!?」


「あら?梓ちゃんどうしたの?」そう笑顔で言った。


「いやいや、お姉ちゃんこそ、遼一に何か用があるの?」


「遼一?…ずいぶん親しいのね?」


「へっ?あっ、いや…これはその…」あたふたしながらそう言った。


「ふふふっ、仲がいいのね?」


「う、うん、だって小学校からの仲なんだ」


「そうなんだ。それだったら幼馴染みって奴かしら?梓ちゃんがいるなら仕方ないわ。後で生徒会室に来て頂戴」笑顔でそう言った。


「わかりました」


「じゃ、じゃあ私達もう行くから」


「では自分たちはこれで失礼します」梓の言葉を遮るようにして食堂に向かった。















食堂について、二人で先に昼食を食べていた。


「何でそんなことになったんだ?」照吾は訳が分からないと言った表情をした。


「そうだよ…どうしてそこまでのことに…」美希も困惑の色を浮かべた。


「さすが生徒会長だ…。さすがに焦ったな」


「もう接触してきたの…。有名人だよね~」麗華は淡々とした口調でそう言った。


「それは親戚だ」


「あはは、菜々子さんすごいよな」照吾は苦笑いをした。


「ななちゃんは天才だよね」美希はそう笑顔で言った


立花たちばな 菜々子ななこ。最年少でAランクになった天才少女だ。

この関東国立大学付属魔法学校に所属して、生徒会長をしていたということと、弟がいると言う情報が流れている。

彼女は優れた技能を持っているだけでなく綺麗な亜麻色の髪に宝石のような綺麗な青い瞳で完璧なプロポーションの超絶美少女であることだ。魔法委員会の中では【UNKNOWN】の再来と言われている。

コミュニケーションも良くとれて、冷静に物事を判断するなど、非常に好感の持てる存在だ。

事実、あまりの人気でファンクラブまでも存在している。


その親戚がそう、立花遼一である。


「なんで、あんなに魔法師ではなく技術師にこだわったのかが分からないがな…」


「りょ、りょーちゃん、それは―――」


「美希、それは言わない約束をしているでしょう」梓がそう言って美希を止めた。


「どうかしたのか?」遼一は不思議そうな顔で二人を見ていた。


「何でもないよ。それよりも早く食べないと昼休みが終わっちゃうよ」美希はそう言って食べ始めた。















放課後、遼一達は帰ろうとしたが目の前にいる人物に止められた。


「ちょっと、時間くれるかな?」


「生徒会長ですか…ほら、お呼びだぞ梓」照吾がそう言って梓を見た。


「ふふふっ、違うわ。みんなよ、みんな」


「はい?」

「え?」

「は?」

「えっと…」

「・・・」


遼一、美希、照吾、麗華、梓の五人は訳がわからないと言った表情をした。


「とりあえずみんな生徒会室に来て」そう言って縁はみんなを連れて生徒会室へ赴いた。















「ようこそ生徒会室へ」そう言ってみんなを迎え入れた。


中には生徒会のメンバーであろう人が四人いた。


どこかで見たことがあるぞ?遼一は右のほうで座っている男子生徒に目を向けたが男子生徒は爽やかな笑みを浮かべて遼一を見た。

今は考えることではないな。遼一はそう思って生徒会室を見渡した。


生徒会室は会議用の大きな机に椅子が添えられていてその椅子のすべてが皮製だった。


「とりあえず、みんなそこにかけてもらえるかしら」そう言って座るように促した。


「さっそくだけど、生徒会に入って貰いたいの梓ちゃんと五木さんにね。梓ちゃんは副会長で五木さんは書記をやって貰いたいんだけど?」


この学校の生徒会長は自分で生徒会や委員会の役員を決めたりやめさせたりなどが出来る。他にも色々な権限があったりなど、教師よりも権限があったりもする。


「え!?わたしですか?」


「私もですか?」


「そうよ、五木さんは申し分ないし、梓ちゃんは主席だからね」


「私でよければ別に構いませんが…」麗華は少し戸惑った表情で言った。


「…あたしも別にいいけど」


「じゃあ、決まりね。それとあと三人は風紀委員ね」


「は?なぜです?二人は分からないでもないですが自分まで…」遼一はそう疑問を口に出した。


「別にクラスは気にすることないわ。風紀委員は実力みたいなものだし、それに一ノいちのせ君が推薦をしたくらいだしね」


「なんですって?」


「僕が推薦をしたんだよ、遼一君」そう言って一人の見た目が爽やかな男子生徒が出てきた。


大志たいしさんでしたか」


「そうだよ。四年ぶりくらいかな?本当に久しぶりだね?」そう言って笑顔で手を差し伸べてきた。


「そうですね。お久しぶりです」


全く気付かなかった。雰囲気が変わったな。遼一はそう思いながら手を握って握手をした。


一ノいちのせ 大志たいし。現魔法委員長の息子である。魔法に関してもSランクの親同様に申し分なくすばらしい。

戦闘中でも笑顔を絶やさないため、一部では『微笑みの貴公子』などと呼ばれている。一ノ瀬家では毎代Sランクの魔法師を出すので、息子である大志にも期待がかかっている。


よりにもよって大志さんか…遼一は少し焦った。


魔法委員長の息子であるので自然と親のほうから情報が漏れている。つまり、遼一のある秘密もばれているのだ。

しかも、一度、遼一と大志は手合わせをしたことがある。なので、遼一の実力もある程度知っているのだ。


「君の実力は僕がよく知っているからね。推薦したんだよ」


「そうだったんですか」遼一はそう思いながらも内心では焦っていた。


「知り合いみたいだけど…学校の先輩関係?」縁がそう言って聞いてきた。


「まあ、そんな感じですね」


「ふ~ん、そうだったんだ」


「まあ、それでも実力は見てみたいものだな」そう言って黒髪釣り目の男子生徒が言った。


「それもそうですね、一ノ瀬君が言うから間違いないと思うんですけど」ポニーテールの女子生徒がそう言った。


「おいおい、それよりも自己紹介が先だろう?みんな困っているぞ?」栗色ショートヘアーの女子生徒がそう言った。


「おっとすまない。俺の名前は三嶋みしま真樹まさき、三年で副会長をやっている」黒髪釣り目の男子生徒がそう言った。


「私は四清しせい真由子まゆこ、二年で書記をやっています」亜麻色ポニーテールの女子生徒がそう言った。


「私は二瀬ふたせ加奈かなだ。風紀委員長をやっている」栗色のショートヘアーの女子生徒がそう言った。


「えっと…みなさんは魔法委員会の…」


「そうだ、俺たちはみんな『数持ち』の子供になる」真樹はそう言って遼一をみた。


魔法委員会上層部を『数持ち』といって要約するのが一般的だ。


本当に五木さんの言うとおり、化け物の巣窟だな…遼一は五木副委員長の伝言を内心で毒を吐きながらそう思った。


『数持ち』の人全員がAランク以上だ。その中でも一ノ瀬委員長と五木副委員長は別格と言われている。

そんな人たちの子供であるため実力もすごいだろう。見れば分かるようにみんなA組のバッチを胸のところに着けていた。


「というわけで立花君、実力を見せてほしいんだ」


「…入るの前提なんですか?」


「え?入らないの?そうか…残念だな~。もしかしたら、色々と口が滑っちゃうかもな~」大志はそう言いながら困ったような表情をする


「大志さん、貸しですよ…」遼一はそう言って大志を見た。


「お安いご用で」そう言って笑った。


「それはいいんですけど…朱雀君はどこです?今日は集合をかけていたんですけど…」真由子がそう言った。


「あいつのことだどうせ中庭で本読みながらねているんじゃないか?」真樹がそう言った。


「朱雀君らしいわね。ちょうどいいわ、朱雀君と中庭で戦って実力を見ましょうか。朱雀君もたぶんそこにいるだろうし」縁がそう言った。


「それもそうだな。まったく後輩のくせに先輩より働かないなんてどういう了見だ?」加奈が腕を組みながらそう言った。


「あの、朱雀っていうのはもしかして…?」美希がそう言って聞いた。


「そう、朱雀家の子息の朱雀すざく 恭輔きょうすけ君よ」


またか…。遼一はそう思いながら思わずため息をつきそうになったがなんとか堪えた。


朱雀は鳳凰と同じで大魔法家の一つだ。得意な魔法は風の魔法で俊敏な動きで相手を翻弄したりなど色々な技に長けている。

そんな大魔法家の子息だ、弱いはずがない。


生徒会メンバー達と一緒に遼一達も中庭へ向かった。















「やっぱりここにいたのね」縁が困ったような表情をして言った。


「…何か用ですか会長?」中庭のベンチで足を組んだ状態で眠たそうな黒髪碧眼で独特な雰囲気の男子生徒が縁を見た。


「何か用ですかじゃなくて、放課後、生徒会室に来るように言ったよね?」


「ええ、聞きましたが…それが?」


「…またか、お前…今が放課後だぞ?」真樹がそう言ってため息をついた。


「はい?なんですって?」そう言いながら携帯端末を開いた。


「…本当に放課後ですね。また寝過したようです」そう言って立ち上がって伸びをした。


「また昼休みから寝ていたのか、お前、学生が授業に出ないとはどういう了見だ」


「…何も言われないし問題ないですよAクラスですし」


「何も言われないのはお前がやるべきことをやっているからだろうが…授業にでないのは…もういい、お前の好きなようにしろ」加奈はため息をつきながらそう言った。


「そうですか?」首を傾げながらそう言った。


…マイペースな人なんだろうな。遼一はそう思いながら縁の方を見た。


「そうね…朱雀君、ここにいる立花君と手合わせをお願い出来るかしら?」


「立花?立花先輩ってまだ学校にいましたっけ?」そう思案顔でいった。


「いや、そうじゃなくってね、ここに居る立花遼一君と手合わせをしてほしいの?」


「ああ、なるほどですね。えっと…はじめまして、生徒会で会計をやっている朱雀 恭輔だよ」


「あっ…どうも、立花遼一です。よろしくお願いします」


「じゃあ、さっそく試合をやってもらうわ。準備をして」縁がそう言って準備を促す。


二人はお互いに距離をとった。


「試合はMWはスタンモード、でEランク以下の魔法の使用を認めるわ。でも、相手に後遺症が残るほどのケガをさせないこといいわね」


スタンモードとは、E系統の剣なら切れ味が無くなる剣、つまり木刀と同じになる。銃などは相手に当たっても殴られた程度にしかならないというものだ。つまり、E系統であっても殺傷能力が極端に落ちるのだ。


「わかりました」

「了解です」


そう言って二人ともMWを構えた。


恭輔のMWはE系統の片手剣、遼一のMWはE系統の双剣だ。


「はじめ!」縁の合図とともに遼一は斬りかかった。


「風」恭輔がそう言ったら遼一が目の前で後ろに大きく吹き飛ばされた。


…やはり、すごいな。遼一はそう思いながら体制を立て直した。


「おそいよ」遼一の背後からいきなり現れた。


「ッ!」遼一は双剣でぎりぎりのところで受け止めてすぐに後ろに下がった。


生で見るまでは分からなかったが動きが見えなかったぞ?遼一はそう思いながら構えた。


「…初めてみた?」


「ええ、見たというより見えなかったんですけどね」


今のは朱雀家の高速移動術『飛移ひい』というものだ。

見て字の通り、飛ぶように移動をするためそのような名前をついているのだが、実際に確認できたものがいないため本当かどうか誰もわからない。


「そうなんだ。でも今のが見えなかったら次で終わるよ?」


「何ですって?」


「だって今の半分も出していないよ?」


どうやら認識を改めた方が良さそうだな。遼一はそう思ってMWの形を変えた。


「双銃?…まさかそれって銃剣だったの!?」縁がそう言って驚いた表情をした。


「…先輩」


「…どうしたの?」


「恨みっこなしでお願いします」


「…なるほど、本気みたいだね」そう言ったら急に恭輔の目つきが鋭くなり、雰囲気が変わった。


「やれやれ、やっと、エンジンがかかったか」加奈はそう言って首を横に振った。


「本気ですか?」麗華がそう言って加奈の方を見る。


「ああ、あいつはムラッ気があってな。乗るときと乗らない時があるんだ。今回は乗ったみたいだけどな」


「でも珍しいよな。朱雀が乗るなんてさ。一ノ瀬の言った通り、立花って大物なのかもな」


「どうやら、遼一君の方も乗ったみたいですね。これからが本番ですね」


遼一が先に仕掛けた。

遼一は銃を四方に放ち、留まらせた。


「…ずいぶん高度な技を使うんだね」感心したのか恭輔がそう言った。


銃弾の魔法を留まらせることは魔法と銃弾のエネルギーが完全に釣り合っていないと使えない技だ。少しでも狂っていたら普通の魔法のように空中で進んで消える。


「対策ですよ。飛移の」


「それで止められるかな?」そう言った時にはすでに後ろにいた。


「ええ、十分ですよ」そう言った瞬間に恭輔の体勢が崩れた。どうやら地面が氷によって急に滑ったようだった。


「なっ!」恭平は驚いてそのまま後ろに下がった。


「そっちはダメですよ」そう言った瞬間に先程放った弾が恭平に襲いかかった。


「がっ!」体の四方にあたったがすぐに飛移で体勢を立て直して遼一に襲いかかった。しかし、遼一はいつの間にか恭輔の後ろに立ってそのまま首に片手剣を当てた。


「俺の勝ちです」


「…そのようだね」完全に意表をつかれた恭輔は降参をした。


「勝者、立花君」そう縁が告げて戦いが終わった。















「一体どうやったら後ろを取れたの?」


生徒会室に再び戻り、現在は先程やったことを遼一は質問を受けていた。


「飛移を真似したんだろう?」真樹がそう言って遼一を見た。


「…その通りです。擬似的に真似させていただきました」


「はぁ?あんな高度な技を?無理だろう普通」加奈がそう言って批判した。


「…遼一君は一度見た技は大抵は模倣できるんだよ。でも疑問に思うよ。何で君はF組なんだい?」大志が疑問に思ったのかそう言った。


「自分の魔力測定でG判定を貰いました」


「は?」大志はそう言ってポカンと口を開ける。


美希と縁以外の他のメンバーもそんな感じで唖然としていた。


「実技と筆記のほうでたぶん合格を貰ったんじゃないですかね?」


縁は何を思ったのかいきなり学校用の端末を起動させ、せわしく指を動かした。


「…これを見たらみんな納得すると思うわ」そう言ってみんなに見せた。


俺と接触したあと調べたのか?・・・抜かりのない人だな遼一は縁の行動を見てそう思った。


実技と筆記に関しては最高評価のA判定を貰っているのに魔力の項目だけG判定を貰っていた。


「知らなかった。…まさか、魔力がほとんどないなんて」大志がそう言って驚いた。


「は、初耳なんだけど…」梓もそう言ってジト目で遼一を見た。


「俺もだぜ…まさか…な」照吾もそう言って苦笑いをした。


「…でもそれじゃあ、Gクラスの魔法までしか使えないのではないか?」加奈がそう言って声をあげた。


「その通りです。ですが、魔法を合わせて使っています」


「…二重魔法だと?笑わせるなそんなことができるわけないだろう」加奈がそう言って遼一を見た。


二重魔法をするには同時に演算処理をしなければいけない。つまり、片方の魔法を制御しながら、もう片方を操ると高度な技だ。簡単に言うと、頭である数学の問題を考えながら、手は別の教科の問題を解いている状態だ。そんなことは人間には不可能に近い状態である。


「演算処理はできますよ。ほら」そう言って双剣に火と水属性を纏わせる。


「…お前人間か?」かなり引いた目で加奈が遼一を見た。


「人間ですよ。それに、これは擬似的な魔法ですよ」


「擬似的だと?」


「ええ、そうです。簡単に言いますと演算のコピーです」


「演算のコピー?」縁が首を傾げながらそう言った。


「そうです。人それぞれ魔法演算の仕方が違うと思います。しかし、その演算は顕著に現れているんですよ」


「どういうことだ?」真樹がそう言って遼一を見た。


「魔力の波長です。自分はその波長を読み取って魔法に変換するんです」


「波長だと?なんだそれは?」


「魔法を出すときに漏れ出る魔力の波のことです。波長は人それぞれ違います。それを利用して自分は二重魔法を使います」


「だが、さっきは一人でやっていたよな?」加奈が疑うような眼差しで遼一を見た。


「円城寺さんに手伝って貰いました」遼一はそう言って美希を見た。


「そうなのか?円城寺」加奈はそう言って美希を見た。


「ええ、その通りです。確かに私は水の魔法を使っていました」


「だが魔力を感じなかったぞ?」


「人には関知できないレベルです。波長を読み取って魔力量を調節すれば問題ないですよ。相手の真似は出来ますけど自分の魔力量は少ないからあくまで疑似なんですよ。まあ、さっきみたいに意表を突くのにはむいていますね」


「確実にお前しかできないっていう技か…」真樹がそう言いながら遼一を見た。


「三嶋先輩の言う通りかどうか知りませんが、今まででは自分以外確認したことないと思いますよ」


「…そんなことをばらしてよかったのか?」


「生徒会の皆さんがばらすメリットがないので問題ありませんよ。それに、発表されたところで別に問題ない技術でありますし」


「なるほどね、わかったわ…。それについてはいいとして、正式にみんなをメンバーに加えるから明日から頑張ってね?それじゃあ、今日は解散みんなお疲れ様」縁はそう言って締めくくった。
















途中でみんなと別れて遼一と美希は自操車に乗って家に向かっていた。


「りょーちゃん、よくあんな嘘が言えたね?」美希はそう言いながら遼一の顔を覗き込む。


「嘘ではないよ。半分は本当さ」


「半分?…ああ、魔力の波長は読めるってとこ?」


「そう、そこの部分は本当さ。ただその方法で魔法を使っていないだけで」


「…なんでりょーちゃんには魔力がないんだろうね。それがあったらみんなと変わらないのに」俯きながらそう言った。


そんな姿を見て遼一はポンッと美希の頭を撫でた。


「ないものを言ってもしょうがないさ。でも、簡単には原因はわからないだろうな」


「ふふふっ、そうだね。今日は夕飯を作って帰るね?」


「ありがとう。作ってから帰るのかい?」


「うん、泊っていきたいけど…りょーちゃんの邪魔をしたくないから」


「そう、そしたら帰りは家まで送るよ」


「いいよ、りょーちゃんも忙しいでしょ?」


「いや、送るのは一秒もかからないし・・・・・・・・・問題ないよ」


「…じゃあ、お言葉に甘えようかな?」


「ああ、俺も料理をしてもらうからな」


「ふふふっ、私がしたいだけなのに」


「それでもだ」遼一は窓の外を見ながらそう言った。


「りょーちゃんらしいね」そう笑顔で言った。

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