5話 初ダンジョン! 鉱山の洞窟!
【クエスト オブ サンハルト2 5話】
鉱山の洞窟は、中は真っ暗で、地上とは雰囲気が全く違った。
「怖い⋯」
「大丈夫ですよ」
先頭のバチョーが松明を灯して中に入った。
「!? 敵だ!」
「みんな身構えて!」
大モグラが3匹、大ケラが3匹おり、こちらに気付くと一斉に向かってきた。
「バチョー! 数が多い! 攻撃より防御に重点をおいて敵を惹き付けてくれ! アヤノ! モグラにファイアーボールを! フュリアは、バチョーの援護に回って!」
「了解!」
「分かったわ!」
「はい!」
バチョーは、魔物の群れを惹き付けようと正面から向かっていった。
フュリアはバチョーの援護、アヤノは魔法の詠唱を、ケンイチは、後方の安全を確認し敵に向かった。
一方、魔物達は大モグラ3匹が、バチョー目掛けて攻撃を仕掛けた。
「!?」
バチョーは、1匹目のモグラの攻撃を避けた。
2匹目の攻撃は、とっさにブロンズナイフで受け止めた。
だが、更に3匹目の攻撃が迫った。
「ちっ⋯」
「バチョーさん!」
フュリアの援護が間に合い、皮の盾でモグラの攻撃を防いだ。
今度は、バチョーとフュリアに大ケラ2匹が迫った。
「ファイアーボール!」
アヤノが、大ケラAに火の玉を浴びせ、動きを鈍らせた。
大ケラBが、体当たりを仕掛けようと2人に迫った。
ケンイチが2人の前に出て、大ケラBの動きにあわせて木刀で受け止めた。
「でいっ!」
ケンイチは、そのまま大ケラBを木刀で叩いた。
「ええいっ!」
フュリアが大ケラAを、樫の杖で叩いた。
バチョーは、大モグラ3匹に向かっていき、攻撃を引き付けた。
アヤノのファイアーボールが大モグラAに直撃した。
火を消そうとゴロゴロ転がっているところを、ケンイチが木刀で叩いた。
バチョーが、ブロンズナイフで大モグラBを切りつけ、続けてフュリアが樫の杖で叩いた。
大モグラCは、怯え逃げ出した。
「アヤノ、周囲に警戒してくれ」
「うん」
「敵はいる?」
「いないと思う」
「そうだよね」
ケンイチは、アヤノと周囲の安全を確認すると、胸を撫で下ろした。
「ふぅ~ みんな大丈夫?」
「大丈夫だ」
「はい」
「うん、大丈夫よ」
「よし、このまま油断せずに行こう」
道中、魔物達と何度も戦闘になったが苦戦せずに勝利した。
「宝箱だ」
「開けてみましょう」
「うん」
宝箱を開けると中身は、皮の服だった。
「前にケンイチの言った通り、皮の服があったね」
「うん、これは、前に言った通りアヤノにあげるよ」
「ありがとう」
「⋯」
バチョーは、黙ってアヤノを見ており、ケンイチもぼんやりとアヤノの方を見ている。
「あ、あのケンイチ⋯見てたら着替えられないんだけど⋯」
「あ、ご、ごめん!」
(ちっ⋯)
アヤノは、ケンイチ達が反対を向いたのを見てから、ポンチョから皮の服に着替えた。
なめし皮で出来ている皮の服はポンチョより丈夫で、半袖のワンピースになっていた。
「お待たせ~」
「じゃあ、行こうか」
(可愛い⋯ポンチョの時も良かったけど、皮の服の方が可愛いわぁ⋯)
バチョーは、またニヤニヤしていて、嫌らしい。
その後、登りの階段を見つけて登り、その後は一本道で、そこを抜けると出口だった。
「外よ!」
アヤノが、思わず声をあげた。
彼女達は、陽の光を浴び、外の空気を吸い、気分が良くなった。
「あそこが火薬工場ですか?」
「多分ね」
火薬工場は、鉱山の洞窟がトンネルになっていて、その先に作られた建物だった。
今は使われておらず、魔物の巣窟となっている。