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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 浅 眠瑠
エピソード4:祈りの傍で
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祈りの傍で - 3

セラとフィオの捜索。

礼拝堂から更に奥へ進むにつれ、空気が変わっていくのをイリスは感じていた。

陽の光は木々に遮られ、足元には湿った落ち葉が積もっている。


「……静かすぎる」


思わず漏れた独り言に、リオが小さく頷いた。

イリスは地面に視線を落とすと、柔らかい土の上にかすかな足跡が残っていた。


「……これは」


小さな足跡が2つ、並んで進んだ形跡がある。


「セラ様とフィオ様……ですかね」

「ああ。歩幅が近い」


イリスは指先で地面に触れ、土の感触を確かめる。

時間はそれほど経っていないようだ。

その足跡を追っていくと、開けた場所に辿り着いた。

枝と布で作られた、簡素な小屋のような建物。

まるで子どもが身を寄せ合って作ったような拙い造り。


「……ここですかね」


リオが当たりを見回しながら言う。

空気が妙に静かだった。

鳥の声も風に揺れる葉擦れの音もない。

逆にその静けさが耳についた。


「人の気配は、ありませんね」

「あぁ……だが、新しい」


イリスは小屋へ近づき、中を隠すように掛かっていた入り口の布を持ち上げた。

中は、思ったよりも整っている。

小さな木箱。

古びた毛布。

そして二人分の痕跡。


足を踏み入れた瞬間、イリスの胸の奥がきゅっと締め付けられた。

イリスは無意識に木箱へ手を伸ばした。

温もり。

寄り添う感覚。

震える肩。

焦り。

苛立ち。

決意。

そんな説明し難い感覚が流れ込んできた。

イリスは思わず木箱から手を離す。


「隊長?」

「ここにいた」

「……ですが今はいませんね」


イリスは小屋の奥に目を向ける。

そこには入り口とは違う裏口のような場所があり、外へ出ると奥へ続く足跡があった。


「この先かもしれない。行くぞ」


消えた2人を追うため更に森の奥へ足を向けたイリスとリオであった。

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