残された剣 - 7
誰かがリオの部屋の扉をノックした。
「はい、どうぞ」
リオの返事に、ゆっくりと扉が開いた。
その瞬間——
「……っ!!!」
開いた扉の向こうから、研ぎ澄まされた殺意が、飛んできた。
リオは反射的に懐の短刀を抜き、軌道を逸らす。
殺意の正体は、フードと仮面で顔を隠した人物。
片手には短刀を握っていた。
「……ヴェイルですね」
「正解です!」
場の空気にそぐわない、少し高めの声が返ってくる。
フードの人物はそれ以上踏み込まず、突然仮面を外した。
茶髪の、イリスと同じくらいの年齢の青年。
彼の目を見た瞬間、リオは悟った。
彼も戦うために生きてきた人間だと……。
「いやぁ。師匠の元弟子って聞いてもっと近寄りがたい人を想像してたんですけど……」
青年は肩をすくめ楽しそうに笑う。
「思ったより普通ですねぇ〜」
「師匠……アルベルトのことか」
「はい。僕はヴェイル所属・ロイといいます。アルベルトの弟子です」
その言い方にリオの眉が僅かに動く。
「……リオさんは、なぜ師匠がヴェイルに……と思っているのでしょう?」
青年は、くすっと笑った。
「師匠はね、王宮もヴェイルも最初から同じものだと思ってたんですよ」
ロイは淡々と続ける。
「だから自分で場所を選んだ。それだけだったみたいです」
「それで、ヴェイルに?」
「ええ。納得いかないなら自分で聞いてみてください」
「……敵陣に行けと?」
「あぁ〜違います。間もなくリオさんも選ぶ時が来るでしょう」
「??」
「冷酷娘の剣としてか……それともアルベルトの弟子としてか……」
「どういう事だ??」
「まあ、ゆっくり話しましょう。1日は長いですから……♪」
ロイは、不敵な笑みを浮かべるのであった。




