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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 浅 眠瑠
エピソード8:残された剣
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残された剣 - 5

アルベルトが消えてから、3年が経ち、リオは王国騎士の中で1番と言っていい程に強くなっていた。

ただ、リオの中は空っぽだった。

剣を振るう理由が、分からない。

強くなるためでも、生き残るためでもない。

ただ、剣を手放したら、自分が空っぽになってしまう気がした。




とある日の、訓練場。

いつもと変わらない朝のことだった。


「次は、お前だ」


そう呼ばれて、リオは前へ出た。

目の前に立っていた相手は、自分より歳下の少女だった。

肩まで伸びた深い緑色の髪の少女は、剣を握り、立っていた。

ここは、子どもが立つ場所じゃない。


「……本気で来てください」


リオはそう言うと剣を構える。

少女も無言で剣を構える。

次の瞬間、空気が変わった。


剣筋が、鋭い。

無駄が、ない。

迷いが、ない。


リオは一歩下がり、すぐに理解した。

この少女……強い。

少し打ち合ったところで、リオの剣先が弾かれた。

息を整えながら、リオは少女を見る。


「……名前は?」


少女は、こちらをまっすぐ見返して言った。


「イリス」



王の娘・イリス。

わずか14歳にして、保安組織の隊長に就いた少女。

後から聞いた肩書きは、どれも現実味がなかった。

ただ1つ確かだったのは……

剣を握るその背中が、あまりにも孤独に見えたこと。

アルベルトが去ったあの日以来、初めて胸の奥がざわついた。


“守りたい”


それは、命令でも役割でもない。

リオが生まれて初めて抱いた、個人的な願いだった。

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