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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 浅 眠瑠
エピソード5:閉ざされた真実
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閉ざされた真実 - 1

翌日、王城応接室。


「以上が、礼拝堂での一件の報告です」


イリスは簡潔に告げた。


ヴェイルの関与。

アルベルトの出現。

フィオが姿を消したこと。


レオナルトは、イリスの報告を聞きつつ、提出しされた報告書を一枚ずつ、丁寧に読み進めていた。


「ヴェイルは撤退。フィオは消失」


レオナルトは、報告書を置くと静かに息を吐く。


「……セラは無事か」


レオナルトが最初に口にしたのは、その名だった。


「はい。怪我はありません」

「そうか」


イリスには1つの疑問が浮かぶ。

国の安全よりも先に、なぜ1人のシスターの名が出たのか……。


「お父様」


イリスは一歩踏み出した。


「なぜセラをそこまで重要視なさるのですか」


わずかな沈黙。

レオナルトの視線がイリスを射抜く。


「必要な存在だからだ」

「理由を、お聞かせいただけませんか」

「知る必要はない」


冷たい拒絶。

だが――なにかを隠している。


「……失礼いたしました」


それ以上は踏み込まず、イリスは一礼する。


「下がれ」


扉が閉まる。

廊下に出た瞬間、イリスはゆっくりと息を整えた。


(少しだけ……)


ドアノブに触れることなく、意識を王の執務室へ向ける。


――読む。


セラたちを見つけた時にも使ったそれは、人の感情・思考の“揺らぎ”をなぞる、イリスの能力。


「ーーっ……!?」


見えない壁に触れたような感覚。

まるで先を読まれていたかのように、思考は硬い膜に遮られる。


(結界……?)


イリスは、ゆっくりと手を下ろした。

読めなかった。

父はイリスが何をしようとするか分かっていたのだろうか。


(やっぱり……)


セラの存在。

ヴェイルの動き。

そして、父の沈黙。


「……自分で確かめるしかない、か」


イリスは呟くと歩き出した。


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