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3.もう一人の転生者は巨乳美少女でした。

 王都ガ―ディアナの街中。中世ヨーロッパを彷彿させる街並みを眺めながら歩く。すると言い争いをする男性二人と少女一人が目に入った。桃色の髪をした同い年程度に見える少女は何やら露店ろてんを開き、薬草や鉱石など冒険に役立ちそうな物を並べている。少女のかたわらには「人を探しています」との立札。



「人を探しています……か。俺も“案内人ナビゲーター”とやらを探さないとな……眠い」


 

 転生前に“案内人ナビゲーター”と協力し、この世界を救えと使命を託された。俺はまずそいつを探し出さなければならない。


 旅立つにあたり普段より早起きをしたこともあり、大きな欠伸が零れた。そして言い争う男女の会話が耳に入る。



『だーかーらー、俺たちがその探している人だっての!』『そうそう!だからとりあえず一緒に遊ぼうよ!』



 ゲラゲラと笑いながら男たちは少女に絡む。少女は顔立ちもよくスタイルも抜群だ。適当な事を言ってナンパしているんだろうと思いつつ、とりあえず仲裁に入ることにした。そして、少女の次の一言で俺の眠気は完全に覚めた。



「じゃああなたたち、()()に来る前はどこに居たっててのよ。出まかせ言わないで」


『えー?今日はめちゃくちゃ良い宿から来ましたー!』『めっちゃイケてる内装の宿見つけたんだぜ?とりあえず来なって!』


「ちょっと!やめて!」

 

 

 男は少女の手首を掴んだ。同時に俺は近付き、男の肩を掴んで制止する。


 

「なあ、それくらいにしとけよ」


「なんだぁ?てめェ……」


「困ってるだろ。これ以上迷惑かける前に帰りなよ」


「帰るのはてめぇの方だろこのガキんちょがぁ!」



 男が一人殴りかかってくるが、あまりにも遅い。男の手首を掴み、そのまま足を払うと同時に手首を返すと、男は派手にひっくり返った。



「ぐえっ!」



 もう一人が腰に差されている片手剣に手を伸ばすが、それよりも早く俺は短剣ダガーを抜く。切っ先を男の喉元に突きつけると、男は全く動かなくなった。



「もう一度言うよ。迷惑かける前に帰りな」



 男たちはそそくさとその場を走り去った。桃色の髪と瞳を持つ巨乳少女は俺に向き直り話しかけてくる。ゴシックで黒を基調にしたミニワンピース、クラウンハーフアップでまとめられた髪が整った顔立ちを余計に可愛らしく見せている。こんな少女が一人でいたらそれは先ほどのようなトラブルにも巻き込まれるだろう。



「あの……ありがとう!助けてくれて……」



 少女は俺に向き直りお辞儀をした。俺は短剣ダガーを鞘に納め少女に向き直る。

 


「いいよ。俺も君に聞きたいことがあったし」


「聞きたいこと?商品について?それとも……」


「さっき男に言ってた“ここに来る前にどこに居た”って話」



 少女がはっと俺の顔を見つめ、手を口で覆い涙ぐむ。俺は少女に続けて言う。



「もしかして、君は“第二層”から来たの?」


 

 すると少女は涙を流し、急に抱き着いてきた。


 

「うわっ!」


「やっと見つけた!あなたがもう一人の転生者ね!ずっと探してたの!」



 少女はガチ泣きだ。ここまでの人生で相当な苦難があったのだろう。大きな胸が密着し気になって仕方がないが、俺は少女が泣き止むのを待つことにした。数分間周囲の冷ややかな視線に耐え、少女が落ち着いてきた頃を見計らって話しかける。

 

 

「落ち着いた?」


「ゔん……ごめん……」


「あのさ……そろそろ離れてくれない?」


「ごめんごめん。一年一人で旅を続けて、諦めちゃおうかなと思ってたくらいだったから、つい……」



 少女は俺から離れ、髪や身なりを整える。

 

 

「一年も一人で?いったいどこからこの王都まで来たんだ?」


「えっと、東部の辺境の村からまっすぐ王都に向かって村を転々と。先週ここに着いたくらい。人口考えたら王都は真っ先に探さないといけないなって」


「東部の辺境なんて馬を使って数か月かかる距離じゃないか。よくたどり着けたな……」


「何度も死ぬかと思ったし、やめようと思ったよ。けど帰る場所もなくなったしとりあえず?って感じ。ねぇ!おいしいものがあるお店教えてよ!立ち話なんて落ち着かないよ」

 

 

 少女はそう言うと広げていた露店の商品を可愛らしいショルダーバッグに収納した。どう考えても片づけた量と小さいバッグのサイズが見合っていない点は後で質問することにしよう。


 俺たちは二人で街中の喫茶店を目指し歩き出した。“案内人ナビゲーター”を見つけたことにより、情報に関しての不安は解決できそうだ。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

続きが気になると思って頂けたならばブックマークして次回更新も読んで頂けると嬉しいです。


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