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母の遺したもの - 1
「……この辺りか」
金を積み、聞き込みをして辿り着いた、行き止まり。
ーーのように見える場所。
他よりも不自然に静かな場所に、壁一面に掛けられた無数の仮面があった。
笑顔。
怒り。
泣き顔。
そして――感情のない顔。
「……ここだ」
イリスが仮面に触れた瞬間、
壁は音もなく歪み、奥へと続く道が開いた。
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道の先には、無数の仮面が並ぶ店内へと続いていた。
棚にも仮面。
壁にも仮面。
天井からも無数の仮面が吊るされていた。
薄暗く鼻につく香の匂いが漂う。
「いらっしゃい、王の娘」
店の奥から現れたのは、
顔の半分を仮面で覆った男だった。




