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転生魔王は青春がしたい!!  作者: 夜月 うさぎ


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20/23

[19]-友達だから-

彼女の浮かべた涙は乾いた砂に落ち、憎悪が内側から湧き出る。おそらくこれは刀から由来するものだろう。

さぁどうする.....魔力は残り半分ぐらい(とは言っても普通の人のマックスの15倍はあるけど)。『一時封印(チェインアップ)』で付与魔法を無効化させるのが得策...かぁ〜。使うことない魔法だから慣れてないんだよn.......っ


目の前を白い刃が通り過ぎる。


「危ない危ない。身体反ってなかったら当たってたよ〜」


...返事は返ってこない。まぁ当然か。にしても速いな。もしかしたら『蝶』を使ってた時よりも速いんじゃない?......ふぅ、覚悟決めるか。


「風は行き場を失い、光は瞬きを忘れ、天地を断ち切る一振を私に授けよ。」


詠唱の省略、魔法回路の効率化。魔王時代に何度もやった私の得意分野。


「臨界魔法-『 天断つ絶氷の剣セバーディエティ・アブソリュートフロスト』。」


瞬間杖が凍り、氷の剣がそこから姿を現す。さすがにあの時みたいな大きさはない。せいぜい三尺三寸刀ぐらいだろうか。消費魔力は普通の人の最大魔力の4倍くらい。これでもだいぶ抑えた方だ。あの時は私の魔力8割持ってかれたんだから。


「よし.........いくよ!」


相手をしっかりと視認して走り込み、剣を振るう。当然のようにそれは防がれるが、こっちの刃が一撃で折れることはない。よし、強度は十分。


右から、左からと飛んでくる一撃必殺の"白"をいなし、受け流し。汗ばむ手で青い氷をぐっと握って負けじと剣撃を振るう。


「くっ...ジリ貧か...........っ!?」


バキィイィイン

耐えかねて氷が砕けた。想定済み...だけどだいぶ早いね...。地面を強く蹴り、距離をとる。 吸って...吐いて.....上がった息を整える。雫が額を伝っていく。


「『再構築(リロード)』」


氷が折れたところから再生する。魔力酔いのことも考えてこれが使えるのはあと5回....そうバキバキと折ってられない。集中しろ私。

額の汗を拭う。目の前のヒトは虚ろにゆらゆらと揺れている。まるで吊り下げられた傀儡人形(マリオネット)のよう。


傀儡が引っ張られるように接近し、切り込んでくる。必死にその一撃を受け止めるが、剣撃は止まらない。二撃、三撃、四撃。およそ人間の動きとは思えない速さ、重み。こんなバケモノ誰が相手できるのよ


バキンッ

「.....っ!『再構築(リロード)』!」


もう、こんなことになるならもう少し鍛錬しとけば良かった。

なんせ臨界魔法を再構築しているんだ。構築速度はお世辞にも速いとは言えない。構築中の短い剣で対峙するが、さすがに厳しいものがある。


パキンっ

「『再構築(リロード)』!」


短いリーチで長剣を相手にするなんて無謀にも程がある。力と速さにものをいわせた刃の嵐が私を襲う。受けきれない。守りきれない。


パリン.......。


「『再構築(リロード)』」


でもいくら剣は折れても私まで折れる訳にはいかない。


「........約束したからね。」


裏切る訳にはいかない。大切な友達を"憎悪の悪魔(あの頃の私)"なんかに渡したくない。


もう長引かせない。苦しませたくない。深く、深く呼吸をする。美しく輝く透明の刀を構え直して


「............終わらせよう」


走る。「過去」に向かって走る。刀を力強く振り火花を散らす。ほぼ同じ重みが2人を駆け巡り、怯ませんとする。だけど止まらない。止まれない。


一撃、二撃、三撃。しっかりと受け止め、反撃する。

四撃、六撃、八撃。速く、強く。稲妻のようなスピードで剣を振るう。肩に、腰に、足に、傷を負ってももう止まらない。


ぱしんっ!

鋭い"白"がヒュルヒュルと宙を舞う。


「今っ!『一時封印(チェインアップ)』!!」


臨界魔法を解き、その言葉を放つ。すると、杖から鎖がジャラジャラと音を立てながら勢いよく伸びていき、妖刀に絡みついた。


「『封印(対象)付与魔法(エンチャント)』!!」


その言葉を合図に鎖は白い刀に溶け込み、カチンと金属の甲高い音が辺りを満たした。


風の吹き込む音と、"壁"を隔てて微かに聞こえる生徒の困惑する声がこの戦いの終わりを知らせる。


「終わっ.....たぁ〜〜」


その場にへたり込む。流石に疲れたぁ。だいぶ傷、負っちゃったなぁ。"暗幕"晴れる前に治さなきゃ....。服も替えの用意しないとな


少し離れたところでどさりと何かが倒れる音がした。


「......!? 刀花(とうか)!」


痛みを我慢して彼女の方へ駆けつける。驚きと疲れで"暗幕"は制御を失って、パラパラと崩れ去っていく


刀花(とうか)!大丈夫?」


香蓮(かれん).....私は大丈夫。それよりあなたが」


「私のことなんてどうでもいいよ。安静にしてて」


「........ありがとう」


弱々しくそう言うが、何か聞きたそうな表情を浮かべる彼女。


「.......ねぇ、なんで香蓮(かれん)はボロボロになるまで私のために戦ってくれたの?」


「え、なんでって....」


「危なかったら逃げれば良かった。先生を呼んで対処してもらえば良かった。あなた一人が危険を冒してまですることじゃなかったのよ。でもなんで.....」


「そんなの、決まってるじゃん」


悲しげに、でもにこやかに言葉を紡ぐ。


「友達、だからだよっ!」

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