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檻の記憶 - 1
王宮を出たイリスは仮面を布で包み直した。
鍵は紐を通し、首へかけた。
割れた仮面の亀裂は、あれ以降これ以上広がっていない。
「これからどうするのですか?」
セラが不安そうに問いかける。
「この仮面を作った者がいるはずだ。仮面屋を探す」
「……心当たりはあるのですか?」
「裏区画のスラム街だ」
スラム街は貧困層が集まる区画であると同時に“何でも揃う街”でもある。
正規の品も、違法な品も、区別なく。
その言葉を聞いた瞬間、セラは不安そうにマントの端を握りしめた。
「……大丈夫でしょうか……」
「安全ではないだろうな」
「……」
「そうか……セラ。嫌なら来なくていいんだぞ」
セラとフィオは孤児。
かつてスラム街で生活していたところを礼拝堂関係者に保護されている過去がある。
セラにとってあの場所はあまりいい思い出はないだろう。
少しの沈黙の後、セラは顔を上げはっきりと告げた。
「イリスさまが行くなら……行きます」
その声には、迷いよりも決意があった。
あの仮面を知る人間がいるとすれば、そこしかない。
2人は王都の影、スラム街へ向けて歩き出した。




