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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 浅 眠瑠
エピソード4:祈りの傍で
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祈りの傍で - 6

森を抜ける頃には、夜が完全に明けていた。


セラは無事保護。

フィオはヴェイルの仮面の男……アルベルトと共に消えた。


冷たい朝霧が立ち込める中、イリスは一度も振り返らずに歩き続けていた。

背後では、リオが黙ったままついてくる。

誰も、言葉を発しなかった。


「……」


礼拝堂が見えた時、ようやく彼女は足を止める。

イリスたちを迎えるように祈りの鐘が鳴っていた。

変わらない音。

変わらない景色。

入口の前で礼拝堂のトップ・エリシアが帰りを待っていた。


「セラ……良かった……」


エリシアはイリスの隣にいたセラの元へ駆け寄り、抱きしめる。

その姿は本当の親子のようだ。


「フィオは……?」


エリシアの問いに、セラの目からは涙が浮かぶ。


「ごめんなさい……フィオ……どっかに行っちゃった」

「謝らないで。セラのせいじゃない」


セラの目から溢れる涙を拭き取るエリシア。


「当面、礼拝堂の警備を強化する。王命だ」


イリスがエリシアに冷たく告げる。

エリシアは、イリスを見ると静かに頷いた。


「……承知しました」



━━━━



「リオ」


礼拝堂を離れながら、イリスはリオの名を呼ぶ。


「はい」

「森で見た男。あれは誰だ」


リオの足が、止まった。

僅かに震える。


「……彼は、アルベルトです」

「アルベルト……名は聞いた事あるな」

「自分を育て、剣を教え、組織のために生きろと教えてくれた人です」


リオは、言葉を詰まらせながら続ける。


「……死んだと、聞いていました」

「そうか」


死んだはずの男が、反政府組織ヴェイルの一員として現れた。

これは偶然なはずがない。


「報告書を書いたらすぐにお父様のところへ行く」


イリスはリオへそう告げた。

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