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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 浅 眠瑠
エピソード7:母の遺したもの
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母の遺したもの - 2

「いらっしゃい、王の娘」

「……やはり、私を知っているか」

「この王都で、君の“気配”を知らない者はいないからね」


仮面屋は、イリスの手元にある布に包まれたそれへと、静かに視線を落とす。


「……それで? 今日はその仮面のことかい?」


イリスは答えず、無言のまま布をほどいた。

仮面が露わになった瞬間、仮面屋の動きが、ほんの一瞬だけ止まる。


「……これは……」

「知っているのか」

「……これを直しに来たのかい?」

「違う。これを作ったのはお前か?」

「そうだね。確かに昔、ワタシが作ったものだ」


イリスの瞳が鋭く細まる。


「……依頼したのは誰だ。誰のために、何のために作られた仮面だ」


仮面屋は、困ったように肩をすくめた。


「何を言っている?これは君のための仮面だよ」

「……は?」


思考が、追いつかない。


「知らなかったのかい?これは君の母親が……君たちのために作らせた」

「“君たち”?」


イリスは、その言葉を逃さなかった。

仮面屋は、ゆっくりと言葉を選ぶように告げる。


「そう。君の母親……エリオネが、“双子の子どもたち”に与えるために作らせた仮面だよ」

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