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王の子は世界と世界のあいだで鍵となる  作者: 浅 眠瑠
エピソード3:祈りの傍で
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祈りの傍で - 4

「フィオ、待って!」


セラが止めるより早く、フィオは一歩、踏み出す――その瞬間だった。

風が裂けた音がした。


「……見つけたっっ!!」


鋭い叫びと同時に、凄まじい速度で影が駆け抜ける。

リオだ。

剣が閃き、迷いなく迎えへ振り下ろされる。


「――っ!」


仮面の人物は咄嗟に後退するが、間に合わない。

金属音が響き、仮面にヒビが入った。


「あなた、もしかしてヴェイルの方ですか?」


質問を投げるリオの剣は止まらない。

仮面の人物もいつの間にか短刀を取り出し、リオの連撃を止めていた。

優しい口調と話し方とは真逆な、剣術として完成された容赦のないリオの攻め。


「ほぅ……流石だな、冷酷娘の右腕なだけあるな」

「隊長のその名は口にしないでもらいたい」


すると、ヒビの入った仮面が、砕け落ちる。

露わになったのは、リオにとって見覚えのありすぎる顔だった。

それは、彼を剣へ導き生き方を教え、そして“死んだ”と聞かされていた人物・アルベルト。

仮面の人物は懐かしむように微笑んだ。


「久しぶりだな、リオ」

「……っ……アルベルト」


その様子を見ながらすぐに追いついたイリスはセラへ駆け寄る。


「怪我は?」

「大丈夫です」


セラは震えながらも、頷いた。

その目には涙が浮かんでいる。

一方、フィオはその場に立ち尽くしている。

イリスは彼女の前に立ち、見下ろした。


「……何をしている」


声は低く、感情を抑えているが怒りは、隠しきれていない。

フィオは唇を噛み、叫ぶ。


「だって……!あそこにいたら、ずっと子どものままだって……!」

「黙れ」


氷のように冷たい声にフィオが怯える顔を見せ黙る。

その様子を見たアルベルトは構えていた短刀を下ろすと、小さく息を吐くとマントを翻し、フィオの腕を掴む。


「え……?」

「約束は守る」


アルベルトとフィオの足元に、黒い影が滲む。


「フィオ!!」


セラが叫ぶが、影が広がり、2人は溶けるように消えてしまった。

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