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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 浅 眠瑠
エピソード4:祈りの傍で
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祈りの傍で - 8

暗い地下。

どこにあるのかも分からないその空間は、最低限の灯りだけが置かれていた。

静寂の中、アルベルトが淡々と報告する。

その先には、黒衣に身を包み、深くフードを被った人物がいた。

顔には、アルベルトがかつて付けていたものとは異なる仮面。


「王の娘と、保安組織副隊長が予想以上に早く到達しました。そのため、計画は失敗に終わりました」


「……なるほど。それで、仮面が割れたと?」

「少し、顔を見られました」

「そうか……まあ、顔を見られても問題はない」


それだけだった。

アルベルトは、わずかに眉を寄せる。

玉座に腰掛けていたその人物はヴェイルのトップ・クロ。

彼がゆっくりと立ち上がると、黒衣が音もなく揺れる。


「イリスが感情を切り捨てた。それが確認できたのは収穫だ」

「……あの裏切ったシスターを、敵と認識したことか?」

「あぁ」


クロは、どこか楽しげに息を吐いた。


その時、部屋の扉がギギギ、と軋む音を立てて開き、姿を現したのはフィオだった。


「やあ。この間ぶりだね。君は来てくれると思っていたよ」


フィオは一瞬、言葉を躊躇ったが、やがて口を開く。


「自由になりたい。だから……約束、守って」

「自由、か」


クロは一歩、フィオの前に立つ。


「それは、与えられるものでも、許されるものでもない」


伸ばされた手が、伏せられていたフィオの顎を静かに持ち上げる。


「君は囚われていない。最初から、自由だ。

だが――ここにいる限り、“王の側”には戻れない」


2人の視線が、まっすぐに交わる。

フィオは何も言わなかった。

しかしその瞳には、揺るがない覚悟が宿っていた。

それを見て、クロはわずかに微笑んだ。


「ヴェイルへようこそ」

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