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四国、お遍路巡り 子供の時の思い出

おばあちゃんの入っていた老人クラブでは、

時々バス旅行があった。

けれど、小さなチリを家に一人で置いていくわけにはいかなかったおばあちゃんは、

何度もお遍路の日帰りバス旅行にチリを連れて行った。


今、チリには、その証がある。白装束。

小さな子どもサイズのそれには、たくさんの御朱印が押されている。

もしかしたら、あの頃はまだ3歳だったかもしれない。


「おばあちゃん、私がこんなに小さいとき、一緒に巡ってたんだね」


ポツリと空に向かってつぶやくと、おばあちゃんはただ、うんうん、と頷いてくれそう。

何かを噛み締めるように、優しい眼差しで、じっとこちらを見つめながら。


あの頃、おばあちゃんはまだ60代だった。今思えば若かった。

でも、後半だったから、もう疲れもあっただろう。

それでも何度もバス旅行で、お遍路を巡った。


おばあちゃんは、私を置いていくことができなかったから、連れて行ってくれたんだと思う。

でももし、私がいなければ、おばあちゃんはもっと自由にできたのに。

お金の余裕もなかったし、娘がシングルマザーになってしまったことで、

きっと苦労もあっただろう。

今のようにシングルマザーが珍しくなくなった時代ではなかったから、

世間の目も厳しかったはずだ。


おばあちゃんは芯が強い人だった。でも、気が強いわけではない。

本当に心の底から優しい人で、人の悪口を言わない、

辛いことがあっても、我慢、我慢の人だったであろう。


そして、いつも世間の目を気にするような性格。


だから、辛かっただろうなぁ。

いや、これが自分の運命だと背負ってくれたに違いないけれど。


本当にありがとう。

そうチリは思う。





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