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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 浅 眠瑠
エピソード6:檻の記憶
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檻の記憶 - 5

セラの身体は、まるで糸が切れた人形のように崩れ落ちた。


「セラ……っ!」


イリスは慌ててその身体を抱き留める。

呼吸はかなり浅く、汗が出ていた。

彼女は完全にスラム街に当てられていた。

闘技場の熱、歓声、血の匂い。

それら全てが、セラの過去を引きずり出してしまった。

周囲の視線が突き刺さる。

この街では、倒れた人間ですら“商品”になり得てしまう。

イリスはフードを深く被り直し、セラを抱えたまま闘技場を後にした。



━━━━



夜の境界に微かな揺れが走った。

それは音でも光でもない。

世界の裏側をなぞるような……歪み。


「……来たか」


ヴェイルのトップ・クロは森から王都の方角の空へ視線を向けた。


……鍵が反応した。


指先に懐かしい感覚が走る。

遠い昔……まだ自我を持たなかった頃に感じたものと同じだ。


「目を覚ましたのは……あっちか」


低く呟き、クロは腰に付けた仮面に手を伸ばす。

ひび割れた境界の仮面。


「……母上」


彼の脳裏に浮かぶのは、深い緑の髪と焦りに満ちた横顔。

黒は立ち上がり静かに告げる。


「迎えに行こうか」


それが、あの日俺が与えられた役目だから。

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