23 アマツカミ クニツカミ
「えーまず、この世もあの世もなんにもなかった頃から始まります」
宮司様が代表でお話を始められた。
「最初にアメノミナカヌシがすぐお隠れになり……」
むっちゃ長い話が続いた。
「……して、イザナギ様とイザナミ様の国生みの話に続きます。ここまで、よろしいでしょうか?」
よろしいも何も、全然解らん。神様が多すぎるし、行動が複雑だし名前も似たような感じで頭に入らん。
『えーっとですね、わたしが要約いたしましょう』
おお! 頼れるネコ、ミウラにござる!
『なんかスゴイ神が三柱いました。でも、出てきません。次に、二柱の神が産まれました。それなりにスゴイ神でした。でも出てきません。次に出てきた十柱のウチの二柱が夫婦でして、ポコポコと子供を産んだので日本ができました。以上です』
「そんなんでよいのか? 思いっきり不遜ではないか?」
『名前を一生懸命記憶したところで、いつ使うんですか? それに外国じゃ神様の名前や数が違うはずです。だいいち、神獣と話しも出来ない癖にどこの誰が神様の偉業を見たんですか? 誰からご尊名を聞いたんですか?』
それもそうでござるなー。
では、イザナギ様とイザナミ様のお話をお聞きいたそう。
「まずアメノ……で、……オノゴロ島が……で、……日本の島々が……でございます」
「だいたい解った」
その辺は、前前世と大した違いはない。有名な神話にござる。
「イザナミ様からお声掛けしてから産まれた子がヒルコ様。この神は――」
『ヒルコ様は、形がなかったので、海に流され、無かったことにされました。ここで出てくる海とは、あの海じゃなくてディラックの海だという説が少数ながらございます』
ミウラの少数意見はおいておくとして、お話の続きをお聞きいたす!
「……そして、禊ぎ払いの最中にアマテラス様が生まれ、ツクヨミ様が生まれ、スサノオ様が生まれました」
有名な、三貴神でござるな。
「アマテラス様が太陽の化身と見られ、ツクヨミ様が月の化身、そしてスサノオ様が海と地の化身と見なされております」
『星の化身がおられませんね。いえね、常日頃から不思議に思ってたんですよ。このお話は又別の機会に』
ネコがうるさいでござる。
「……そして、アマテラス様の子、アメノオシホミミ様の子が降臨されましたが、神の姿では降臨できず――」
『地上において、アマノカカセヲやアマツミカボシを始め、悪い星々が激しく抵抗しました。頃二位を落としたり、熱核ジェットを備えた怒夢を暴れ回させたのですが、国津神は白い悪魔ことプロトタイプ陸戦型アマツミカボシを実践投入。芦原の御出左平原にて決戦の後、アメノオシホミミ様の揚陸部隊を宇宙に押し返したのです』
某のカンでござる。あらすじは合っているが、登場者名をいい加減に言っていると思うのでござる。
「――ならばとアメノオシホミミ様が、神獣様をお産みになられたところ、たちどころに一条は静謐を取り戻し、最初の神獣様は人の姫と結ばれ、生まれた子が帝の始祖なのでございます。どっとはらい」
『時代はコズミック・イラに代わり、陸上戦専用の神獣を投入することで、地上を制覇したというお話でした。どっとはらい』
神獣を使わしたことにより、地上に静謐が訪れた、と見なすことも出来るのか……ミウラは、あらすじだけは外さぬからな!
残りのお話は、帝による遠征とかになるので、お話はここまでと致した。
うーむ、色々と考えさせられることが多いのでござる。または、某の考えすぎなのかもしれぬ。フワッとした話を都合の良いように解釈する。それは大罪にござる故。
『他の神社でも神話をお聞きすることをお勧めいたします。イズモを喪失したことが痛いですが、遠く離れた地ですと、神話も微妙どころか主神が入れ替わってたりしますからね。……あれ?』
「如何したミウラ、の主?」
こう言うときに聞くミウラの「あれ」に、ろくな事がない。
『国津神とか天津神とか、そんな単語は出てきましたっけ?』
……出ておらぬなぁ……
「宮司殿、アマツカミ、クニツカミという言葉はご存じないか?」
「さて? 聞いたことがございませんな?」
『ではツチグモとかハヤトとかは?』
そのまま、某の言葉として伝えた。ミウラの言葉だと言えば、問題が起こりそうな気がしたからでござる。
「それも一向に。魔獣でございますか?」
『魔獣じゃないんですが、この場は魔獣だと答えておいてください』
「……その通りでござる。いや、昔、ちらと小耳に挟んだ事があるので、とりあえず聞いてみただけにござる。お気になされるな」
……イマガワ館へ帰り、結界を立てた後にミウラと話し合わねばならぬ。
「あのー……なにかご不明な点でも?」
いかぬ! 宮司殿が疑いの目でこちらを見ておる!
「いやはや、難しい話なので、色々と混乱してしもうた。頓珍漢な質問を致した。許してくだされ」
「とんでもございません! 確かに話がややこしいでございますからな。訳が分からなくなって当然でございます。なんでしたら、帝の東征までの神話を文字に起こして献上いたしましょうか?」
「おお、それは助かる。お礼に、表の看板に某が名を入れてやろう!」
「有り難き幸せ!」
教えてもらっておるのに、教える方がゲザーしておる。
『神獣の巫女様に、書物を献上した。カンバンにサインを入れてもらった。商売的見地から申し上げますと、神社側の一人勝ちでございます』
得したと思われるのなら、そう思わせておこう。……もう一度、イセ神宮へ伺わねばならぬやも……いや、行かねばならぬな。神話をお聞きせねばならぬ。
クマノも、でござるが、クマノは神無月の集会の時でよかろう。あと、マタノシタ神社の宮司にも、参考のため聞いておこう。
よし、目先の方針が決まった。ならば、今夜はどんちゃん騒ごう!
して、翌朝。朝起きてもまだお腹がいっぱいでござる。
『夕べ、どんだけお召し上がりになられたのでしょうか?』
それでも朝ご飯をたっぷり頂いて、お昼のお弁当もこしらえていただいた。日の出と共に出発でござる。
「ギフの主、お世話になりました」
『うむ、次はクマノでだな。会える時を楽しみにしているぞ、オッパイ、じゃなくてイオタ』
「どういう目で某を見ていたか、よくわかりました。アツタの皆様、お世話になりました」
「またお越し下さい。歓迎いたしますぞ!」
別れを惜しみつつ、アツタ神社を後にした。
『とりま、ヤタガラスをイマガワ館上空へ飛ばしましたから、近くまで来ていることが分かってもらえると思います』
「便利な設定でござるな、ヤタガラスは」
後付でござるからな。
して、ミカワ、トウトウミ、スルガの明美な風景を楽しみながら、イマガワ館へ帰ってきたのでござる。




