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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 浅 眠瑠
エピソード4:祈りの傍で
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祈りの傍で - 5

「フィオ、待って!」


セラが止めるより早く、フィオは一歩踏み出した。

その瞬間だった。


風が裂けた音がした。


「……見つけたっっ!!」


鋭い叫びと同時に、凄まじい速度で影が駆け抜ける。

その影は、リオだ。

剣が閃き、迷いなく迎えへ振り下ろされる。


「――っ!」


仮面の人物は咄嗟に後退するが、間に合わない。

金属音が響き、仮面にヒビが入った。


「あなた、もしかしてヴェイルの方ですか?」


質問を投げるリオの剣は止まらない。

仮面の人物もいつの間にか短刀を取り出し、リオの連撃を止めていた。

優しい口調と話し方とは真逆な、剣術として完成された容赦のないリオの攻め。


「ほぅ……流石だな、冷酷娘の右腕なだけあるな」

「隊長のその名は口にしないでもらいたいですね」


すると、リオの攻めで、仮面にヒビが入り砕け落ちる。

その顔面を見たリオの目が見開いた。

リオにとって見覚えのありすぎる顔だった。

それは、彼を剣へ導き生き方を教え、そして“死んだ”と聞かされていた人物・アルベルト。

アルベルトは懐かしむように微笑んだ。


「久しぶりだな、リオ」

「アルベルト……」


その様子を見ながらすぐに追いついたイリスは震えるセラへ駆け寄る。


「セラ!怪我は?」

「イリスさま!私は、大丈夫です」


セラは震えながらも頷いた。

その目には涙が浮かんでいる。

イリスは、その場に立ち尽くしているフィオの前に立った。


「……フィオ……何をしている」


感情を抑えているが、怒りは隠しきれていない低い声。

フィオは唇を噛み、叫ぶように口を開いた。


「だって……!あそこにいたら、ずっと子どものままだって……!」

「黙れ」


氷のように冷たいイリスの声に、フィオが怯える顔を見せて黙る。

その様子を見たアルベルトは構えていた短刀を下ろすと、小さく息を吐く。

すると、マントを翻し、フィオの腕を掴んだ。


「え……?」

「約束は守る」


アルベルトとフィオの足元に、黒い影が滲む。


「フィオ!!」


セラが叫ぶが、影が広がり、2人は溶けるように消えてしまった。

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