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【外伝-2】 (ネコ耳サムライTS転生物語。ニホンは摩訶不思議な所でござるなー)スルガの国のミウラの主でござる  作者: モコ田モコ助
イズモ編

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7.神秘の神獣様


 ミウラを中心にし、半円を描いて十三柱の神獣様方が集まっておられる。さっそく会議でござろうか?

 皆、お座りの姿勢で、背筋がピンと伸びておる。さすが神獣様。神々しさを感じるわ!

 ミウラが中心となって説明をしておる様でござる。さすがミウラ。彼の者が持つ博識がここでも重宝されておると見える。


『『『おおおー!』』』

『でもって、柔らかい太股を前脚で――』

「ごぉっほん! おっほん!」

 大声で咳をする。神獣様方は、大急ぎで何でもないフリをした。


 ……心眼、開眼!

 ギュォオオーッ! ギュオギュオォー!

 耳を倒し、両手で塞いだ。

 効果音で鼓膜が破れそうにござる。

 心眼、閉眼。静かになった。

「ごっほん!」

 また、わざとらしい咳を一つ。なるべく大きな音で。


 神獣様全員がビクゥーッっと肩を振るわされた。中には毛を逆立ててしまわれておる神獣様もおられる。

 だれ一人として、もとい、だれ一柱として、某と目を合わせる聖獣様はいない。微妙に反らせておいでだ。


「ひとが昼飯のため忙しく走り回っておるというのに……なにをやっておられるのか? いや、なにしとる↑?!」

『あ、いえその、これはですね。先輩方が、どうしても――』

『あっ! ミウラ君! 君、裏切るのかね!』

 鶏型のイセの主がくちばし鋭く突っ込まれた。

『裏切るも何もですね! 話せと圧をかけてきたじゃないですか! 話せば諸々優遇してやるっ……痛い痛い痛い』

 ミウラの肉袋(ω)を髭ごと捻り上げた。男になったからといって、明け透けすぎる!

『そこはッ! 神経がいっぱい通ってるから! 痛い痛い痛い!』

 涙を流しても許さぬ。

『むぅ! 不可侵の神獣に、こうも損害(ダメージ)を与えるとは! イオタとは何者!?』

 ただの巫女でござる!


『ミウラの主の巫女、イオタよ!』

 尻尾をいっぱい生やした大狐が、厳かな神気を纏って一歩、二歩と前に出られた。

『おお、フシミの主!』

 神獣様達がフシミの主様が通る道を空けられた。このお方は、別格のようでござる。

『イオタよ。ミウラの主と致しておることを女子の立場から詳しく申せ! これは神獣の命令である』

 狐の圧が凄い。建屋の柱がビリビリと震えておる! さすが本物の神獣様。威力は本物にござる!


『ただで、とは言わぬ』

 イナリ様の顔に黒や赤の縁取りが浮き出た。歌舞伎役者のようにござる。縁取りが光を放って怖いでござる!

『万が一のことがあった場合、ここにいる我ら全てが駆けつけ、死を賭してでも助力いたそう。如何かな?』

 スケベ話に命を掛けるとおっしゃるか?


『フフ、足りぬか。ならば、そうじゃのう。キョウの都へ遊びに来ぬか? わたし自ら案内してやろう』

「キョウでござるか! 某一度行きたいと思うておったところにござる! しかし、武士として辱めは受けぬ覚悟!」

 とはいえ、心が揺れる! 憧れの都でござるからな。


『ふふふ、もう一押しするとするか。ならば、ここにいる神獣が守護する国にも名物や名所が数多くある。温泉や景勝地へ遊行に来ぬか? ここにいる皆、協力を惜しまぬぞ』

 しかり! まかせられよ! 等との声が上がる。


「しかしでござるな、某だけで各地へは行けぬでござる。某だけ行けば、ミウラの主の通訳が出来ませぬ。御屋形様に迷惑が掛かります」

『ならばミウラの主と共に来ればよいではないか?』

「それではスルガの国に魔獣が出現したさい、遅れをとるでござる。イマガワの御屋形様のご期待に添えぬ様なまねは出来ぬ」

『そうか、ミウラの主はまだ外で魔獣を感知できないのだったな。安心するがよい。ミウラの主不在の際は、スルガの国に隣接する神獣達の協力を約束しよう』

『……ってお隣カイの国はスワの主だったな?』

『そういえばあやつ、ここ百年ちょっと? 数百年? 顔を見とらんが生きとるか?』

 イナバの主が怖いことを言ってくれる。


『あそこ寒いからさー、温かくなったら一度見に行くか? エチゴのカスガの主、ムサシの主?』

 カイの国のお隣さんを誘うミノウの主であるが、蛇だから寒いのが苦手でござるのかな?

『我はかまわぬぞ。出かける前に魔獣を叩きまくってやる』

 エチゴのカスガの主でござる。見た目はでっかい(ふくろう)にござる。……木菟(みみずく)かもしれぬ。某には違いが分からぬ。

『良いぞ、みんなで行こう』

 ムサシの主でござる。やたらめったら毛並みの良いモグラでござる。鼻先の桃色がカワイイでござる。

『よいな! ムサシの主、ギフの主!』

『頼りにしてもらって良いぞ』

 モグラさんが頷いておられる。

『大船に乗ったつもりで任せられよ!』

 鰭を付けた大蛇、ギフの主が胸を叩いた。手がないのに器用なことでござる。


『その他隣接する国へは、わたしが責任を持って伝えようではないか!』

『そういうことで、万事手はずは整った』

『では、美少女の口から!』


「お断り申す!」

『『『なんでぇー?』』』



 獣共が、某の前で正座しておる。獣足なのに、器用に正座しておられるが、構造的に足は大丈夫でござろうか? 特に鶏のイセの主。

「……と、長々と神の具現である神獣様方に説教してきたが、神獣様方も反省しておられるご様子だし、神獣様というお立場もあろう。この辺で一旦休憩と致そう」


 長いこと喋っておったので、催すモノが催してきた。喉も渇いた。腹も減った。

 お空を見上げると、間もなく夕暮れでござる。

 ネコ耳ネコ尻尾が生え、一部神獣の力が入っているとはいえ、某は完全生物たる神獣様と違い、人間でござる。食べねば飢え死にしてしまう。


 部屋を出ると、先ほどと同じく、国造様筆頭で立派な神官服を着た方々が踊り場でお座りしておられた。

 喉が渇いたのと、腹が減ったのと、所用の案内を頼んだところ、飛び上がられ、階段を転がり落ちられ、案内された。臑の骨を折っておらねば良いが。


 所用を済ませ、手水で洗い終わると、真新しい綺麗な手ぬぐいが出された。

 なにげに手にして、拭きながら手ぬぐいを返すため顔を上げると……巫女様でござる。本物の巫女様でござる。某のようなナンチャッテ巫女ではなく、正式な巫女様でござる。綺麗な巫女様にござる。

 それが、五人ばかり揃っておられる。三人官女ならぬ五人官女でござる!

 染み一つない白い小袖に、目にも鮮やかな緋色の袴。腰帯に差しておられる朱塗りの懐剣が、凛としたお姿を引き締めておる。

 髪の毛黒くて艶があって綺麗。おっぱい大きい。背がちっこい。瞳が潤んでる。

 イズモの大社へ来て良かったー!


 このとき、よもや斯様(かよう)な大事になるとは、思いもしておらなんだ!



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