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残された剣 - 6
リオが目を覚ますと薄暗い天井が視界に映った。
……また、あの夢だ。
剣を握らされた幼い手。
冷たい声。
何も告げずに背を向けたアルベルトの背中。
何年経っても、あの言葉だけが消えない。
「お前は、いい剣になったな」
それは褒め言葉だったのか。
それとも別れの言葉だったのか。
リオは上体を起こし、額に滲んだ汗を乱暴に拭った。
窓の外はまだ白み始めたばかりで、朝には少し早い。
ふと彼の脳裏に、別の背中が浮かぶ。
冷たく凛として、どこか危うい背中。
守りたいと思い、剣を握る理由を、初めて与えられたのではなく、自分で選んだ相手。
イリス……。
夢は過去だ。
過去が今を縛るなら、それを断ち切るのは剣しかない。
その時だった。
誰かがリオの部屋の扉をノックした。




