[5]-"F"-
トボトボと歩きながら転移装置に向かう1人の影。どうやら校舎や体育館などの行き来は基本、転移で行うらしい
転移装置に着くと各クラスに対応するボタンがあった。これで行き先を決めるのだろう
「え〜と1-A、1-A....」
まだ自分の失態を消化しきれていない声でボソボソとつぶやく。1-Aを見つけてボタンを押し、そのボタンが点灯する。光っているのは...1-F
「...あ、間違えた。..まいや見学してこ」
瞬く間に香蓮は眩い光に包まれた。1秒もたたないうちにそれは晴れ、教室が並ぶ廊下が目に飛び込んできた。そこは生徒笑い声で満ちている。いまは休み時間なのだろうか
私が廊下を歩いていると、生徒の笑いは止み私を避けていく。ある者は怪訝そうな顔で見つめ、またある者は恐怖で顔が少しだけ歪んでいた
不思議に思っているとある人にぶつかった
「あ、ごめんなさい」
ぶつかった人は、容姿は整っていてどこか落ち着いてる、大人の雰囲気を感じる青年。その目に映るのものは周りの生徒とはまるで違っていた。
「あ、ごめん...ってAクラスの人か、なにしてんの?」
初めてFクラスの人に話しかけられた。
「行く階のボタン押し間違えたからついでに見学をって...もしかしてダメだった?」
目の前の人は少しきょとん顔をした後に
「......ぷっ..はははははははは」
?!
ダムが決壊したかのように笑う目の前の男に思わず困惑する。ひとしきり笑ったあと彼は口角が上がった口を開く。
「はー、あぁごめん急に笑ったりして」
「いやそれはいいんだけど...なんで笑ったの?」
「いやね?うちの担任に『絡まれたら死んでも文句言えないからハイクラス生徒には近づくなよ』て怖い顔で言われちゃってたからどんなヤバいやつやねんと思ったら...案外変わんないじゃんって思ってさ」
「あ〜だからみんなあんなに怯えてるのか〜...別にそんな人じゃないのにな〜...」
「まぁ無理もないよ。いまさっき言われたことなんだから」
「でもあなたは周りの人みたいに怖がらないんだね」
「まぁ、人間は人間だからあんま変わんないかなって思ってね」
「まぁ...たしかに...?」
ほんのちょっこっとだけ空気が濁った気がした。その濁りを振り払うように青年は
「あぁ、自己紹介がまだだったね。僕の名前は月闇 輝。ひかるでいいよ。君の名前は?」
「私の名前は 乙葉 香蓮。よろしくね輝」
「おう!よろしく 香蓮」
そんな感じで談笑していると、遠くの影が急速に近づいてくる
「ちょーーーと君たちー!!」
周りの生徒含め全員が走る人に視線を向ける。目の前で止まった。息切れを起こして、少しへばったその人に輝
「どうかしましたか?先生」
どうやらこの人は輝のクラスの担任らしい。
「どうもこうもないだろう?『3ランク以上離れた人との交流は禁止』だ!言わなかったか?」
ぜいぜい息を漏らしながらいう先生に輝は言う
「え、でも先生は近づくなって言っただけで、話すことまで禁止されてるなんて聞いてないですよ?」
ドヤ顔でそう言い張る彼を前に2人の声は揃った
「「いや近づいてるやん」」
「......確かに」
バツが悪そうに引っ込んでいく輝につられて少し周りの空気が和んだ。が、先生がすぐにその空気を引き締める
「と・に・か・く、君たちの交流は校則違反だ。すぐに自分の校舎、教室に戻りなさい!」
不貞腐れたような声で2人は
「「はぁ〜〜い」」
そう言ってその場を後にする
「はぁ、なんだせっかく良い友達になれると思ったのにな〜」
そう言って今度は押し間違えることのないようにしっかりと確認して転移装置の1-Aのボタンを押した。




