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【外伝-2】 (ネコ耳サムライTS転生物語。ニホンは摩訶不思議な所でござるなー)スルガの国のミウラの主でござる  作者: モコ田モコ助
イズモ編

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11.炎上

『正義なんてないよ』

 ヤマトの主が前足で猪肉の皿を引き寄せられておる。


『我らは正義だと自負しているが、もし、我らがミウラの主を殺したら、イオタは何をする?』

 敵わぬとも、神獣様に一太刀浴びせるでござる。それには……

『いま、わたし達をどうすれば殺せるかと考えただろう? 正義の神獣を殺す。それは悪だ。だが、イオタにとってそれは正義。さて困ったことだ。正義が二つ出来た』

 むー、それはそうでござるな……。

 難しいのは苦手でござるが、なんだか考えてしまう。


『イオタは素直で宜しい』

 よく分からんが、ヤマトの主に褒められたでござる。

「それほどでも?」

 テヘヘでござる。

『そういう所ですよイオタさん』

 なぜかミウラに呆れられた。


『ここは無視が一番。犯人達は騒ぎがないので逆に狼狽えるはず』

『されど、このままというには我らも据わりが悪い』

『悪戯をした子は叱らねばならぬ』

『されど、まあメシを先に食おう』

『そうしよう』

『処罰のお話は明日でいいや』

 皆様、お食事に戻られた。

 

 して――

 今日は無視しておこうと決められた。

 神獣様方も、ヒソヒソと何かを話し合われておられる。おそらく、来年の事についてでござろう。

 盛んに某の名が出てきておるが、某を使った何かを考えておられるのでござろう。

 よって、某も何事もなかったかのように過ごした。

 下へ降りては水を飲んだり、所用を済ませたりして過ごした。

 見るとはなしに神官の方々をみてみると、やはりこちらをうかがう様子。それも不安げな目で。

 巫女頭殿の失態を気にしているのか、お食事会のことを気にかけておられるのか。これだけでは分からぬ。

 

 してして、夜が来た。

 明日は最終日。しらけてしまったので、会議は軽く流して、昼には解散と言うことになりそうでござる。


 今宵も、神獣様方のおられる神殿で夜を過ごすことになった。昨夜と同じく、ミウラのモフモフに埋もれての一夜にござる。個人情報保護のため、四方に衝立を立てての睡眠でござる。


 某、なぜか悶々としておる。

 怒りの感情が残って体を温めておるのやもしれぬ。

 大勢の神獣様の気に触れて、自然と興奮しておるのやもしれぬ。

 神獣様も眠る丑三つ時にござる。  


「ミウラ、起きておるか?」

 ミウラにしか聞こえぬ小声でござる。

『どうしました? 眠れませんか?』

「シーッ! 声が大きい!」

 口に指を当てて、ミウラを黙らせた。

 そして……


 コトリ!

「むっ!」

 音が聞こえた? 後ろから?

 そーっと振り返ると……衝立の上より、十三対の輝く目がこちらを向いておった。

『あ、イオタちゃん、気にせず続けて続けて!』

 フシミの主にござる。

「わーッ!」

 びっくりしたでござる! 心臓が口の方へ五寸ばかり動いたでござる!


『いやぁー! 恥ずかしぃ!』

「別にナニもしておらぬだろうが!」

『これからしようと思ってたのを見透かされて恥ずかしいッ!』

「そこになおれ。手打ちにしてくれる!」

 裾がはだけるのもお構いなしに立ち上がった。

『『『おおー』』』

 感嘆の声が漏れ……


「あだーッ!」

 脹ら脛に走る痛みという感覚!

「足ッ、攣ったー!」

 足の自由が無くなり、ゴロンと転がる。ぺろんとまくれる着物の裾。

『『『おおーッ』』』

 見てないで神獣の神通力で何とかしてほしいでござる!


『イオタさん、アキレス腱伸ばして!』

 大あわてにござる。

『まてまて! もう少し着物の裾をはだけて……白い太股ッ!』

『白い!』

『白い!』

 ギンギン! ギュオングオン!

 貞操、もとい、命の危機に心眼が自動で立ち上がってしもうた。

「神獣たる者、女の太股でギンギンするとは情けない。世間に知れたら神獣様の威厳も落ちよう。そうなるまえにたたっ斬ってくれる! 痛たたたた!」

 太刀を手に取り起きあがろうとしたが、足の痛みで転がってしまった。


『変な声が聞こえてきたから、僕たち心配で覗いただけですぅ!』 

『あれ? 何か焦げ臭くない?』 

「誤魔化すな! あだだだだだ!」

 ズキリとした痛みが鼻の中に? これ、煙でござるか?!


『ああーっ! 神殿の柱が燃えている! めっちゃ火の手が上がってるーッ!』

『下へ降りる階段が火の海だー!』

 炎が四方から上がっておる。えらい勢いにござる!


 火事でござる!



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