祈りの傍で - 3
セラとフィオの捜索。
礼拝堂から更に奥へ進むにつれ、空気が変わっていくのをイリスは感じていた。
陽の光は木々に遮られ、足元には湿った落ち葉が積もっている。
「……静かすぎる」
思わず漏れた独り言に、リオが小さく頷いた。
イリスは地面に視線を落とすと、柔らかい土の上にかすかな足跡が残っていた。
「……これは」
小さな足跡が2つ、並んで進んだ形跡がある。
「セラ様とフィオ様……ですかね」
「ああ。歩幅が近い」
イリスは指先で地面に触れ、土の感触を確かめる。
時間はそれほど経っていないようだ。
その足跡を追っていくと、開けた場所に辿り着いた。
枝と布で作られた、簡素な小屋のような建物。
まるで子どもが身を寄せ合って作ったような拙い造り。
「……ここですかね」
リオが当たりを見回しながら言う。
空気が妙に静かだった。
鳥の声も風に揺れる葉擦れの音もない。
逆にその静けさが耳についた。
「人の気配は、ありませんね」
「あぁ……だが、新しい」
イリスは小屋へ近づき、中を隠すように掛かっていた入り口の布を持ち上げた。
中は、思ったよりも整っている。
小さな木箱。
古びた毛布。
そして二人分の痕跡。
足を踏み入れた瞬間、イリスの胸の奥がきゅっと締め付けられた。
イリスは無意識に木箱へ手を伸ばした。
温もり。
寄り添う感覚。
震える肩。
焦り。
苛立ち。
決意。
そんな説明し難い感覚が流れ込んできた。
イリスは思わず木箱から手を離す。
「隊長?」
「ここにいた」
「……ですが今はいませんね」
イリスは小屋の奥に目を向ける。
そこには入り口とは違う裏口のような場所があり、外へ出ると奥へ続く足跡があった。
「この先かもしれない。行くぞ」
消えた2人を追うため更に森の奥へ足を向けたイリスとリオであった。




