13.お土産開陳
今回で「キョウ編」最終回です。
して――
キョウでの出来事を上の方々へ報告しておる最中に、セナ様が腹を押さえて倒れられた。酷くなければよいのだが。
してて――
なんやかんやあって、イオタ家に帰省しておる。
「お土産にござる」
お土産の包みを床に広げた。
「まあ、キョウ土産ですか!」
母上がお喜びにござる。
お土産の中身は、葛を使った甘いお菓子。これはあっという間に無くなった。
タケマルがほとんどを食った。
半分をこっそり隠しておいて良かった。デンスケとタエと母上とで食べていただいた。
「まあ甘い!」
「旨い! これがキョウの菓子ですかい!? 寿命が四十五日延びやした!」
去年の暮れからデンスケの寿命が延びっぱなしでござる。
「おいしい! お嬢様はタエの誇りにございます!」
タエは甘いのを与えると尊敬してくれるのでござる。
フシミの主に色々と各方面を案内していただいたと申し上げたら、母上が偉く畏まられた。
ここでもデンスケの寿命が四十五日延びたらしい。タエの某への尊敬の念が爆上がりにござる。
「して、キョウへ飛んだのでござるが、まさか内裏に飛ぶとは思うてござらんかった。お声がけしていただきましたが、公方様の位が思ったより下でビックリいたした」
「「「え?」」」
母上、デンスケ、タエが目を見開いて仰け反った。
「まさか帝と直接口をきけるとは思わなかったでござる」
「「「え?」」」
「冷や汗どころではござらんかった」
「「「……」」」
「あ、そうそう! 帝は一重まぶたにござる……如何なさった?」
「「「ぷはぁー!」」」
息を止められてござったか。
「あなた! なに! なにををををッ!」
「母上、日頃の冷静さはどちらへ?」
イナリ大社の宮司様より頂いたお土産の中に、なぜか狐のお面が入れられていた。口から下が出る半面でござる。
これは某が頂いておこう。
――キョウ編・完――
「キョウ編」最終回です。
次章、誠意執筆中につき、しばらくお待ちください。
次回は、たぶん北へ向かいます。たぶん。




