8話 火薬テストで大惨事!? 魚釣りにも行ったよ!
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【クエスト オブ サンハルト2 8話】
3階は、細い通路で幅は人が2人程通れる程だった。
探索していると、正面に毒蛇と幻惑草に出くわした。
「毒蛇の毒に気をつけて!」
「幻惑草だ! こいつは、幻惑の胞子を使ってくる。気をつけろ!」
幻惑草が、早速胞子を飛ばしてきた。
「えっ?」
「何!?」
フュリアとバチョーは、魔物が何匹も見えた。
更に、仲間たちも何人も見えた。
フュリアとバチョーは、幻に包まれてしまった。
「げ、幻惑が効いたみたいね⋯」
「ちっ⋯」
フュリアとバチョーは、幻に翻弄されている。
「きゃーっ!」
毒蛇が、フュリアに巻き付き締め上げた。
「フュリア!」
ケンイチは、助けようとしたが、攻撃したらフュリアまで傷つけてしまう為、手が出せなかった。
アヤノも、同じ理由で悩んだが、考えた末に案が浮かんだ。
「フュリアはあたしが助けるわ! ケンイチは幻惑草をお願い!」
「わ、分かった!」
「ヒートハンド!」
アヤノは、火の球を撃ち出さずに手に留めたまま、フュリアに巻き付いた毒蛇の体を掴んだ。
毒蛇は、たまらずフュリアの拘束を解いて引いた。
やがて、火が全身に回り、そのまま焼き付くした。
ケンイチは、幻惑草の胞子を避け、木刀で何度も叩き、幻惑草を倒した。
倒したことでフュリアとバチョーは、幻から解放された。
「フュリア、大丈夫?」
「ええ、自分でヒールをかけました」
アヤノが心配そうに声をかけ、フュリアは微笑み、アヤノも安堵の表情を浮かべた。
「すまん、俺は役に立たなかった⋯」
「仕方無いさ、気にするなよ」
ケンイチは、バチョーを慰めた。
(幻に包まれると、攻撃が当たりにくいだけでなく、防御や回避も難しくなるのか⋯ゲームよりも厄介だな⋯)
更に進み、火薬倉庫を見つけた。
「これがダイナマイト⋯何だか物騒ね⋯」
ダイナマイトは大きな筒に大量に火薬が入っていて、長い導火線が伸びていた。
「いっぱいあるね」
「何本か持っていこう」
また、広い火薬試験室があり、使えるか試してみることにした。
「よし、僕がファイアボールで火を付ける、充分に離れて耳を塞いでくれ」
(チャ、チャンスだ⋯)
ケンイチは、導火線に火をつけた。
ダイナマイトは、爆音と共に大爆発を起こした。
「きゃあああっ!」
「大丈夫です⋯!」
あまりの爆音と、大爆発にアヤノが悲鳴をあげ、フュリアがアヤノを抱きしめた。
「こ、怖かった⋯で、でも、ありがとうフュリア」
「実は、私も怖かったです」
フュリアは微笑むと、アヤノもニコッと微笑んだ。
(見えた! 爆風で2人のスカートがめくり上がったのを見ちゃったもんね⋯! し、しかもワンピースだから、う、上まで⋯脳内に記憶しておこう⋯ん?)
バチョーは、いやらしい目と鼻の下を伸ばしきっていると、頭に大きめの火の粉が降ってきた。
あっという間にバチョーの髪の毛に引火した。
頭が燃え、人間ロウソクのようになり、走り回った。
「う、うわーっ!! し、死ぬっ! 死ぬーっ!!」
「きゃあっ! バ、バチョーさん!」
「バ、バチョー! ブリザード!!」
アヤノが、吹雪を巻き起こしバチョーの頭の炎を消しにかかった、しかし、炎が強くなかなか消えなかった。
「消えてーっ!!」
アヤノが叫び、魔力を高め、一段と吹雪の勢いが増しようやく消えた。
(ち、ちべたぃ⋯! さ、寒いーっ!!)
バチョーは、今度は氷漬けになった。
「ご、ごめんね⋯思いっきり魔法を使うしか消せなかったの⋯」
アヤノは半泣きで呟いた。
(き、君のせいじゃないさ⋯た、助かったぜ⋯!)
だが、氷漬けで話すことができないバチョーは親指を立てるのが精一杯だった。
「仕方ない」
ケンイチは、ヒョイっと氷漬けのバチョーを抱えた。
「すごい力ですね⋯」
「逞しくて⋯かっこいいな⋯」
フュリアとアヤノは感心した。
「休憩室まで行って、風呂につけよう」
「うん、それが良いと思う」
「そうですね」
(ありがとーっ!)
彼等は、休憩室まで降り、急いで風呂を沸かしバチョーをつけた。
ようやくバチョーは、氷が溶けた。
だが、風邪を引いてしまい、バチョーは寝込んでしまった。
「はっくしょん! ゲホッ!」
「だ、大丈夫ですか?」
「お、おぅ⋯」
(バチが当たったかな⋯けど、フュリアに看病してもらえるのは⋯幸せじゃ⋯)
ケンイチとアヤノは、食糧調達に魚を釣りに行っている。
火薬工場に竿があったのだ。
餌のカニやミミズを拾い、アヤノのブリザードで氷を作ってバケツに入れていた。
近くに地磯があり、そこに2人は来ている。
「滑るから足元に気をつけて」
「う、うん⋯」
ケンイチがアヤノの手を取って誘導した。
「この辺が釣れそうだな」
「う、うん⋯!」
「準備しよう⋯のべ竿か」
(のべ竿とは、リールがつけられない竿の事です)
ケンイチは、手慣れた手つきで竿先に糸を結び、小さなオモリと針をつけた。
針に、餌のカニを刺した。
「はい、アヤノ」
「う、うん⋯」
ケンイチは、アヤノに竿を手渡した。
「ど、どこに入れたら良いの?」
「そうだな⋯」
ケンイチは、海面を見渡し岩場を見つけた。
「ここかな。かかったら手に振動が伝わるからすぐ竿を立てて」
「う、うん⋯!」
アヤノは、おそるおそる釣りを始めた。
ケンイチは、自分の竿の準備をしようとすると
「来た! えいっ!」
「竿上げ⋯てるね!」
「つ、釣れた⋯!!!」
18cmのカサゴが釣れていた。
「ケンイチ! 釣れたよ!」
「いやぁ、見事!」
「手にドンドンドンってきたの!」
「魚のアタリってやつだね、興奮するだろう?」
「うん!」
「あ⋯魚⋯外し方分かんない⋯」
「ああ、この魚はね⋯」
ケンイチは、カサゴの口を持って針を外した。
「口を持つんだ⋯」
「うん、この魚はヒレが鋭いからね」
ケンイチは、すぐにナイフで腹を裂いてエラと内臓をとり、海水で洗い流した。
「ケンイチ、何したの!?」
「食べるやつは、すぐに締めるんだよ、そうした方が鮮度も保たれるし、彼等も苦しむ時間が短くなる」
「そうだね⋯」
「さ、まだまだ釣ろう、転ばないように足元に気をつけて」
「うん」
その後、カサゴやベラを合わせて10匹くらい釣り上げた。
「釣りって面白いね!」
「だろう? また行こうね」
「うん!」
「おや? カメノテがあるな、これも持って帰ろう」
「これなに?」
「カメノテっていって、カメノテみたいな形だけど、実は甲殻類なんだ。良い出汁がでるよ」
「そうなんだね〜♪」
(アヤノの無邪気な笑顔は可愛いな)
その後休憩室に戻り、カメノテとカサゴは数匹汁物にし、残りの魚を塩焼きにした。
「このスープ美味しい!」
「本当ですね!」
「うめぇ!」
「カサゴとカメノテは良い出汁が出るんだ、味噌があればもっと美味いよ」
「今後どちらに行かれますか?」
「そうだね、一旦、北の村に戻って翌朝、フライ地方へ向かおう」
「分かりました」
その後、就寝し、翌朝にはバチョーも無事に回復し、彼等は、火薬工場を後にした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。